CITY HUNTER 今昔比較(1980s←→2010s)

※注意書き。1980年代日本について語る際には、男女問題などセンシティブと言える領域に入る
可能性があります。
当方の意図は、当時の時代背景を述べるところにあり、他意のない事をここでお断りしておきます。


【シートベルト】
連載当時、車のシートベルト着用義務は徹底されていなかった。
本作では、シートベルトの様子があまりフレームインしないよう調整されている。


【実在の地名】
実は原作で、具体的な地名は「新宿」くらいしか出ていない。
当時は聖地巡礼の概念もないため、「迷惑をかけないように」と制作側が配慮した結果。


【個人情報】
今では信じがたいかもしれない。連載当時、駅の伝言板には、
当事者の本名も連絡先(固定電話)も全部書かれていた。さもないと接触手段がなかったのだ。


【デジタルツール】
連載当時は、文字表示機能ナシのポケベルが最新機器。
大きな会社で、ブラウン管でのデスクトップコンピュータを扱い始めた時代。


【電話機】
連載当時の固定電話は、ダイヤル式とプッシュホン式が拮抗していた。
携帯電話といえば、肩に掛ける大型サイズのアレである。


【ビデオゲーム】
原作でのリョウは自宅でファミコン(!)に興じている。
雑魚敵をスライムと呼んでいる事から、ドラクエを知っている可能性もある。


【男女平等の黎明】
いわゆる男女雇用機会均等法の施行は1982年。
が、女性が男性に、対等に意見するのはまだ難しかった。
ゆえに当時は、女性キャラが男性キャラに鉄拳制裁する事に需要があったのだ。


【中性ヒロイン】
髪形も服装も中性的で、一人称がしばしば「おれ」になるメインヒロイン。
槇村香の属性は、当時にしては斬新すぎた(と今更実感)。

【シャツはイン】
連載当時、上着を羽織った時のインナーは、ボトムにタックインする物だった。
本作序盤、ハンマーで倒れたリョウのシャツがめくれて肌が見えたのは、史上初の出来事。


【女性エリートの苦労】
セクシーさが魅力の冴子。連載当時は特に女性性をアピールしていた。
その理由の一つは、そうしなければ男社会で生き残れなかったから。
谷間やスリット見せてるのは伊達じゃない。


【家事労働】
連載当時、炊事掃除洗濯裁縫は女性の専売特許。
カンペキな女性キャラが家事だけは苦手、という設定も定番だった。(例:『Cat's Eye』の浅谷)


【缶ビール】
本作に登場するのはプレモル。『CH3』OPに登場するのはバドワイザー。
実はバドワイザーも、当初はサントリーがライセンス生産していた。
世が世ならバドワイザーが作中に出た可能性もあった。


【女性の下着】
ある種、バブル時代の象徴。当時は露出の多い物、装飾過多の物、目の覚めるような色の物と花盛りだった。
風俗街には「ランジェリーパブ」というジャンルもあった。


【オーロラビジョン】
今では各所のビル壁面に見かける大型モニター。連載当時は新宿ALTA(アルタ)がその代表の一つだった。
最近も、元号発表で大いに賑わった場所。

【コンタクトレンズ】
連載当時、コンタクトレンズは途上期。酸素透過性ハードレンズが最新式。使い捨てレンズは研究中。
カラコンは存在自体が無かった。


【ドローン】
連載当時、空飛ぶ機械と言えば、玩具のラジコンだった。
神宮司遥編の黒蜥蜴や、『百万ドルの陰謀』のダグラスは、ラジコンでリョウを襲っている。

【女性の人生設計】
連載当時、女性の自立は苦難の道だった。
未婚だと24歳で「イブ」、25歳で「クリスマス」、31歳で「年越しそば」と呼ばれる。
連載当時のリョウも、自分のストライクゾーンは30歳未満と述べている。

【キャラの年齢設定】
作者の意向で、登場人物は毎年歳を重ねていた。本作ではその年齢をリセット。
香は24歳。リョウは永遠のハタチ……という冗句は、
新たなファンに誤解を与え続けている(毎度ざわざわしてしてる客席)。

【公安】
本作に登場した「警視庁公安部外事第三課」は、21世紀に入ってから置かれた課。
連載当時、その役目を代わりに引き受けていたのが、冴子の属する「特捜課」。
こちらは『CH』独自の架空の部署である。

【ハッキング】
連載当時はインターネットよりもパソコン通信が盛んで、限られた趣味人の世界だった。
その時点で本格的なハッキングを描いている『CH』には先見の明がある。

【港の女】
連載当時、アクションものの女性キャラは、受け身のいわゆる「港の女」になりやすかった。
『CH』は過渡期にあたり、その後『銃夢』や『攻殻機動隊』など、
女性主人公が積極的に戦う物語が出始める。

【レオタード】
連載当時、エアロビクスダンスが流行っていた事などから、レオタードは比較的ありふれた
スポーツウェアだった。
切れ込みの鋭い、いわゆる「ハイレグ」のデザインもあふれていた。

【二人称】
原作でリョウは、しばしば相手を「おたく」と呼んでいる。
「おたく」にネガティブなイメージが付いたのは後の時代であり、
当初はむしろ上品な山の手言葉の敬称だった。

【喫煙描写】
連載当時は喫煙文化の盛り。もっと前の時代の作品では「何の銘柄を吸うか」でキャラ付けされていた
(吸わないという選択肢がない)。

【都庁】
1991年に丸の内から新宿に移転。TV版で『STILL LOVE HER』放送時は建設途中。
この度の劇場版でついに、完成した姿が画面に収まった。

【冴羽「獠」】
連載当時、ジャンプ紙面以外で「獠」の漢字は一切表示不可能だった。
iPhoneなどの変換で表示されるようになった時は、ちょっとしたニュースになった(私の中で)。



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