3.
その数日後。
「だから、言わんこっちゃねーんだよ」
と、したり顔の矢張に言われた。
「おマエらって、ガキの頃もそうだったよな。勝負事になると、最後の最後まで意地張りあってさ。
ゲームとかやってると、まあ凄かった事」
……そうだったっけ?
「で? 結局どうだったんよ、その夜の“勝負”の行方は」
「う」
あの夜の出来事については、もう何も言いたくない。
というよりも、どうか後生だから。
「訊かないでくれ……」
「何だそりゃあ」
御剣も全然教えてくれねーしなー、と矢張は不満げに文句を垂れる。
……そりゃ、向こうも言いたくないかもね。ぼくとは真逆の意味で。
暫くは、会うのは控えよう。あまりにも……恥ずかしくて死ぬ。
「けど、何にしたって……見事に当たったよなー、オレの予想」
「予想?」
「覚えてねぇ? 御剣を送った時、オレ言ったじゃん。
『ヘンな事してんなよ』って。ホント、おマエら二人揃うと、たいてい大騒ぎになるってかさ。
間に立つオレ様の身にもなってほしいぜ」
「あ……」
そうか。あの夜コイツが言ってたのって、そういう意味だったのか。
そうやって気づかってくれてたのに、ぼくってば……。
……って。待てよ。
「おい、矢張」
「はいよ」
「よくよく考えてみたらさ。元々あの夜は…………、
お前がぼくたち二人を無理やり飲みに誘った事が始まりじゃなかったっけ」
「ん? ……まあ、そういう事になるかな」
そう。つまり……。
「だったら、そもそもの事の元凶は…………、お前だ矢張ッ!!」
「お? おおお?」
と、驚いた顔になったのは一瞬だけで、すぐに緩んだ顔に戻って。
「……もしかして、今やっとソレ気づいたのかよ? 成歩堂」
「うるさいよッ!」
腕を振り上げ声を荒らげても、当の本人はどこ吹く風で。
思えば、いつも昔からこうだったっけ、と冷静に考えている自分も居たり。
とにかく。
たった一つだけ、間違いのない事がある。
……いつか絶対に切ってやるぞ、コイツとの腐れ縁だけは……!
〈了〉
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