≪SCENE 4≫


「知ってる? 2丁目の噂って」

「ああ、幽霊が出るってやつだろ?」

「俺も聞いたぜ。前に殺人事件があったとか」

「私の友達は人魂も見たって」

ただいま小学校内は、一つの話題で持ちきりだった。
どう漏れたかは知らないが、先日の騒動の話が全校に広まるのには1過間も
かからなかった。別の怪談も入り交じり、物語は大袈裟になる一方だった。
コナンの気持ちは、どん底に沈んでいた。

……ウチにひとが寄りつかなくなった事は、確かに結構だよ。
けど、こういう形で、なんて誰も頼んでねーぞ?

「ねぇ聞いてる、コナンくん?」

「へ? あ、何? 歩美ちゃん」

話をしている最中なのを忘れていた。
それにしても彼ら――特に歩美――の洞察力は大した物だ。
あれは真相を見抜かれたも同然だ。少々甘くみていた事は否めない。
それに、あの時の彼らの言葉。転校して来たばかりの自分を、
彼らはちゃんと仲間として認めてくれていたのだ。
この騒ぎは、そんな彼らを騙そうとした罰なのかもしれない。

「あのね、それで咋日聞いたんだけど」

と、歩美は声を潜めて、

「理科室のガイコツが夜中に動くらしいの」

「は?」

「あ、ソレならポクも聞きました。警備員さんが見たんですよね」

「よし、今度はソレを確かめようぜ」

「オイオイ、待てよ。幽霊は懲りたんじゃなかったのか?」

コナンも流石に呆れてきた。そんなコナンに、歩美は輝く笑顔で、

「大丈夫。もうお化けなんて怖くないよ。この前は少し驚いただけ」

「だから、アレは違うって……」

コナンは心で叫んだ。

――勘弁してくれよ! この話はいつの間に、ミステリから
オカルトになったんだ!?


〈了〉





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