『始まりの逆転』実況レポート (法廷パート・前編)

始まりは、白黒の画面。
吊り橋の上で、対峙する男と女。

「その子を……人質をはなしなさい!」
「ダマれ! ち、近寄ると……ヒトジチ、殺すッ!」
「……ザンネンだったわね。あなたは、ここまでよ……」

銃声。

壊れている吊り橋から、急流へと落ちる人影。



場面変わって。
薄暗い、青白い部屋で。独りノートPCを操作している、ノーネクタイの成歩堂。

今回は、そのPC画面を通して、成歩堂と千尋の出会いから更に1年前の出来事が描かれる。
即ち、画面に表示されるのは、

「〜6年前〜 綾里千尋・初めての法廷」の文字である。



開廷直前。
『初めての逆転』を連想させる感じで、人生初の「法廷バトル」に緊張している千尋。

そんな彼女の依頼人(=被告人)の男性は――脱獄した死刑囚。
逃走防止のための鉄球を普通に持てているのは、純粋に謎。
なお、囚人服の名札には「073D」の文字が。

千尋(尾並田未散(おなみだ みちる)……私の、初めての依頼人。
    5年前、死刑を宣告されて服役中だった、脱獄囚)

「過去編」で更に回想シーンが出てくると、流石に混乱してくるので、早めに時間軸を整理。
6年前の法廷の、更に5年前――即ち、死刑宣告を受けたのは11年前、と。

千尋(とにかく、ここは軽い世間話ね。リラックスさせてあげなくちゃ)
と、健気な事を考えている千尋が選んだ話題は。
千「……あ、あの。どうしてダツゴクしたんですか?」



弟子も弟子なら師匠も師匠。



よりによって、そんな重い話題を投げるか普通。

案の定、尾並田は一気に興奮。
尾並田「オレ。ウソ、つかない! ダツゴクなんて、知らない!」
などと騒ぐ端から、
尾「……う。ゴメン。ちょっと、ウソついた」
純な目を潤ませて、即訂正。


……不安だなあ……。(これからの証言とか)


ただ、話を聞くと、やはり事件には裏があるようで。
尾並田「あのオンナ、ウソの証言、した。……だから、死刑判決を……!」
この「オンナ」というのは、この度の殺人事件の被害者・
美柳勇希(みやなぎ ゆうき)刑事(階級は巡査部長)の事。


そんな所に。
「クッ……! 被告人をニラんだって、真相は見えやしねえさ……」

千尋の先輩にあたる弁護士・神乃木荘龍(27歳)が登場。
なお、この時の外見や口調から、この神乃木がゴドーの素顔だという事はまず明白。
千尋の事を名前でなく、「コネコちゃん」呼ばわりする点も、ゴドーを連想させる。

だが、そうやって断片的に真相は分かっても、全体像は見えてこない。
だってこの人、『思い出の逆転』で、既に殺害された事になっていたはずで。
ならば、第3作の世界に登場できるはずは無く。髪の色だって違っているし。

結局、本当の答えが分かるのは、まだ暫く先の話。



ところで、今回相手となる検事だが。こちらも千尋と同じく新人との事。ただし、
「検事局始まって以来の”天才”」(by神乃木)という事らしいが。

神乃木「イキにやろうぜ……イキによォ!」
と、ドコかの怪盗一味みたいな台詞を後にして、さて開廷。



正面上の席に座っているのは、いつもの裁判長でなく、
『盗まれた逆転』の時に登場した、別の裁判官。

で、千尋の前に立ちはだかる検事。
即ち、検事局きっての天才検事・御剣怜侍のお出まし……なのだが。
その服装に、絶句。



誰だこの若い狩魔豪は。(←我ながらワケ分からんツッコミ)



第1作での狩魔豪よりも、まして第1作での御剣自身よりも、遥かにヒラヒラの貴族衣装。
一体全体、ドコの店で売ってるんだろうか。コレって。

なお、この時の御剣は20歳。という事で、思わずその場で指折り計算。
つまり、片や成歩堂がちなみと出会う前、あのピンクのセーター着てるより前に、
片や御剣は師匠コスプレして法廷に立っていた、という計算になる。


