法律事務所にて。
SL9号事件=「青影事件」について、茜から話を聞く。
茜「青影丈は、あのとき……あたしを殺そうとしていたの」
2年前。雷雨の降りしきる、その日。
宝月姉妹の所へと逃げて来た青影。
そこに入って来た直斗。
青影の人質に取られた茜。
落雷による停電。
その後。茜は 「青影事件」の目撃者として、法廷の証言台に立ったものの。
上手く話す事は出来ず。絵を描いたりも、上手く行かず。
結局、最終的な確証がつかめなかったため。証拠品を捏造した巴。
その捏造された証拠を、”知らずに”使ってしまった御剣。
そうやって「作られた」事件によって、青影は処刑されてしまった。
だからこそ、茜は決めたのだ。
将来、科学捜査官になる事を。
茜「今度こそ、自分のコトバで犯罪と戦いたい!」
という、思いと共に。
と、ここで一つ新たな情報。
茜「お姉ちゃん……2年前まで、捜査官だったんです」
それが、SL9号事件を境に、検事局へ異動した次第。
SL9号事件当時の詳細を知るため、留置所へ。
悩める巴から話を聞く。
2年前。警察局副長(かつ主席捜査官)だった厳徒と、副主席捜査官だった巴。
彼ら二人のコンビは、今も刑事課の伝説になっているのだという。
問題の日。
厳徒と罪門直斗による取り調べから逃走した青影は、巴(と厳徒)のオフィスに逃げこんだ。
そして茜が襲われ、罪門直斗が亡くなった直後、巴が現場に駆けつけたのだ。
つながっていく。いつものように。
一見無関係な人物たちが、ことごとく一つの事件へと、つながっていく。
なお、かつての厳徒と巴のオフィスは現在、警察局長室として使われているとの事。
警察局のエントランスにて、罪門と会う。
検事局へ出頭の身だと告げられて、少なからず胸が痛む。
この人の人生には、これからの救いは有るのか。
その罪門から聞けた事。
現場での捜査と、裁判での報告との食い違い。
凶器に関する情報の操作。
SL9号事件が発生したのも、「申し送り」の日だった事。
そして、巴の心が凍りついたのもまた、SL9号事件がきっかけだった事。
ところで。この場面での会話で、気になった事。
「地方警察局長」と「総監」とが、上下関係のような形で使われている事だ。
この二つは本来ならば、ほぼ同格の単語だと思われるのだが。
つまり、『逆転裁判』世界では、こんな感じの対応になるかと思われる。(←私見)
『逆転裁判』世界 | (私たちの)現実世界 | |
警視庁 | 警察庁 | |
総監 | 警察庁長官 | |
警察局 | 警視庁 | |
地方警察局長 | 警視総監 | |
地方警察局副長 | 警視副総監 | |
主席捜査官 | 刑事部部長 | |
刑事部長 | 捜査一課課長 | |
課長 | 管理官 | |
地方検事局 | 地方検察庁 | |
検事局長 | 検事総長 | |
主席検事 | 検事正 |
さて。
これから目指すべきは、警察局長室。
警察署の課長から場所を聞き出して、さっそく向かう。
渡り廊下を通って隣のビルに入り、エレベーターで辿り着く、15Fの局長室。
真っ先に目に留まる物は、重厚なパイプオルガン。(本物)
そこに声をかけてくる厳徒。
読んでいた書類を、デスクに仕舞って。
……そういやこの人、手袋してるんだよな……。
壁にある、2年前の授賞式の写真について話してくれる厳徒。
当時の受賞者である直斗が持っているのは、「剣と盾」のオブジェ。
やはり上の部分は欠けている。
そして、あの壷(のような物)も、後ろに写っている。
などと、当たり障りのない(?)会話でゴマカされ、エントランスへ逆戻り。
体よく追い出されてしまった次第。
もう一度、警察署に入る。
御剣を心配しているイトノコ刑事と会話。
糸鋸「御剣検事は、今。世界中をテキに回しているッス」
「このイヤな流れに……御剣検事が、折れてしまわないか」
確かに実際、折れましたからな……。
一方、当のイトノコ刑事は、仲間からこよなく好かれている様子。
