カプコンバー・来店ログ。(2017年8月12日・11:00の回)
今回のようなお客さんとの出会いを、大切にするために。
今回のような店の対応が、二度とない事を信じるために。
・予約時刻の20分前に到着したところで、突然の雨。
開店前のため、シャッターが細くしか開いてない、故に雨宿りする場所がない。
地下道に入ると、店の様子を確かめられなくなる……と暫く悩む。
・シャッターの隙間から見えた食品サンプル達の中、モンブランは健在だった。
この瞬間、今日の我が目的の8割は達した。
・やや濡れた体を、シャッター開いたバーのロビーで乾かす。客層は9割女性。
・席番号は5。カウンター席。
・全員着席したところで、長だろう女性店員が注意事項を説明した……が。
この私様が聞き取れないほどの早口に肝を潰した。
大逆転裁判2のネタバレは厳禁、って辺りだけは何とか聞き取る。
・カウンター席から、木槌が消えてた。
・よく見ると、3DSも消えてた。
・とにかく品ぞろえを確かめようと、メニューのページをめくる。
・テキーラ、スコッチ、といった文字に目を奪われた私。飲める酒があるじゃないか!
・脱線は程々にして、バイオハザードのページで、モンブランがある事を改めて確認。
・とにもかくにもテキーラと、そして本命をと、「天と地の怒り」と「ブレインケーキ」を注文票に書いて渡す。
・「天と地の怒り」が来る。
薄い味でも仕方ないと覚悟していたが、いざ飲んだら旨い。
文句ないテキーラショット2杯。今までのメニューで我がナンバーワンだ。
・次は何を頼もうか、と注文票をいじっていたら、水に濡れて、千切れた。
まさかと思うが、もしや紙質が落ちているのでは……?
・テキーラを味わってたら、「ブレインケーキ」※が来た。
私「あれ? 頼んだらすぐ来るんですね」
そういや、前にも同じような事があったっけ。甘いの苦手だからありがたいです、と言おうと思ったその矢先。
「だから言ったじゃないですか〜ッ!!」
前述した早口の女性店員に思いっきりノリッノリで言われ、しばし固まった私。というか、ハッキリ言って、引いた。
・後に、注文は食べるその時に、という記述をメニューに確認。
デザートは特に注意、と赤で強調されて書かれてて。
考えるに、今まで余程トラブルが多発したのだろうが。でも。あのさ。客にダメ出しすんなよ。
私も一応、接客業やってるんで。
・気を取り直して、書棚から『レイトン教授VS逆転裁判』の資料集を肴に読む。
・ピザの「ダンテからのおすそわけ」と、スコッチの「ソニックムーブ」を頼む。
その内、右の隣席にお客が座った。年のやや離れた印象の男性二人。
(説明の都合上、年上をAさん、年下をBさんと記します)
・飲み食べしてる私の耳に、彼ら客と、男の店員の会話が聞こえてくる。
客A「逆転裁判で好きなキャラっています?」
店員「僕はよく分かんないんですよ。この人(※前述のダメ出し店員)は、響也が好きです。イケメンだから」
客A「最近のキャラですよねそれ。異議ありとか言うのでしたっけ」
店員「言わないですよ。ただのバンドマンだから。僕詳しく知らないんですけど」
異議ありぃッ!!
・どれほどテーブルをぶん殴って指差してやろうと思ったか。私。
店員よ、キサマは全世界の響也ファンを敵に回した。
そりゃ私は、『裁判4』は好きではないし、響也への興味も薄い。
だけど。それでも。おかしい物はおかしい。
公的な関係者たる店員が、テーマとしている作品の設定を間違えて平然としてるなんて、断じて有ってはならんだろう。
こんなんじゃもう、二度と来れねーやこんなトコ。
グラスを飲み干して、うーうー言ってたら、男性客さんと目が合った。
客A「逆転裁判、詳しいんですか?」
私「はい。知ってます。響也は異議あり言います。
ラブラブギルティだけどガリューウエーブだけど検事です。バンドマンだけど検事です!」
……思い返すと、明らかに酔っ払いの言い回しだが、こんな台詞だったはず。
その後、響也について、つらつらと力説する私に、聞き入って下さるお二人に、そして調子づく私。
私「こういうお話が出来て嬉しいです。今日はこの資料を読みに来ただけのつもりだったから」
と、レイ逆の資料集をお二人に見せ、レイトンと逆裁の関係を唸る。
私「このレイ逆が有ったからこそ、7年間の大空白時代を超えて、青セビロの成歩堂が、所長として帰ってきたわけでして」
客A「そうなんですかー。レイトンは、やった事ないんですけど、それでも面白いですか?」
私「はい! レイトンの世界観に慣れてれば楽しめます。
逆裁の、リアル寄りの考えだと、あれーって感じになっちゃいますが。
でも、レイトンは全年齢対象ですし、ハッピーエンドです。みんな幸せです。
何せ、全部ふりがな振られてるような作品なんで」
と語る私を聞くAさんの傍らで、資料集を読み進めているBさん。
ページをめくる度に、「あ、このキャラいいですね」と好反応を繰り返す。
特にマホーネを気に入った模様。(「可愛い」を連呼してた)