一方、弁護人席を見ると。助手ポジションには、コーヒーカップを持っている神乃木が居る。
その様は、間違いなくゴドーそのもの。



まずは御剣によって、最初の発端――尾並田の死刑判決の事が語られる。
その罪状は、営利誘拐と、そして殺人。
その当時亡くなったとされているのは、まだ14歳の少女。

なお、その誘拐事件や、この度の殺人事件があった場所は、「吾童川」。
(この時に表示される上面図は、非常に重要)
御剣「のみこまれた死体は、ほとんど発見されることがない」
という急流らしいが。実際のところは、そうでもなかった模様で。
……それとも、死体じゃなければ発見されるのか。

ところで。この時、川の名にルビ(ふりがな)が出ない事に引っかかった。1周目当時。
普段なら、読みにくい単語はルビが付くか、あるいはカナ書きになるはずなのに。


閑話休題。
こんな感じで、口調も仕草も師匠そのまま、
まるで師匠のクローンのような御剣の話が終わった途端。
裁判官「今……! 私の中で、完全に《真相》が見えたようです」
     「これはもうキマリでしょう。有罪、というコトで」



「異議あり!」



千尋がこう言ってくれたから良いものの。
私も、勝手にゲーム終わらすな、と叫びそうになりました。

そうやって必死になって審理を求める千尋に、御剣は気障に言い放つ。
御剣「……若さというのは、ときに悲しいモノなのだ」
恐らくコレも、狩魔豪の口真似なのだろう。
子供の頃に、弁護士だったお父さんの口真似をしていたように。
そして御剣自身、この言葉の意味を、やがて心から噛みしめる事となるのだ。



最初の証人。イトノコ刑事。コートの色以外は、外見は全く同じ。
しかしその中身は、まだ初々しさが感じられるというか。

糸鋸「半年前より、ついに! やっと! 念願の刑事課に配属されたッス!」
と舞い上がっているイトノコ刑事に、
御剣「胃のあたりが”キュン”となる処分を下すコトになる」
と冷たい一言。
初めての法廷にして、もう刑事への給与査定を考えているのか、この男。


関係者たちが居た「おぼろ橋」の上面図と共に、事件の流れを説明するイトノコ刑事。
さっそく尋問が始められる。
千尋(法廷の作法なら、ゆうべビデオでバッチリ、勉強したじゃない!)
もしかして、「How to 弁護」とか有るのだろうか。この世界。

もっとも、ここまで来たプレイヤーなら、尋問はもう慣れている。
証言を一つずつ丹念に揺さぶって、情報を集めていく。
糸鋸「『動くな! ワレワレは完全に包囲されているッ!』……みたいな」
と、きっと成歩堂だったら120パーセント突っ込みを入れているだろう台詞を交えて。


初法廷から証言操作を仕掛けてくる御剣とバトルした結果。判明していく事実。
尾並田は現場に向かう際、信号待ちのカップルから車を強奪した事。
被害者は事件の前に、メモを残していた事。そのメモに「ちなみ」の文字が見られる事。

そして、矛盾と思わしき部分を見つけて、「異議あり!」宣言(コール)をしてみたら。
千尋「………………………………………」
糸鋸「………………………………………」
御剣「………………………………………」
裁判官「…………………………………………な、なんですか!
    この、いたたまれないキンチョー感は!」
千尋「す、すみません! アタマの中、まっ白になっちゃって」



弟子も弟子なら師匠も師匠。



第1作での千尋が、成歩堂の初陣を、呆れながらも応援していた理由、分かった気がする。


が、しかし。
やっと千尋が見つけた突破口を、御剣はアッサリ塞いでしまう。
御剣「……証拠品は、自分のカバンにしまうことにしている。
   私の知るかぎり、イチバン安全な場所だ」

千尋に問われてから、初めて提出される証拠品。



続いて、更なる証拠として提出される、目撃者の撮った写真。
その肝心の目撃者自身が、なぜが出廷したがらないというのは気になるが。
でも、もっと気になって仕方ないのは、裁判官のこの言葉。

