『逆転の切札』実況レポート (法廷パート・前編)

新章の始まりは、筆を動かす画家の姿。
木炭デッサンによるサインを境に、セピア色に染まった世界が動く。

「ショーダウンだ」

という、男の台詞を合図に、それぞれ出されるカード(いわゆるトランプ)。

「……アンタの負けだよ」

彼の静かな言葉の後に続いた物は、絶叫と、そして――悲鳴。

逆手に握られ、振り下ろされる瓶。
舞い散るカードと、流れ落ちていく血。
ソレらの物をきっかけに、やがて世界は、鮮やかな色を取り戻す。
彼は携帯電話を鳴らし、出た相手と会話した。


実は、この時。
”彼”のシナリオは、既に動き始めていたのだ――。





…………などという、大仰なオープニングはひとまず忘れて。
今はまず、頭の中をサラッピンにしようと努めていた、1周目当時。


第1話は当然ながら、法廷パートからのスタート。
初めての「法廷バトル」に挑む王泥喜と、彼の師匠・霧人の会話。

なお、この時、控え室の中をよく見ると、壁の絵画が替わっているのが分かる。

また、この時から法廷記録も見られる。
「検分モード」(※証拠品の詳細を調べるモード。当方による命名)も自由に使える。
弁護士バッジの番号は、「29003」……かな?



霧人「きみも知ってのとおり、今日の依頼人は、私の親友です」
   「事件があった晩も、彼とはディナーをともにしました」
   「最後まで、見捨てるワケには行きません」
ふむふむ。
つまりその親友さんは当時、殺人現場には居なかったわけですね?
…………とゆー意味だと思ってました。初見の時は。てっきり。

王泥喜(先生に言われるまでもない。オレだって、助けたい。
     だって。彼が……彼が、そんなコトをするはずがない!)

と、どうやら王泥喜も随分と、この度の依頼人に入れ込んでいる様子。


そんなところに、問題の依頼人が登場。

その第一印象は、やたらに無口
思わせぶりな無言の“間”が、長いこと長いこと。
王泥喜「あの……ホントによかったんですか? オレで」
と、指名された理由を尋ねても、
「………………………………いずれ、わかる」
「きみなら、やれる。自信を持つことだ」

としか答えない。

そんな依頼人の服装は、黒のパーカー。首にはロケットペンダント。
かぶっているいニット帽には、いつかどこかで見たようなバッジと「PaPa」の文字。
顔には薄く無精ヒゲ。


さあ、果たして、この依頼人と王泥喜とは、どんな関係なのか。
そもそもソレ以前に、この依頼人は誰なのか



疑問を残しつつも、いよいよ開廷。
対戦する検事は、例によって亜内。
かなりムチャやらかしてる頭に思わず笑う。
年齢を確認すれば、とうとう60代に突入している様子。


王泥喜(やれやれ。オレとしたことが、アタマがまっ白だよ)
さっそく出ました、『逆転裁判』名物・弁護人の滝汗ジト目。


そんな風に緊張しまくりの王泥喜を置いて会話する、霧人と裁判長。

わざわざ新人の王泥喜を指名した依頼人も気になるが、
ソレよりも違和感をおぼえたのは、
裁判長「現在、最高の弁護士と言われる牙琉霧人」
という台詞。

だって。この世界で最高最強最大の弁護士と言ったら。
本来は、この人物のはずなのだ。
今回の依頼人、即ち、被告人である――この人物。


裁判長「まことにザンネンです。ひさしぶりの対面が、このようなカタチになるとは。
     ……成歩堂龍一くん」
成歩堂「忘れてほしいですね、ムカシのことは」

…………分かった。



誰か消火器持って来てくれ。キレイサッパリ忘れてやるから。





続く亜内の説明で判明する、我らが初代PC(プレイヤーキャラクター)の身上。
ロシア料理店「ボルハチ」にて暗躍する、ピアニストというより寧ろ、
ポーカープレイヤーこそが、只今の本業であるという。

そのポーカーで起こったトラブルが、今回の殺人事件の発端らしい。
因みに凶器はワインボトル、じゃなかった、グレープジュースのボトル。
それから被害者の名前は、浦伏影郎(うらふし かげろう)。海外からの謎の旅行者。


正直な感想。
この情報を、最初に知った当時。
大いに驚いている自分と同時に、平然と受け止めている自分もいた。

何たってこの世界は、「チュートリアルのため」と称して、
主人公が(作者に)記憶喪失にされるよーな所なのだから。
生きてただけでもヨシとせねば。


そんな中。
成歩堂はポーカー賭博をしていたと話す亜内に、異議を申し立てる霧人。
霧人「静かな情熱……い炎を背にまとったカードだけが、
   その勝負の行方を知っていたのですよ」
と、異様に気障な言い回しで。



さて。さっそく尋問。成歩堂に対して。

この時。普通に尋問が始まった事が、逆に意外だった。
今までは、ごくごく簡単な問い、考えるまでもない問いが最初に据えられていたものだから。
第1作の頃なんて、「この事件の被告人は誰ですか?」だよ?


