『未来への逆転』実況レポート (探偵パート1回目)

【注意事項】
※この記事には、『逆転裁判4』に関する批判が含まれます※



私は、この事件に限り、自ら敷いていたルールを破る。
いわゆる脳内補完に基づいた、独自解釈を行う。

その論旨は、「『逆転裁判5』は、『逆転裁判4』を否定する物語である。」という事。

シリーズにもたらされていた長い”死”を超えて、
元の位置に”伍する”事が、この事件の最終目標なのだ。


奇しくも、我らが名探偵も言っている。
成歩堂「人は、自分の《過去》から逃れることはできない。
     自分の犯した過ち。悲しい思い出。
     逃げても、逃げても……それは、どこまでも追いかけてくる。
     ……空に浮かぶ月のように。
     だから……いつかは、それに立ち向かうしかないんだ。
     過去を断ち切り、《未来》へと進むためには……」






今度は心音を失って、事務所にはみぬきと二人だけ。
なので暫く、成歩堂所長&みぬきのコンビで行動する事になる。

なお、その際、同居人たちを真剣に心配するみぬきに、
少しの違和感と、大きな安心感をおぼえる私。
やっぱり違う。彼女は、前作とは別人だ。



宇宙センター入口では、大河原と出くわすが、そそくさと逃げられてしまう。
そこでラウンジに入り、星成に中を案内説明してもらって、もう一度入口へ戻ると、
またも逃げようとする大河原だったが、そうは問屋が卸さない。

みぬき「みぬきにまかせて! エイ!」
成歩堂(投げナイフが、乗りモノの車輪に突き刺さったぞ!)
み「みぬきの投げナイフは、百発百中ですよ!」

……おまわりさん、裏世界の強者がここにいます。


ところで、そもそも何故、彼は頑なに証言を拒むのか。
尋ねるとサイコ・ロックが発動するが、今度もまた即解除できる。本当に楽だ。

事の起こりは7年前。
星成を危機にさらしただけでなく、或るスタッフを殺め、月の石をも奪った、
この国を脅かすスパイの存在を、大河原は明かした。
そのスパイから、星成や葵を守り抜こうとしたものの、事件が起こってしまったのだ。



7年前当時を調べるため、見学スペースへ。
改めて展示写真を眺めると、黒髪長髪和服の人物が目に留まる。
一体誰だろうと考えていたら、現れたのは、しのぶだった。

しのぶ「ココちゃん、きっととても落ち込んでいると思うんです。
     本当は、この場所に来るだけでもツライはずなのに……」
     「もしかして、ご存じないですか?
     ココちゃんが、こどものころここに住んでいたこと」

かくて、しのぶの口から、心音の半生が明かされる、

しのぶ「いつも、大きくて重そうなヘッドホンをしてました。
     お母さんが作ってくれた、研究用のものだって言ってましたけど……」
順当に考えれば、ノイズキャンセラの類だろうなと、すぐに思いました。
1周目の時点で。

だが……、本来ならこういう話こそ、心音自身が皆に打ち明けてほしかった。
いくら話したくない事情があっても、自分がこの場所の関係者である事くらいは、
進んで話してほしかった。



とにかく、心音に事態を確かめようと留置所へ。
しかし彼女は取り調べが始まる直前。
なので代わりに、馬等島の証言を聞きにきた番刑事に付き合う事に。

馬等島「ワタシは、見マシタ!」
     「法廷を爆破したのは、ヤツだ!」
と、馬等島は、爆弾を作動させた第三者の存在を匂わせる。
ただし、詳細が分かるのは、粉々になってしまった証拠品を検分してからのようだ。



宇宙センターへ戻り、かぐやの研究室へ。
7年前の殺人事件現場でもある。
そこでは王泥喜が、かぐや(&ポンタ)に事情聴取中だった。

心音を「情緒不安定なお姫サマ」と断言するかぐやも気になるが、
王泥喜を「アオイさん」と呼ぶポンタも気にかかる。

かぐや「きっとオドロキくんには、葵くんの”亡霊”が乗り移ってるのね」
    「葵くん、自分を殺したお姫サマを恨んでるんだわ」
……2周目以降、コレを読む度に虫唾が走る。
ある種、葵への侮辱になってる気がして。
勝手に他人の気持ちを騙るなよと。