裁判官「今……! 私の中で、完全に《真相》が見えたようです」
     「今度こそ、キマリでしょう! 有罪、というコトで」

だから邪魔するな裁判官。アンタが退廷しな!
……てな事をゴドーだったら言うかもしれないとも思いつつ。
不審な点を指摘してみると、ついに御剣が動揺した。

御剣「ぐ……ムムゥ……ッ! ……新米弁護士があああ……」
やっぱり、その白目になってる様こそが、本来のキミだ。御剣。



この事件において、矛盾があるのは分かった。ならば、その先の答えは何か?
神乃木「トランクから発見された《被害者》……。
     目撃写真に写っている《被害者と被告人》……。
     そして、犯行の瞬間を見たという《目撃者の証言》……」
     「これらの3つのうち、どれかが……《ニセの手がかり》なのさ!」

と言った神乃木の声は、相当に大きかったらしく。
聞きとがめた裁判官に、千尋は慌てて取り繕う。
千尋「あ! 今のは、私じゃなくて、このコーヒーのヒトが勝手に……」
まだこの時には付き合ってなかったんだね。お二人さん。

で、召喚された証人なのだが。
その顔を見た時の当方、自分の目を疑った。



ちなみじゃないか。



喋る台詞も、全くもって、あの『思い出の逆転』の美柳ちなみそのもの。
「あの……おじさま?」
「なにぶん初めてですから、いたらない点もあると思いますの。
 こんなムスメですが……よろしくおねがいいたしますね」

けれども。彼女が名乗った名前は、ちなみではなく、「無久井里子(むくい さとこ)」。
その身分は大学生。
身元がハッキリしていれば、偽名というのも考えにくいが……。

そんな中。意味深長な一幕。
里子「………………………………」
千尋「……?」
   (私を……見つめている……?)

里「あの……。シツレイですが、あなたさまは……?」
千「え。私は、弁護士ですけど。……綾里千尋といいます」
里「……………………そう……。あなたが……」



さて。とにもかくにも、尋問開始。

その尋問は、意外に楽にクリア出来た――と思いきや。
何と、尋問自体が無かった事にされ、里子の証言からやり直すハメに。


それで、改めて尋問して、改めて論説する千尋だが。
しぶとい御剣の攻撃に、結局、屈する事になる。

でも、仮にも御剣が相手ならば、これくらい手こずらせてもらって丁度良いかもしれず。
(第1作を解いた時の苦労をしみじみ思い出す)



神乃木「……帰りに、カフェーに寄っていこうじゃねえか。
     ……うまいモカを飲ませる店を知っているぜ」

と、デート(?)に誘ってくる神乃木を横目に、次の尋問。
そういえば、一度くらいは行けたのだろうか。その店に。

ところが。
何と、この尋問も、尋問自体が無かった事にされ、里子の証言からやり直すハメに。


里子「犯人は、盗んだクルマのトランクをコジ開けて、死体を隠しました」
確かに、実際の車の写真の錠には傷がついている。
彼女の言っている事は正しい。

でも、遠くから見ていた目撃者が、そんな傷の事を知っているわけがない。
と言いますか、そもそもそんな細かい部分まで見えるわけがないのだ。
目撃したと言っている場所からは。


ただ残念ながら、この時の千尋、車の傷の事には触れてくれなかった。
あくまでも「車が見えたか否か」しか尋ねようとしなかった。

そのため、
御剣「カンちがいをしない人間など、この世には存在しないのだよ」
と言われ、里子の尋問自体、またまた無かった事にされてしまう。



そこに神乃木が、おもむろに千尋に助け船。
神乃木「クルマのことはともかく……どうして知ってるんだ?
     『トランクをこじ開けた』なんてコトを……」


そのフォローを受けて、千尋は里子の証言を打ち破る。
千尋「キズのコト……教えてくれてありがとう。無久井里子さん……」

元祖・暗黒オーラ
を立ちのぼらせて。
矢継ぎ早に畳みかけ、千尋は里子を追いつめる。その結果。

里子「ぐ……ぅぅぅ……ッ!
   きゃああああああああああああッ!」



証人卒倒につき、審理は一時中断された。




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