『逆転を継ぐ者』実況レポート (探偵パート1回目)

事の顛末を最後まで見届ける、第4作・最終話。



さて。いよいよ最終話だーと、気軽な気持ちでAボタンを押した、次の瞬間。


「……以上が、この事件に関する事実の”すべて”です」



――????????????――



唐突に現れたメッセージに、
私は何のゲームをプレイしていたんだっけと、頭マッシロ状態になった当方。
日頃の道を歩いていたら、いきなり宇宙に投げ出されたような、そんな感覚に陥った。


その、不安定な浮遊感に戸惑っているうちに。メッセージは自動的に流れていく。

「あなたがたは、その”物語”の最終章に立ち会おうとしている……」
「決めるのは、あなたがたです」



不安を誘う、根本的な原因。

この語り手は誰なのか、分からないから。
そして、この語り手が話しかけている相手は誰なのか、分からないから。
「あなたがた」と呼ばれているのは誰なのか、分からないから。

ただ、少なくとも、王泥喜ではあり得ないはずだ。
それなら「あなた」と単数の表現になるはずだ。


そう。
この事件において、王泥喜はPC(プレイヤーキャラクター)ではない。
プレイヤーの視点が、王泥喜ではないのだ。

もっと言えば。この第4作全体からして、
我々プレイヤーは、王泥喜の視点には立っていない、とさえ言えるのだ。



……この点における論証は、後に譲るとして。
取りあえずは、王泥喜の視点で、物語は進んでいく。





事務所にて。
TVに夢中の、みぬきに対し、独り日記を書き進めている王泥喜。
掃除に続いて、出てきた個性だ。

そこに戻って来た、成歩堂先生。
成歩堂「きみたちも、聞いたことはあるだろう? ……”裁判員制度”について」
と、新たな法制度への試みについて、解説を始める。

ただし、そもそも『逆転裁判』世界の法制度は、現実のソレをゲーム用に作り変えた物であり、
不備があるのは当たり前
現実の法制度からして、完璧な形というのは永久に作り得ないわけだし。

というよりも、現実の法制度と比べる事自体、ナンセンスなのかもしれない。
何たって、傍聴席が観客席状態になっちまってる世界観なんだから。
(参照:『逆転、そしてサヨナラ』での、矢張の乱入)


成歩堂「とにかく一度、やってみようってコトになったんだよ。言ってみれば……テスト、だね」
     「ある事件をサンプルにして、ジッサイに裁判員を6人、選んで。
     その手配をね。ぼくがやることになったんだよ」

この下りを読んだ時、少々混乱。
「テスト」というからには、てっきり架空の事件を扱うんだろうと思ったので。
だって、実際に起こった人死にをテストケースに使うというのは、流石に不謹慎すぎる気が。
もし自分が事件の当事者だったら……と思うとぞっとしない。


成歩堂「《裁判員シミュレーション法廷委員会》委員長ってヤツさ」
コレを見た瞬間。
ああ、この人は、やっぱり民間人じゃなかったんだと私は理解。

何せ、その権限からして尋常じゃない。
成歩堂「扱う事件から、裁判員のコウホ、法廷の手配まで……理想的なチームになるように、
     ぼくが選んで、調整するんだ」



ああた様はドコの天才検事でいらっしゃいますか?



