『燃え上がる逆転』実況レポート (前編)
(事件発生前)

東西に分裂した国々。
落とされるマッチの火。
舞い降りるカラスの姿。
そして広がる深紅の世界。
御剣「おのれ……ヤタガラスめ! ミクモくん! キミは……!」



映画の予告編かと思った。



無論、コレらは全て、この度の事件のパーツである。



さて。自分の執務室のソファにて、御剣はカップ片手にリラックスタイム。
御剣(こうしていると……ユメのように思えてくる。あわただしかった、ここ数日が)
   (どうして、こうも事件が続くのだろう)

こう思うのも当然の話。
何せ『逆転エアライン』で帰国してから、たった2日しか経ってない。
今まで1年単位で一つの話だった事を考えると、あり得ないほどの過密スケジュールだ。

御剣(今日ぐらいはオダやかに過ごさせてもらいたいものだ)
という願いは、しかし叶うはずもなく。
美雲「ミツルギさーんっ! 事件だ、事件だい!」
   「さあさあ、ニセヤタガラスを探しに行きましょう!」

いきなり乱入してきた美雲。
って、よく考えたらココ、仮にも公共の官舎のはずですが。
意外に侮れないぞ、美雲のこの不法侵入能力。

そんな彼女が見せたのは、
『過ぎ去りし逆転』のラストでも登場した新聞記事。
そこには、ヤタガラスが送ったという予告状が載っている。
御剣(気になるのは、昨夜私の部屋で見つかった、このカード……。
   新聞に載っているものと色が違う。どういうことなのだ?)






かくして、ニセカラスこと葛を追うために、御剣&美雲がやって来た場所は。

「今宵の月の冴え……ミゴトなモノなり」
「ワタクシたちの門出に、ふさわしいですわ」
「すべてはここから始まるのだ……ソレガシたちの物語はッ!」



何が起こった何が。



御剣「まさか、『トノサマンショー』をやっていたとは……。
   大使館の一部に、これだけ立派な劇場がついているのも驚きだ」

美雲「”トノサマン・大根斬り”にはシビれましたねー!」

タネを明かせば、ココは「アレバスト王国VSババル共和国 親善イベント」の会場。

元「コードピア公国」の二国が共同保有している、大使館内の劇場にて、
まずはアレバスト王国側による「トノサマン」ショーが催され、
続いてババル共和国側による「忍者ナンジャ」ショーが催される予定で……。
って、もうヤダこんな特撮マニアばっかの世界。

御剣「内乱の末、国が分かれた今でも、一つだった頃のなごりがある。
   それぞれの国旗に、花と蝶の紋様があしらってあるのだ」
   (この7年の間に、コードピアは二つに分かれてしまったが……)

美雲「仲悪いみたいですね、この二国。
   でも、さいきん仲直りすることになったらしくて。
   それで、このイベントなんですって」
   「『両国がホンモノを持っていると主張する国宝”ダイカイ像”が、
   今回の会談を通じて、公正な鑑定がおこなわれる予定』……ですって」


以上。この会話まで至って、やっと自由行動できるようになる。
飽きない流れではあるものの、長い事は否めない。
もう少し手前で、話を切れるポイント無かったのかな。



ともあれ。劇場のロビーを、調べつつ進む。
ロビーの右――蝶の描かれたババル国旗のそばから、
ロビーの左――花の描かれたアレバスト国旗のそばへ。

テレビの取材も来ている盛況の中。
焦げたワタアメ、もとい大沢木ナツミに遭遇したりしながら。
見つけた物は、英都撮影所からの花。
美雲「あのマスコットキャラクターも新しくなって、えーっと……」
御剣「……サルマゲくんのことかな?」
美「たしか、そんな名前だった気がする。さすがミツルギさんですね!」
あぅ。
訂正しとくべきだったな。あの時。


それから、にぎやかにオシャベリしてる女の子ふたり。

「今日のショー、何ていうか、すごくコメディーだったよね!」
「ヒメサマンもさぁ、動きがすごく固いっていうかー。
 途中から、コシとかトントンやってたしねー!」

実はコレ、全て伏線の塊である。


御剣「国が二つに分裂したのが、数年前。
   それ以来、大使館も半分ずつ使っているらしい」

と説明しながら、大使館のパンフレットを手に取ると、物語が強制進行。
美雲「あッ! ほら! トノサマンですよ トノサマン!
   それに、ムスコのワカサマンも一緒にいます!」

ロビーの右側から現れた、「子連れ狼」状態のトノサマンと会話……
とゆーかメンチの切り合いをした後、受け取ったサイン色紙を読み上げる。
御剣「”ミツルギくんへ 大江戸亭主トノサマン・OTTO”」
決して達筆とは言いがたいその文字。
「ミツルギ」からして「三ツルギ」としか読めないし。
しかし、ここで疑問が。
そもそもこっち、名前なんて名乗ったっけ?


TVレポーター「これからトノサマンは……アレバスト王国に入国して、大使と握手をおこないます。
        二国間だけでなく……わが国との親交もお考えの大使らしい催しと言えるでしょう!」
        「まもなく、トノサマンショーに続き、忍者ナンジャショーが行われます。
        ショーの後、忍者ナンジャは、ババル共和国に入国します。
        ババル共和国大使との会見が予定されているとのことです」


てなわけで。
トノサマンを見送ってから、忍者ナンジャの『抜け忍ララバイ』ショーを(美雲が)堪能。

終了後には、
美雲「ショー限定発売の「かんざし」が欲しいんですよねー」
なんて呑気な事を言ったりしてますが。
いつまで経っても、ヤタガラスのやの字も出てきやしないのはどういう事か。

そんなところに。今度はロビーの左から右へ走る警官が。

警官「た、大変だーッ! ヤタ、ヤッタ、ヤガタラスが……アレバスト王国に出現しました!」

その吉報(?)に美雲は驚喜。
御剣「ミクモくん。大使館は所属している国の国土扱いになるのだ。
   正式な入国審査をしなければ……」

という御剣の正論にも、しかし彼女は聞く耳もたない。
美雲「わたし、ババル共和国から塀を越えてあっちに行きます!」
  (ババルの門番に)「一条美雲、入ります!」
門番「ハイ、ドウゾー」
御「止めろ! 少しは!」
こうなったら御剣も追うしかない。


御剣「ハア、ハア、ハア……」
息を切らして、ヒザついて。大使館の外を見回したその時。プロローグの時間に戻る。
   「おのれ……ヤタガラスめ!
    ミクモくん! キミは……いったい、どこに行ったのだ!」




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