しかし、誰よりも真実の視える、合理主義者は揺るがない。
成歩堂「科学者の語る怪談なんて、ちっとも怖くありませんよ」
と切って捨てた。


(虐待された)ポンタから語られたのは、機械に自我を宿らせた研究者にして、
心音の母親、希月真理教授の話。

会話は次第に核心へと近づいていく。
だが、研究室を調べる事は叶わない。
ポンタにプログラミングされた排除命令により、
成歩堂所長とみぬきは半ば殴られるように外へ出されてしまう。
みぬきは諦めきれず、一人でもう一度中へ潜入。



単身になり、事務所へ帰還した成歩堂所長は、自らの過去へ思いを馳せる。
ふと部屋を見ると、あったのは誰かからの手紙。
そして居たのは、懐かしい和装の少女。
今や御歳17歳となった綾里春美である。

ただ、この時、手紙の真宵による「ハミちゃん」呼びが個人的に物凄く、物凄く気になる。
何でどうして何故に、素直に「はみちゃん」にしてくれなかったんだ今の制作陣は。
それに、考えてみれば真宵ももう26歳、とうに家元として君臨しているはずであり。
なのに、文章のノリが全然変わってない事にも激しく違和感が……。

因みに。成歩堂所長の例のギザギザ頭は、一応セットした結果だという小ネタも。
まあその割には、確か小学校時代の回想シーンから既に、めっちゃ尖ってるんですが後ろに。



事務所の庶務は春美に委ね、調査再開。
留置所では、番刑事の立ち会いの下、夕神姉弟が面会中。
「明日ですべてオシマイ」と鼻息荒く去って行く姉を横目に見つつ、
今度は成歩堂所長が、弟の方から話を聞く。
が、夕神は、自分こそが7年前の殺人犯だと言い張り続け、一方的に話を打ち切ってしまった。



………………遠い。
成歩堂所長と夕神との距離は、あまりにも遠すぎる。

かつて、この夕神のように、私こそが殺人犯だと言い張る男がいた。
だが彼は、15年来の友情を信じた故に救われた。
成歩堂所長の差し出す手では、夕神には届かないのだ。
夕神が信頼できる人でなければダメなのだ。


今の成歩堂所長に出来る事は、7年前当時を洗い直す事だけだ。
番刑事によると《UR-1号事件》と呼ばれるそれは、
夕神の犯行を立証するには充分な証拠品が揃っている。


そして、ある種、致命的な情報一つ。
夕神の人生自体が、明日終わろうとしているという事。

ここで念のためにお知らせ。
我々の実社会では、死刑執行日は、当日まで絶対に明かされません。
「いつ死ぬか分からない事」そのものも、死刑の罰とされるためです。



そんな中、突如起こった急展開。
宇宙センターにおける、立てこもり事件発生である。
成歩堂所長が駆けつけた先で、春美と、そしてポンタから話を聞こうと
思ったら――ポンタが狂った

正確には、或る人物のメッセンジャーとして動き始めた。
みぬきを含む12名を人質に、15体のロボットが操られているという。



成歩堂「今のあなたのチカラがあれば……
     ねじ曲がった過去だって、変えられるかもしれませんよ」

と、成歩堂所長は交渉(ネゴシエイト)を持ちかけた。
何とか交渉は成立し、成歩堂所長と春美のコンビで、研究室を調査する事に決まる。

そこに訪れるのは、立てこもり犯が指定した「検事役」。
成歩堂所長の青セビロと相対する、赤セビロが降臨した。
成歩堂「御剣”検事局長”殿。もうすぐ、就任して1年になるんだったか?」