「ノコさん! また連れていってくださいね! あの店」
このあだ名で呼ぶ人がいる事が嬉しい。(実は私も、こう略すので)
そのノコさん、もといイトノコ刑事から聞けた話。
2年前。青影のナイフの刃先が、罪門直斗の体内から発見された事が決め手とされた事。
つまり、コレが不正の証拠だとしたら、刃先を体内に埋めたという事になる。(無茶だなぁ……)
ともあれ、これからの調査には、局長室に入る事が不可欠。
そのためには、捜査官の協力が不可欠。
何を見せたらいいものか、取りあえず片っ端から突きつけてみた。1周目当時。
中でも傑作なのは、アルミ粉。
思いっきりクシャミをされて、散々な目に遭う事に。
でも正直、見てみたいものである。アルミ粉まみれの成歩堂を。
まだ行っていない所は、検事局。
御剣の執務室に入る。
途端、デスクで書きかけの文書を床に捨てる御剣。
取りあえず、プレイヤーの義務として、落ちた紙を調べる。
その文面に、戸惑う茜。
御剣「読めないのなら、教えてあげよう。《じひょうとどけ》……そう読む」
まさしく、折れて潰れる寸前の状態。
2年前の事件当時、証拠品が妙に少なかった事などを含め、
御剣「……警察局と検事局は、2つで1つなのだ」
と、思い悩む御剣。
……実際のところは、むしろライバル関係かとも思いますが。警察と検察は。
気持ちを切り替えて。
2年前の、検事局賞のオブジェの形について尋ねる。
すると暫く展開する、御剣と成歩堂による古典の授業。
因みに、御剣が先生役、成歩堂が生徒役。
御剣「ムジュン……《矛盾》と書く。
このコトバの由来は……ヤリのような武器《矛(ホコ)》と、防具である《盾(タテ)》だ。
このコトバには、有名な物語があるのだが……知っているな」
成歩堂「あ、ああ。聞いたことはあるよ。……ちょっと、ド忘れしたけど」
……………………。
成歩堂「異議あり! その証人の発言は、アキラカにムジュンしているッ!」
御剣「”その証人”ではない。”楚の商人”……だ」
すげえ。ツッコミにツッコミで返した。
つまり。「割れた盾」と「折れた剣」は、矛盾を突きつめた、その結果の暗示なのだ。
が、しかし。
御剣「2年前、厳徒局長の提言で、《矛》は廃止されたようだ」
検事局の地下駐車場。
和牛のシンタマを手にする響華と会う。(※「シンタマ」とはウチモモの肉の事)
響華から改めて語られる、SL9号事件の話。
今の巴は、誰かの手による”操り人形”の一人だという事。
今までの事件の、本当の元凶は寧ろ――厳徒。
響華「彼が扱った事件では……不自然なほど、意外な証拠品が出たものさ」
その厳徒が次に狙っているのが――検事局。
信じがたい事態。
当初は確か、「ドタバタミステリ」と称されていたはずの『逆転裁判』シリーズ。
しかしこの外伝は、トンデモナイ汚職事件になってきた。
にも関らず。
成歩堂(どうやら……やっと、この事件のポイントが見えてきたような気がするな……)
こんな恐るべき事態になっても、怖気づくどころか、冷静に事実だけが視えてしまう成歩堂。
この点が、成歩堂の長所であり、また同時に短所でもある。
成歩堂が今まで戦ってきたラスボス達は、確かに誰も強敵だった。
けれども。
あの小中大は、あくまでも民間人に過ぎなかった。
あの狩魔豪は、あくまでも一介の検事に過ぎなかった。
が、今度はレベルが違う。
厳徒は、ただの個人ではない。
局長という立場の公人なのだ。
つまり「警察」という、権力を持った組織そのものが、今回の敵なのだ。
なのに、ソレを成歩堂は何の意にも介さない。
犯人を見つけて何が悪いのかと。事件を解いて何が悪いのかと。
単純に、純粋に彼は謎を追い続け、解き続ける。
もしかしたら成歩堂、たとえ犯人が国家主席とかだったとしても、
平然と法廷に引きずり出すんじゃなかろうか。
さて。ここで本当に、解くのに詰まった。1周目当時。
攻略本を読んで答えを知った時は、呆然となった。
(以降暫く、辛口失礼)
あの。成歩堂さん。
あなた本気ですか?