第一、「理想的」なチームを組んじゃマズイだろう。
本来、裁判員というのは、無作為に選ばれる物のはずなのに。



……などと当方が細かく細かくツッコミ入れているうちに、気づいてみたら。
自動的に、王泥喜が担当する事が決定される「シミュレート裁判」。


成歩堂「今朝になって、変えたんだ。……扱う事件を」
     「……ゆうべ起こった事件なんだけどね」

という事は……本来ならどんな事件を扱う予定だったんだろうか。

と言いますか。果たしてこの時点で、成歩堂先生は何をドコまでご存知だったのか。
何もかも一切合切ご存知とゆー可能性も、充分に高いが。


てなわけで。
成歩堂「事件が起こった現場を調べることだけは許可してあげるよ」
     「……そのかわり。関係者の話を聞くのは、ダメだ」

というビミョーな条件のもと、調査を開始する事に。
成歩堂先生から渡された、謎の封筒を携えて。


ところで。
この時の会話に時々まざる、成歩堂先生の三白眼が、ひたすら怖い。
きっと、睨まれて凄まれた時の裁判長って、こういう顔見てたんだろーな。



関係者とは話せないが、被告人に会うのはOKとゆー事で、まずは留置所へ。
するとソコに現れたのは星明子、じゃなかった、依頼人(=被告人)の「絵瀬(えせ)まこと」。

が、しかし。
この、まことには、何を話しかけても無反応。表情さえ変わらない。

動作と言えたのは、せいぜい、みぬきの「ぼうしクン」に驚いて倒れた事と、
ひとを無視してマニキュアを塗る事くらい。
それ以外では、表情さえも変えてくれない。
これじゃ、まるで、絵に向かって話してるみたいだ。



今回も、被告人とは交流不可能な予感を抱えつつ。
最後に貰えた名刺を手にして、事件現場の「どぶろくスタジオ」へ。

そのアトリエで見かけた絵画たち。
それぞれ作風が全然違う点に、まず興味が。

ソコに現れた、例によってお菓子つきの茜と会話。
物陰に隠されている絵画や、机にあるカップや額や封筒etcを調べてから、
科学捜査の件を茜に持ちかけると、
この度の殺人事件で使われた毒物の話題になるのだが。

茜「コレね。アトロキニーネを検出する試薬なわけ」
  「毒性は、超・モーレツなんだけど、体内への吸収は、意外にゆっくり!
  呼吸器への影響が現れるのは、服毒から最低15分間はかかるわ」


この台詞を初めて読んだ当時、私の頭に浮かんだ言葉は、ただ一言。





……やっちまったよ……。  (ため息)





以下、私見。(辛口です)

架空の毒物をトリックに使うというのは、
ミステリ作品では絶対に、やってはいけない事の一つだ。

物語の都合に合わせて、どんな毒物も創って良いのなら、世の推理作家は苦労してません。
その物語の世界では、完全犯罪目白押しになってしまう。
まして、二言目には「科学捜査」を作品のウリにしておきながら、この有り様というのは致命傷

結局のところ、毒性の高い物は即効性だし、遅効性の物は毒性も低い。コレが世の道理。
その道理を敢えて引っくり返すというなら、
せめて『華麗なる逆転』での霊媒設定くらい、あらかじめ入念に説明するのがスジだ。
物語には、作中で使っていい「嘘のレベル」というのがあるのだから。

なお、余談ながら。『思い出の逆転』での毒物描写はお見事。
具体的な薬物名を出さず、「猛毒」という言い方で止めている。
潮解性があるという描写から、恐らく青酸カリではという推測も出来るし。



閑話休題。
ともあれ、そんな謎の薬物を検出してみる王泥喜(というか私)。


何十秒も、何分も、懸命にやりました。1周目当時。
どんな小さな場所も見逃すまいと。隅々まで試薬を撒きました。疲れるまで撒きました。

……まさか、何も出ないから諦める、が正解とはね……。


それで今度こそ、接写した机の上をもう一度。
その結果、今度こそ見事に反応Get。



続いて、次の科学捜査。「X線解析装置」による検出。
まずは練習として、おみくじの中身を確かめてみる事に。

因みに。この時の検出、ゲームのプレイスタイルによって結果が変わるらしく。
当方の場合、1周目では「末吉」。2周目以降は基本的に「凶」。
「大吉」は1度だけ拝めました。


かくて本命、即ち、机にあったい封筒の中身を検出する……わけだが。



一生クリア出来ないかと思いました。1周目当時。



苦戦した最大の原因は、その1周目当時には初代DSを使っていた事。
liteに比べると画面が暗くて見づらいため、
紙の「下」側から慎重に固定させていかないと、どこまで進めたか分からなくなってしまって。

それに。一度の固定が終わるたびに画面が動いて効果音が出ている、
という事にもなかなか気づけなかった。
1周目当時は、無音(ミュート)でプレイしていた事もあって。
その効果音を一度でも聞き逃して次の断面に行ってしまうと、もう二度と取り返せず。
当然ながら、「だいたい読める」という程度では、この検出は決して終わってくれないし。