「ジョバンニ」「ユトリノ」といった、安直、もとい独特のネーミングにも驚いていた。
客B「キャラの性格も、名前で決まってるんですか」
私「レイ逆のネーミングって、ホントそのまんまなんです。
見た目のデザインは、大逆の方にに流れた気がします。
この魔法世界の人たちが明治時代には何故か居ると」
客B「ところで、おねーさんが食べてるの、何ですか?」
私「『ダンテからのおすそわけ』です。これです(メニューの写真見せる)。
マヴカプでは、ダンテさんとリュウさんにお世話になりました」
客A「でもダンテって、本編だとクソ弱くないッスか?(笑)」
話から、どうやらAさんは、往年のカプコン作品に詳しい様子。
・「真田の影 猿飛佐助(紅茶)」と、「片倉小十郎 野菜籠盛り」を頼む私。
・その後、お二人は交互に席を外す。
お手洗いと思ったが、手を口元に持って行ってたので、喫煙かもしれない。
・Aさんは、やはり昔の作品に詳しい。
『ストリートファイター2』などの格闘ゲームの話題が出たので、私はマヴカプからデッドプールやロケットの兄貴の話を。
・Bさんは『BASARA』シリーズが好きとの事。
伊達正宗が特に好きと言われた時、ちょうど店内のモニターに「梵天丸」の字を見られた。
私「実際の裁判も、見ると面白いですよ。異議ありなんて本来言わないし。
アレ言うって事は、図星だって事になっちゃうから。
反論する時は、『あの、それはちょっと……』とか、何となく軽く言うんです。
あと、検事さんの早口が凄い。時間内に終わらせようとするから。
ある事件で、年輩の検事さんが、何度言っても、『ヴィレッジヴァンガード』って言えなくて、『ビレ、ビレ』って必死で。
まあ、実際のとは違ってて当然なんです。
もともと逆裁は100年ほど前の欧米ミステリを踏まえてるんです。ペリーメイスンとか、カーの作品とかの」
……とか何とか、飲みながら延々と話してました自分。
お二人が聞き上手で、相槌とか質問とか的確で。本当に、本当に、感謝です。
客A「それにしても、この店に慣れてますよね」
客B「僕たち初めて来たんですよ。こんな店あるなんて知らなかったです。けっこう前から来られてるんですか?」
私「ううん、そうでもないですよ。せいぜい3、4年前だから」
と言ったら、二人して仰け反った。
客A「そんな前から(このお店)あるんですか!?」
私「はい。逆裁の4からあったはずだから、もう7、8年はあるかと」
と、私が昔語りをしてると、Bさんはメニューをめくり始めた。
客B「おねーさん、何か食べたい物ないですか?」
おごるから一緒に食べましょうと促された。
あのオニオンタワーがあればどんなに良かったか……。
私「昔だと、いいのが有ったんですよ。
そのメニューだと、裁判ごっこが出来たんです。
このテーブルに木槌が置いてあって、店員さんが『静粛に!』ってガンガン叩いて、
皆で『異議あり』叫んで、有罪とか無罪とか決まるんですよ。
他にもイベント出来るメニューあるけど、あの裁判が一番でした」
……ホント、何でアレやめてしもたん?
私「こんな風に、隣の人とお話で盛り上がれたのは初めてです」
客A「そうなんですか?」
私「大抵は、一人で集中してる方なんです。
昔はココに3DSも置いてあって、体験版とかやれたから、もう一心不乱に黙々とプレイしてる人とか」
客A・B「あ、ああー……」(ハモってた)
私「お二人のような方にお会いできて、本当に嬉しいです」
客B「いや、それ言ったら、初めて来た時に、おねーさんみたいな人に会えて良かったです」
……礼儀正しい方たちだなあ……。
・すると、また別の店員さんが、今も3DSの貸し出しをしていますと教えてくれました。
(やっとマトモな人でした)
・無論、PS系のコントローラー達もあるわけで。Bさんに、一緒に『BASARA』やりたいとも促された。
ごめん、私、自他共に認める、アクション才能ない奴なんだ。
・それならせめてと、考え抜いたらしいBさん。
モンハンの『こんがり肉』をラストにオーダー。
そう。現在のカプコンバーでは貴重になった、「全員参加イベント」のメニューである。
じゃっかじゃっか、と店内に流れる軽快な曲。
全員の手拍子と共に、Bさんの所に出される皿。
じゃかじゃん!
『上手に焼けました〜!』
Bさんは、いそいそと肉を切り分け、フォークに刺して、
客B「どうぞ」
私の顔の前に、それを無邪気につきつけた。
えと。これ、世間様で言うところの、「あーん」イベントに当たるんじゃないか?
受けるのも断るのも色々やばい状況。
私は極力、肉だけ口に入れるように(フォークに触れないように)して、いただきました。
誠に、おいしゅうございました。決して忘れません、忘れませんとも。
・私もラストオーダーで、半ば恒例の『ゴドーブレンド107号』を頼んで飲む。
カップに書かれてる文字をお二人に見せ、私は満足する。
・気づけばそろそろ制限時間。お二人が出られたのを見届けてから、私も席を立った。