そりゃ確かに、このアイテムを見せるのが、
イトノコ刑事の心を動かすのに最も効果的なのは、分かる。分かるけれど。
コレは流石に、御剣のプライバシーの問題になるんじゃなかろうか。
御剣が失踪した時、あんな簡単なメモだけ残して消えた理由が、やっと分かった気がする。
少しでも具体的な事を書いたら、成歩堂にどう使われるか、分かったものじゃない。
ほんの僅かな手がかりからでも、地の果てまでも探し求めて来られそうだ。
何たって、15年間追い求めて、その手に収めた実績があるのだし。
警察署。
(私は)心を鬼にして、件の文書をイトノコ刑事に突きつける。
糸鋸「……自分も、最初は冷たいだけのオトコだと思っていたッス。
でも。今は知っているッス。
御剣検事が、ワレワレ刑事を信じてくれていることを。
それなのに……その信頼を……ワレワレ警察は、ウラ切ってしまったッスね……」
嗚呼。ノコさんまで悲しませた。
その甲斐あって、ついにイトノコ刑事のIDカードを手に入れる。
糸鋸「せめて……最後ぐらいは。検事のチカラになりたいッス!」
おもむろに、Aボタンを押す。
ラストダンジョン、じゃなかった、局長室へ、もう一度。
広い部屋に、成歩堂と茜と二人きり、と思ったら。イトノコ刑事も一緒に来てて。
で、それを見た成歩堂が取った行動に、当方絶句。
「《イトノコ刑事のID》を、ポケットの中でにぎりつぶした」。
キチンと返せ。持ち主に。
順番として、まずイトノコ刑事から事情を聞く。
糸鋸「アンタたち、まさか……厳徒局長を……疑ってるッスか?」
この言葉に、茜も思わず驚くが。成歩堂は本音を語らない。
次に、現場の調査。
一つは、事件当時の状態のままである、巴のデスク。
棚には、巴と茜の写真が飾られている。
もう一つは、現在も使われている、厳徒のデスク。
引き出しに入っていた物は、SL9号事件の証拠品リスト。
御剣の持っているリストの、残りの半分である。
「検分モード」で調べてみると、裏側に妙な画が描かれている。
「青影事件」で、直斗が殺された瞬間の画に見えるが……。
また、そのデスクのそば、部屋の隅には、鎧兜を着けた像が立っている。
何と、持っている武器を含め、全て本物であるらしい。
そして、厳徒の金庫。
タッチパネルを使って、実際にテンキーを押していく。
覚えやすい暗証番号を打ちこんで、開けてみて。
その中に入っていた物は、二つ。
一つは、あの奇妙な壷(のような物)の、最後のカケラ。
明らかに血痕が残っている。
もう一つは、手形の付いている、革の布地。
さっそく指紋検出してみる事に。
結果、現れた答えは。
厳徒の指紋…………ではなくて。
興味津々に尋ねてくる茜に対して、
成歩堂「いまひとつ、ハッキリしないんだよ」
と、敢えて伏せる成歩堂。
その会話を遮る形でイトノコ刑事、成歩堂を横へ引っぱり、小声で囁きかける。(←推定)
糸鋸「なぜ、局長のキンコに、あの子の指紋が入っているッス?」
ひとしきり調査を終えて、イトノコ刑事のIDカードに礼を言う成歩堂。
そんな時。声が響いた。
「……ヒドいなー、それ」
しまった!
ホントこの作品、たった一言の台詞だけで、キャラの声が聞こえてくる気がする。
不意に現れた厳徒。
厳徒「……とにかく。出ていってくれる? みんな」
と、速やかに人払い。
更に。イトノコ刑事に対して。
厳徒「IDは置いてってよ。もう、いらないでしょ、キミ」
「……消えなよ。早く」
と、さらりと解雇処分。
更に。茜に対して。
厳徒「キミ、残ってくれるかな」
と呼び止めて。
更に。成歩堂に対して。
厳徒「……キミはいいよ。出て行って」
と追い出して。
結局、またエントランスへ逆戻り。
もう警察局長室には入れない。
厳徒に抗議するため、戻って行くイトノコ刑事。
なお、茜は事情聴取につき、警察から戻れないとの事。
留置所。
巴「…………………千尋さんも、いい弁護士を育てたものね。……うらやましいわ」
「やはり……御剣くんの言うとおり、でしたわね」
と、成歩堂の熱意にとうとう根負けする巴。
よって、また人物ファイルを突きつけて、告発する。
巴を、がんじがらめに縛っている人物の事を。
二人の会話は、厳徒の話題に移る。
巴「ソンケイする捜査官、でしたわね」
この時、過去形で話している点に要注目。
厳徒の不正を突きつけて、巴を問いつめる成歩堂。
すると、その結果。
巴「私は、厳徒のコトバに逆らうことができないのです」
と、ついに事件の実情が語られる。
多田敷殺人事件は、全て厳徒の命令だった。
御剣の車にある、多田敷の死体を片づけろと。
巴「私が見たとき刺さっていたのは……このナイフだったのです」
と、彼女が示すのは、SL9号事件の飛び出しナイフ。
つまり。巴は、死体に改めて、御剣のナイフを突き刺したのだ。
そして、彼女はその後、茜に電話をかけた。
車に隠した、SL9号事件のナイフを始末するようにと。
また、厳徒から命令された直後も、巴は罪門に電話していた。
が、その電話が逆に、罪門を別の事件へと駆り立ててしまったのだ。
話を終えて。これ以上、事件を解くなと頼む巴。
しかし、成歩堂の決意は揺るがない。
全てを明らかにする事。
それがミステリにおける、”探偵役”の義務なのだ。