その尋問で分かった事。
事件現場の名前は、「ナラズモの間」。
その部屋には、室内を覗き見る事が出来る、小窓がある事。他にも仕掛けがある事。
現場では、裏が色と色と、2種類のカードが使われていた事。
そして成歩堂は7年間もの長きに渡って、
ポーカープレイヤーとして生き続けている事。


という事は。
成歩堂が転職(?)したのは、第3作の終了直後という流れに……………………。否。



計算が合わない。



お時間のある方は、じっくり考えてみてほしい。
少なくとも、「第3作終了時から第4作開始時まで=満7年」という論には、
相当に無理がある事が分かるはずだ。
(登場人物たちの年齢を指折り計算すると、もれなく迷宮に入れます)

もっと言えば。ただいま展開中の漫画版や小説版、
そして何よりファンブックなどの展開とも、ことごとく矛盾してしまう。
そちらでの成歩堂は、第3作終了後の世界でも、現役弁護士として描写されているのだから。

もっとも、その辺りの話は、「番外編だから」の答えで解決できる。
実際、ファンブックでのエピソードは、本編と微妙に時系列がズレている部分があるし。

でもしかし、正史の年表が成り立たないというのは。個人的に悩ましいというか何というか。


後それから。どうしても気になるのが、この台詞。
成歩堂「役を作るゲーム……ねえ」
コレ、ポーカーの事だけを指しているとは思えない。今もまだ。



その後、新たに判明する事実。
凶器であるワイン、じゃなかったジュースのボトルには、
成歩堂の指紋が逆手に付いていた事。
即ち、被害者を殴った証拠だと亜内は言う。
……って、セラーやホルダーの類に出し入れする時とかも、逆手になると思うんだけど……?

が、結局のところ、その指紋の謎は解けないまま。
成歩堂「………………………言ったはずです。
     ……事件については黙秘する、と。……今はね」

思い返せば、「初期三部作」の時のコヤツも、肝心な部分は語ってくれなかったっけ。


次に判明する事実。
殺人事件を通報したのは、当の成歩堂だった事。
ここで法廷記録にファイルされる、成歩堂の携帯電話に注目。
第2作の時に初登場したのと同型機……というよりも、
(同一人物ならぬ)同一電話機なのだ。



などなど色々分かったところで。
霧人「さあ。練習はここまでですよ、オドロキくん。……ジュンビはいいですね?」

……?
まさかコレ、新人弁護士を鍛えるための模擬裁判ってわけじゃないよね?





そんなこんなで。
いよいよ事件の関係者、即ち目撃者の、逆居雅香(さかい まさか)が登場。
本人曰く、「ボルハチ」にて料理や写真を提供するウェイトレスだとの事。
この度のポーカーではディーラー役も務めていた模様。

そう言えば、昔読んでた小説の主人公にも居たなあ。この名前(=雅香)。
(『ウェディングドレスに紅いバラ』(by田中芳樹)の花村雅香)


それで、この尋問で、まず論点となったのは。
事件の被害者、そして成歩堂が持っているロケットペンダント

その件を問いただされ、成歩堂が返した答えが、コレだった。
成歩堂「たしかに、コイツはロケットだ。中には、写真が入っている。
     ぼくのムスメの写真が……ね」




僕の娘。



率直に言えば。聞きたくなかった単語だった。コレは。
果たして誰と結婚したのか、その他諸々の疑問が、ぐるぐると頭を回っていた暫く。

しかし。
そもそも7年間ギャンブラー人生してるような人間が、真っ当な家族なんぞ持てるはずが無く。
所帯持ちの裏稼業(でもないのか)って、あまりにも変だぞ。あまりにも。


ともあれ。少しずつ、雅香の証言を崩していく。
その途中、何故かカードについてのトリビアが披露されたりしながら。
(ただし、カード枚数は年月云々etcは、根拠ナシの俗説です。あしからず)

その尋問の際、被害者の持っていた手札を調べるため、「検分モード」が起動。
結果、現場からはカードが1枚消失している事が分かる。(因みにスペードA)
ポーカー勝負に仕込まれていた罠の正体も、また判明する。
雅香「そ。そんなバカなッ! アタシがシカケたのは、成歩堂のほうなのに……」



よし。犯人はコイツで間違いない。これで事件は解決だ。

そう安堵しつつ(私が)、何気なくAボタンを押した時。
そこにすかさず、「異議あり!」のボイスが流れた時。



何かの間違いだと思いました。



けれどもしかし、法廷に響き渡った宣言(コール)は間違いなく、今回の被告人――成歩堂の物。
楽しげに笑う彼の話から明かされたのは、この事件に潜む第三者の存在。
混乱する事態を収めるため、審理は一時中断される。



休憩室にて。
裁判長に呼ばれた霧人は席を外し、王泥喜と成歩堂が残される。


王泥喜の質問を受け、自らのロケットペンダントを開く成歩堂。
成歩堂「見せようか。ぼくのムスメだ……本当だよ」
そう言って、一瞬示されたのは、シルクハット&マント姿の少女
年の頃なら、10歳前後か。(綾里春美と同年代の印象)

……って、それじゃ、ますます計算が合わない。
成歩堂23歳の時代と言ったら、第1作開始前だ。


それから。
7年前に何か事件があった事を匂わせつつ。成歩堂は語る。
成歩堂「人間の思考・感情というものは……かならず。
     身体から”情報”として発信されている」
     「まあ……ぼくも”ある人物”に教わったんだけどね


そして最後に発された、王泥喜へのメッセージ。
成歩堂「ぼくの作戦には……きみが必要なんだよ。きみの”能力”が、ね」



そう。
実は、この時。
7年越しの”事件”の一つが今、決着を迎えようとしていたのだ――。




次へ

他の事件を読む


HOME


inserted by FC2 system