Response (新一と平次の会話)

「あのさ、一つ聞いていい? あんた本当に『名探偵コナン』のファンなのか? 
 一体なに考えてんだよ。こんな妙ちくりんな物、読んだり書いたりしやがって。
 あんたの辞書には「常識」って単語はねーのか? ったく、どいつもこいつも
 好き放題やりやがって。それに大体――何で相手が服部なんだよ!
 許せん、絶対に許せん! オレなんかなぁ、オレなんかなぁ!
 一部のファンに「背後霊」とか言われてんだぞ! もっとオレをちゃんと登場――」

「やかましい! いつまで喚き散らせば気が済むんや、おのれは!?」

「……お、お前、いきなり現れといて、ひと蹴るか、普通?」

「お前に言われとうないわ。ったく、肝の小さい奴っちゃの。
 いちいちいちいち、こまい事に目くじら立てよって。たかがパロディやん」

「そ、そりゃそうだけど……」

「たとえどんな形であれ、ファンの皆さんに、他にも活躍の場を貰えるなんて、
 こらキャラとしては最高の幸せのはずや。せやろ?」

「うん……」

「オレの出た事件かて少ないもんや。確か外交官のとホームズのと、
 ほんでから長門さんのと大阪のと……」

「コラ待て。もしかして推理作家の失踪事件の辺り、飛ばしてねーか?」

「え? あったっけ、そんなん?」

「いいねぇ、数え忘れる余裕があって。こっちは一度しか出た事ねーってのに」

「一度、て何言うてんねん。お前かて映画とかぎょうさん――」

「ああ出てるよ。変声機の声と、過去の回想と、中途半端な病み上がりで」

「さ、さよか……。ほんだらやっぱり、まともに出とるんは第1話だけか。
 アレはアニメスタッフさん達に感謝せんとな。短い原作、
 随分膨らましてもろたんやろ? あそこでかなり喋れたんとちゃうか?」

「お前、あの回の数字、幾つか知ってるか?」

「数字て視聴率の事か? ええと、今大体20前後やから……15くらいか?」

「8・5パーセント」(注・シリーズ中最低記録)(※2004年まで)

「うーむ……」

「そうだ、思い出した。お前が原作に初登場したのって、
 丁度アニメスタート時と重なってたんだっけ。そうだよな、
 鳴り物入りでデビューした奴なんかに、オレの気持ちは分かるまいよ」

「工藤……?」

「ファンレターにさ、書いてあるんだよ。
 『コナンくんはどうして大人みたいなんですか?』とか、
 『コナンくんはお父さんやお姉さんと仲がいいですね』とか。
 小学生の読者や視聴者にそんなこと言われるオレの気持ちがお前に分かるか!?」

「わ、分かった、分かったから静かにせーや! 何や帰りたなってきたな……。
 けど実際、あのヘボ探偵の実の子呼ばわりされるんは、ちとイタいかもな」

「だろ? オレにはオレの親がいるんだから」

「江戸川文代」

「何で知ってんだよ、って、そうじゃねーだろ。オレの両親は――」

「そういや、あのお二人さんも滅多に出ぇへんなぁ。同情するわ」

「は……。……はぁ、まぁ……でもアイツらは……縁起物だから」

「何やねんそれ。もっとも、あちらさんが本気出しよったら、
 物語自体終わってまうっちゅう説もあるしな。しゃあないか」

「ああ。人間じゃないよ、ハッキリ言って。特に父さんには色々教えられたし」

「護身術とか?」

「それもそうだけど、被害者の救護法とか、鍵のこじ開け方とか、
 そうそう、薬物の扱いとか……」

「オイ、ちょい待て。お前の家って……?」

「何か?」

「何か? って……ええわ、もう。オレは帰る」

「あ、そう。
 どうでもいいけど落ち着いてるな、お前。ホントに気になんねーのか? この状況が」

「当然や。オレは誰かさんと違て、ガキやないからな」

「ふぅん、それじゃ今後、被害者役にされても犯人役にされても
 甘んじて受け入れるっていうんだな?」

「!」

「何だよ、今のは? 肩震えたぞ」

「べ、別に」

「男に××されまくったり、××に××されまくったりするのも構わないわけ?」

「!!」

「どうした? ガキじゃないんじゃなかったっけ? オイ、オイったら」

「え……え……ええ加減にせんかい、このアホンダラぁ!」

「な、何だよ! やっぱり嫌なんじゃねーか!」

「じゃあかし! 一度ならともかく、二度も三度も繰り返さたら、
 誰かてキレるわ! いてもうたるから、そこ直れぇ!
 ……って言いたいトコやけど、ここは一つ、最後の手段とらせてもらうぞ」

「最後の手段?」

「コレ、何だか分かるか?」

「携帯電話だろ?」

「そうや。ほんで、コレを使うて……
 もしもし? ――オレや、平次や。あのな、今工藤の奴とココにおるんよ。
 何や直接話したい事あるんやて。せやからすぐ来てぇな。待っとるから。
 ――ああ、ほなな、蘭ちゃん」

「!!!」

「あの子が来よったら、コナンの方にバトンタッチするしかないよなぁ。
 それともええ機会やさかい、いっそのこと二人でジックリ話し合うたら――
 ……って言うとる間に逃げよったよ、アイツ。参ったな、蘭ちゃんに何て言お。
 ああ、そうそう。
 今世間で展開されてる事、少なくともオレは全部OKです。
 ただし出来る限り、オレらには――純粋な意味で――良い芝居をさせて下さい。
 それからさっきのアホのよーに、あんまり悪ノリするのも堪忍して下さいね。
 と、いうわけで。原作・アニメともども、『名探偵コナン』をこれからも、
 ヨロシクお願い致します!」





続 Responseへ続く

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