上り詰めちまったよ検事人生をこの御人。



我々の実社会でいうところの、検事総長に当たる(はず)。
最高検察庁の長にして、全国全ての検察の頂点に位置する役職である。

その総長、もとい局長から、当時の資料が続々と渡される。
ひとしきり話を済ませると、
「キミに弁護を頼む依頼人の気がしれん」(by御剣局長)など、
会話イベントもチラホラと。

かくて成歩堂所長は、御剣局長から託されていた、真なる依頼を果たす決意を新たにする。





そして。
この章、最後の場所――留置所での、心音の描写について。
私には終始、釈然としない気持ちが付いて回った。

まず、コレ。
心音「実は、あの日……わたし宇宙センターにいたんです」





……はあ?





しかも、話を聞く限り、明らかに不法侵入した上に気絶したと言って、
まともに状況説明すら出来ない有様。
これほど勝手な行いをしていながら、成歩堂所長たちに何ら相談しようともしなかったのは、
少なくとも社会人としてどうかと思う。

トラウマを乗り越えようと本心から思っているのなら、
きちんと周りに断って、計画を立てて堂々とセンターに行けば良かった。
もし、そうしていたら、歴史は確実に違っていただろう。
ひょっとしたら、真犯人の犯行を阻めていたかもしれないのだ。



次に、コレ。
心音「逮捕されちゃったら、弁護士も廃業でしょうね」
あのですね。希月さん。
あなたの前にいるのは、人生2度目の裁判で、セルフ弁護した人だったりするんですが。

それから、母親が構ってくれなかったという不満を語る様にも、ため息が出てしまう。
心音「お母さんがわたしに残してくれたのって、モニ太と……このイヤリングくらいですし」
あのですね。希月さん。
あなたの前にいるのは、10歳の時に実母に、殺人やれと命じられた人だったりするんですが。


子供の頃のヘッドホンについても、
心音「もっともらしいことを、いろいろ説明された気がするけど……あんまり覚えてないんだ。
   子供には難しい話だったし」

思考停止
難しい話じゃない歳になっても、未だに一切調べようとしてない模様。


心音「わたしには、人間とロボットの区別なんかついてなかった……」
というコメントにも私は困惑。
ポンコやポンタは、ヒューマノイド(人型)ではあるけど、
人体と瓜二つのアンドロイドでもないのに。



心音「夕神さんの裁判……わたしの手で無実を証明したかった」

悔しい。本当に悔しい。
なぜ彼女は言わないんだろう。
「わたしに出来る事はありますか?」と。
真宵だって茜だって、弁護士じゃなくても何かをやろうと懸命だったのに。

もっと言うなら、やはりこの再審自体、心音主導でやるべきだ。
作劇から考えても、それが自然な流れだ。


なお、この時、実は恐るべき現象が起こっている。
成歩堂(こんなに真剣なココネちゃんに、ウソをつくしかないなんて!)
と、成歩堂所長は激しく苦悩しながら、取り繕った言葉を告げている。
なのに、心音は無反応のまま鵜呑みにしている。

答えは二通りある。
心音の能力は、体調などにより発揮されない場合があるか。
成歩堂所長の演技力が、人間業を超えてるか。



そこに電話が鳴り、立てこもり犯であるかぐやからの通告が届く。
成歩堂所長の用意した法廷で裁かれるのは、成歩堂所長たちが救おうとする夕神――ではない。

かぐや「アナタが弁護するのは、そのガラスの向こうのお姫サマよ」

そう聞いた心音の、眼の色が変わった。





心音「わたしが、このわたしが……自分の手で……お母さんを?」





そう。
この表情こそが、彼女の真情。
陽気な仮面(ペルソナ)に隠された素顔。

彼女は弁護士じゃない。
彼女は天才じゃない。
彼女は強い人じゃない。
彼女は明るい人じゃない。

トラウマという名前の、漆黒のサイコ・ロックに閉ざされた、
ただ哀れな、一人の少女だ。

成歩堂(人のココロに深く食い込んだこの黒いサイコ・ロックは……決して、外すことができない!)




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