『忘却の逆転』実況レポート (前編)

「これより、審議を開始する!
 すべての会員は、法の女神のもと良心をもって論じること!
 本審議は……検事・御剣怜侍の能力と適正を問うものである!」



その一方。月夜の晩に、赤服の人物と対峙する美雲。
悲鳴と共に、彼女は闇の底へと墜ちる……。





4/5。「運命の袋小路」まで、あと14日。

検事審査会とやらを敵に回した事で、落ち着きをなくしているイトノコ刑事と、
対してどこ吹く風の御剣と。

確かに御剣、あのゼーレみたいな部屋には、とうに慣れていると思われる。
『逆転、そしてサヨナラ』『蘇る逆転』や、更に言うなら『始まりの逆転』など、
もう何度も出頭してると見た。

とにかく今は、検事審査会の本性を暴かねば。
そのために信楽と、積もる話をするもよし。
……なんて感じで、こっちは事件を待ち構えていたのだが。
予想の斜め下を行くトラブルが降ってきた。


女性看護師・武藤瞳子(むとう とうこ)と共に現れた、記憶喪失の少女。
少女が御剣の名刺を持っていた事から、この執務室を訪ねたそうで。
だったら指紋でも調べれば、身元くらい簡単に分かりそうな気がする。
というか本来なら、御剣の方を病院に呼ぶものじゃないか?

ところが。その直後に見せられた、バッジのデザインに絶句。
……という事は……つまり……。



以下、物語好きとして一言。
記憶喪失というモチーフは、どんな物書きでも一度は手を出す基本のキ。
そもそも、この逆転シリーズ自体、『失われた逆転』という快作を既に弾き出している。

あの彼の記憶喪失は、必然だった。
「チュートリアルのために主人公の経験を消す」という目的があった。
事件を解く際の、要としても機能していた。

よほどの説得力を出さなければ、扱う事は許されない。それが記憶喪失ネタ。
せいぜい、お手並み拝見と参りましょう。
それで、その後の展開なんですが……。


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御剣たちは看護師から、美雲の詳しい診断を教えてもらう。
どうやら、美雲の記憶喪失は心因性であり、何か強いショックを受けた事が原因らしい。
御剣たちは美雲の大事を思って、ひとまず美雲の家に連絡を入れようとする。
しかし美雲は、自分が何者なのか思い出したいと訴える。
何か、一刻も早く伝えなければならない事があるような気がするのだと。
そこで御剣たちは、美雲の心を汲んで、彼女の昨日の足取りを追ってみようと決める。
ただし、美雲が体調を崩さない限りという条件をつけて。

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……って描写がカットされてるのは故障(バグ)ですか?



誠に僭越、かつ申し上げにくいのですが。
コレはないでしょう。コレは。
まさか、必要最低限だろう「設定の説明」が無いまま、機械的に話が進んでしまうとは。
書籍だったら本気で落丁を疑うレベルです。



御剣(記憶喪失……か。記憶の混乱という意味でなら、私にも経験がある。
   父を失ったあの事件の時に……)
なんて台詞が道中で有ったんだと、脳内補完しながらAボタン連打
映画の撮影に臨んでいる少年を見かけた後、50階建ての高層ビル・「ビッグタワー」の屋上へ。





次なる目的は、一条美雲の主張を崩す事。





……あの。コレに尋問しなきゃいけないんですか?



医者でもないのに、情緒不安定になってる人を問いつめるって、
もはや人道的にアウトだと思うんですが。
そう思いながら、Aボタンを押していけば案の定。
美雲「そんな……あたし……ウソは言っていませんッ!
   だれか……赤い……誰かが赤……屋台のむこうに……
   そこから歩いてきて……ああ……歩いて、近づいて……
   その人が……その人が……きゃああああああああッ!」


………………。

この振り上げた拳を、ドコに下ろせばいいのでしょうか。私は。
「赤いレインコートを着た人に突き落とされた」という情報を得るだけのために、
人として大切な物を奪われたような気がします。


その直後、入って来た警官から、
「みくも」という名前の女性が殺されたという話を聞かされて、「前編」は終了する。



肝心の本筋は、まだ何一つ進まないままで。




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