≪終幕≫
「もう! どうして引き止めてくれなかったの、コナンくん」
数分後。少女は先程とは打って変わって、居丈高に少年を責めていた。
少年は、顔を引きつらせて言い繕った。
「で、でも新一にいちゃん、また来るって」
「いいわ」
と、少女は静かに言った。
「今度会った時は」
水を打ったような静けさに、辺りは一瞬包まれた。
「!」
少年の顔から血の気が引いた。少女はタオルを放り、ソレを手刀で切り裂いたのだ。
「こうしてやるんだから」
と、少女は腕を組んで息巻いた。
難儀だな……。
様子を窓の外から覗きつつ、オレはしみじみ思った。
やっぱりアイツ、正体があの子にバレるのも時間の問題かもしれない。そりゃ今回は、
助けてやったけど。コレはあくまでも一度限りの、特別出血大サービスなんだから。
「ま、お互い頑張ろうや。”兄弟”」
オレはそう呟いて、今度こそ事務所を去った。
〈了〉
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