『逆転裁判4』初見所見


――――システムを起動します―――― はい
                           いいえ











「あ、良かった! 約束通り、ちゃんと来てくれて」
「私に限って、遅刻や欠席などあるものか。
 むしろ私としては、キミの方が先に来ていた事に驚く限りだ」

「……って、久しぶりの会話の第一声がソレかよ……」
「それに。まさかキミが、“その姿”でココに来るとはな。
 てっきり…………あのパーカーの方とばかり思っていたが」

「ちょっと、色々あってね。
 というわけで。この通り、今ココでのぼくはあくまでも、きみと同じく20代。
 言わば『青セビロ現役バージョン』って事で。どうぞヨロシク」

「うム。その点に関しては了解した。だが……本当に良いのか? 成歩堂。
 そもそも今回、我々がレビューするよう要請された作品は……」

「そう。この度の新作『逆転裁判4』について、だね」
「だから妙だと言っている。仮にも登場人物の交代がなされたのなら、
 その彼らに任せるのがスジではないのか? 本来ならば」

「イヤ、それが。このサイト管理人――筆者も最初は、
 早々に本格的なプレイ記録を書き始める予定だったんだけど。色々あってさ。
 だからその代わりとして、この別館でのメンバー座長を務めてるぼくにお呼びがかかって。
 で、その話相手として、きみを指名させてもらったわけ」

「そういう事……か」
「そういう事。……ええと、じゃあ何から話そうかな。
 とにかく今作は、ただ1周解くだけでも、相当のエネルギーを消費するらしいね。
 少なくとも、ココの管理人はそうみたい」

「それは或る意味、当然だろう。今作は、事件のテーマがデリケートである例が実に多い」
「まあね。例えば……そう。今このDSに出てるこの下りとか?」
「その画面は、最終話の『7年前の法廷』か。…………よくも読み返せるものだな己自身で」
「読み返さないと分からない事も、有るだろうからね。
 …………………はい、これで今ぼく死んだ、と。……ええと、それから次の操作は」

「と。…………え、縁起でもない表現をさらりと言うなッ!!」
「だって。仕様がないよコレばっかりは。ぼくが弁護士として“死んだ”のは事実なんだもの」
「しかしだな。そもそも一体何なのだ? あの被告人は。
 決定的な証拠品を持ったまま、審理からも家族からも逃げ出すなど、意味不明だ。
 何故だ? 何故キミの身に、あれほど理不尽な宿命が降りかからねばならんのだ?」

「………………………………。ありがとう。御剣」
「……?」
「そんな風に。きみのように、強く思う人がいてくれるから――――。
 ぼく自身はこうして、まだ冷静でいられるんだ」

「……!」
「そりゃ思うよ、ぼくだって。あんまりだって。あの手記のページを提出する時だって。
 よりによって、こんな大事な時に、プレイヤーの思う通りに動く事の出来ない
 PC(プレイヤーキャラクター)なんかに、いったい何の価値があるんだ!……って」

「……」
「でも。正直に言えば、ある程度の覚悟はしてたんだ。ぼくの弁護士人生は、
 27歳くらいまでに終わるかもしれないって事は。最初の、第1作の頃から……ずっと」

「ずっと……?」
「ぼくの師匠の千尋さんは、27歳で亡くなった。その時に、『もしかして』って思った。
 予感はあったんだ。そしてその予感は、後の第3作で……より一層、強くなった」

「そうか……。そういえば、神乃木弁護士が襲撃され、
 長年の昏睡状態に陥ったのもまた……彼が27歳ほどの時だったな。確か」

「だから。変な言い方になるけど……まだ良かったと思いたいんだ。ぼくは。
 弁護士としては死んだとしても。一人のヒトとしては、ちゃんと生き残れたんだからね」

「まあ……キミ自身が納得しているというなら、私も深くは追求しない。
 だが、そのキミの件を差し引いても、今作は多くの問題点をはらんでいると思われるが?」

「って言うと?」
「ここに興味深い資料がある。このサイトでアップロードが試みられたものの、没になった覚書だ」
「ああ……ソレ。ぼくがこの前、キミのオフィスにFAXで送った書類だよね。
 でも、ソレは……」

「少々過激な言い回しも目立つ代物だが、いい機会だ。以下に提示しよう」


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全体的に調整不足、説明不足。更なる続編制作が決定しているためなのか。
前作との整合性に欠ける(成歩堂の性格など)。
特に最終話には難アリ。
肝心な判決自体を、プレイヤー自身に委ねてしまうのは、
物語の世界観を根幹から壊してしまいかねない。
それにやはり、あのキャラには振り回された。
最終話の途中、本格的に動いてくれるようになるまで、何と長かった事か。
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「以上、だ」
「…………」

「さて。尋ねたいところだな。この一枚の紙にしたためられた、
 この列挙に対するキミの意見を。……それとも、圧倒されて言葉も出ないか?」

「……あの、さ。……一つだけ確かめて良いですか御剣検事」
「何だろうか」
「確か、ぼくがこの前FAXしたその書類って……もう一枚あったと思うんですけど」
「!?」
「その書類、今日も使うかと思って。ぼくも原紙を持ってきてるんだけど。この、二枚目」
「書かれている文章は一行だけ……か。

 …………『以上。
第2作に関する覚書』…………?

 な。な。な。 …………何だとおおぉぉッッ!!」

「わ。久々に見たな。お前が慌てて叫んでるトコ」
「これが叫ばずにいられるか! 私の下には、このような二枚目の書類など届いていない!」
「え? おかしいな。何でこうなっちゃったんだろ。
 ……あ、そういえば。二枚目を送ろうとした時エラーしてたような気がしないでもないでも」

「そのおかげで、エライ恥をかいたな……。このようなミスをしていてどうする成歩堂。
 日頃からそんな様では、いつかどこかで足下をすくわれるぞ?」

「ごめんごめん。……っていうか、もうとっくに、すくわれてる人生なんだけどね。ぼくは」
「やれやれ。そもそもキミは――――ん? 電話か。
 ――私だ。――そうか、承知した。すぐに現場に向かう。では、後ほど。
 ……すまない、成歩堂。急な案件が入った。
 キミとは近く、また会う事になるだろう。互いに扱う事件で、な」

「そうだね。ゲームじゃない、漫画版の方では、ぼく達まさに現役活躍中だし」
「そういう事だ。それでは、私は失敬する」
「ああ。また後でな」



「…………じゃ、アイツも帰って行った事だし。最後に一言。
 誠に恐れ入りますが、ただいま当サイトでの『逆転裁判4』に関する二次創作は、
 この会話形式のレビューでお許し下さい。
 まずは「実況レポート」や「考察トーク」の方で、どうかお楽しみを。
 更新そのものは全力で続けていくよう、最大限の努力を払いますので。ご心配なく。
 以上、サイト管理人からの伝言でした。
 さて、と。……それじゃ、ぼくもそろそろ行こうかな……」












――――別の時間軸へ移動しますか?――――  はい
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