……今にして思えば。この封筒の中身こそ、最重要レベルの品だったのだが、
そんな事を考える気力も残ってなかった。あの当時は。



そうやって、ひたすら苦労しまくった後。
事件当夜に被害者を取材したという記者と、
それからマジックショーを控えたバランに会うために、
県立国際ひのまるコロシアムへ。

すると早速、出会えたバラン。
何でもこの度の、「或真敷天斎」の名を継いだ公演は、実に7年ぶりだとの事。
というのも、元々この公演は、みぬきの実父・或真敷ザックが受け継いだ物だったのだが。

バラン「今年の、春……4月。あなたの父上は、法律的に”死亡”した事になるのです」
    そして、あなたの父上の正式な遺言状が残されていない以上……
    師匠・天斎の秘術は、このバランに相続されることになるのです。
    ……それが、師匠の意志として、書類が残されているので」
と、バランは、みぬきに説明する。


つまり。
この第4作が、第3作の「7年後」と銘打たれたのは、この事情のためだったのだ。
「失踪宣告」ネタを使うため。
第1作の「時効」ネタに比べると、こちらの法律に詳しい人は限られてくるかもしれない。

なお、念のため補足しておくと……
本来の「失踪宣告」は、「時効」のように自動的に発動する物ではない
ずっと生死不明のままでは困るという事情を、(基本的に身内が)訴えた上で、
満7年後はじめて認められる物である。


このゲームの基本を思い出しつつ、バランにも色々と見せてみる。
すると、成歩堂先生から渡された封筒と、茜から渡された記者の名刺で反応アリ。


ところで。この時の背景には、天流斎マシスっぽい絵描きが見えるが……
「調べる」を選んでもコメント無しなので、真相は不明のまま。



バランの言葉に従って、記者が今いるらしい留置所へ再び。
するとソコに居たのは、挙動不審者、じゃなかった、
「ニュース屋」と名乗る男・葉見垣正太郎(はみがき しょうたろう)。

どうも本人曰く、事件の取材をしている最中らしいが。そもそも。あのその。



何言ってるんだか分かりません。



ひとの話を聞いてない、なんて生易しいレベルじゃない。
何故か腕にペンを走らせるわ、何故か二言目には歯ブラシを振りかざすわ……
画面を見ているだけで頭が痛くなってくる。少なくとも私は。

それでも一応知る事が出来たのは、絵画の盗難事件があったという事。



再び「どぶろくスタジオ」にて。
被害者が贋作師だったという事から関連して、
アトリエに並んでいる絵画たちの、下絵を調べてみる事に。
あの「X線解析装置」を使って。

当然というか、1周目当時は、コレまたエライ一苦労。(どんな苦労したかは前述の通り)
ただ、その下絵たちを初めて見た時は、確かに驚いたものだ。


まさか。まさか。まさか。
成歩堂が失職した7年前にも、この度起こった物と同じような事件たちが有って、
実は王泥喜たちが手がけたのは、壮大な見立て殺人だったのだ――!



……などと色々と期待しまくった、私は間違っているんでしょうか。



結論から言って、事件の本筋とは関係ない
この被害者が、成歩堂先生と縁があったというだけ。

正直なところ、なまじ見づらい白黒の木炭デッサン絵だから、分かりにくくて混乱したのだ。
フツーに、成歩堂先生のポーカーや、響也のコンサートや、
やたぶき屋の屋台にしか見えない(色付きの)絵が物陰に隠されていたという展開でも、
インパクトは充分だっただろうに。


もっと言えば。
わざわざ思わせぶりに、絵の下なんて調べさせた意図が分からない。
1周目はともかく、ネタの割れている今となっては最早、残念ながら手間取るだけ

もっと言えば。
わざわざ思わせぶりに、い封筒の中身なんて調べさせた意図が分からない。
フツーに開けてしまっても構わないと思うんだな、あの流れなら。



とにもかくにも…………くたびれました。




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