≪SCENE 2≫


「バーロォ、そういう事は早く言えっ!」



自分の叫び声で目が覚めた。朝日を顔に感じる。

「何だ……。夢か」

枕元の目覚ましを切ると、思わず苦笑が漏れた。伸びをして、ベッドから起き上がる。

――ベッド?

違和感をおぼえ、周りを見回した。見覚えのあるシンプルな内装の部屋。
次に自分の体を見た。手が大きい。指が長い。顔には眼鏡がない。声も変だ。

半分パニック状態で、部屋から飛び出した。廊下を走り、洗面所に立った。

「嘘、だろ?」

掠れた声が絞り出される。
だが鏡の向こうで唖然と自分を見ているのは、明らかに高校生・工藤新一当人だった。





――落ち着け。とにかく落ち着け。

新一は思い立って、今度は玄関へ走った。
郵便受けを開いた。バラバラと落ちる封筒などには目もくれず、出した新聞を広げた。
部屋に戻って、ベッドに腰を下ろした。

「……何てこった」

強盗、誘拐、殺人など、新聞には数々の事件が載っている。ソレはまだいい。
問題はソレら全てが遥か前に、コナンになる前に新一として解いたはずの物
だという事だ。

要するに。今のオレは「過去」にいるってわけで。時間をさかのぼったってわけで。

ため息さえ出てこない。まるでSFの世界だ。
新一は力なく目を閉じて、独り頭を抱えこんだ。





――暗転――





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