暗黒都市へようこそ

プロローグ「忌むべき魔王の城」

 冒険者の4人は、迷宮の最奥部に辿り着いた。
 そこは、闇が支配する世界。
 秩序は死に絶え、その代わりのように、異形の魔物が生み出されていく。
 魔王を祀る祭壇の上、虚空に穿たれた穴から湧き出す敵を、彼らは敏速に薙ぎ倒していく。

 盗賊のヴァイス・シャインは、敵の群をかい潜るように走り抜ける。
 魔犬とでも呼ぶべき獣の牙と爪を、すんでの所でかわしてみせる。
 が、次の1体は間に合わない。ヴァイスは動けず、次の瞬間を待ち受ける。
 そんな彼の眼前を矢が駆け、それは敵を撃ち飛ばした。

「はっ、危ねえ危ねえ!」
「……作戦通りだろうが」

 軽口を叩くヴァイスに、弓兵のセーブル・アイアンが厳めしく応じた。
 そこに、剣士のアジュア・ブロッサムによる鋭い声が飛んだ。

「ここは大丈夫です! 彼女の方へ、早く!」
「ああ、分かってる!」

 アジュアが刀をふるうのを見届けつつ、ヴァイスは祭壇へ駆けつけた。
 魔法使いのエリュテイア・ウィーナは、優雅に待ち構えていた。

「律儀な方ですわね、あなたも。最初から彼らに全部任せれば宜しいでしょうに」
「これが俺のやり方なんだよ」

 二人は互いに背を向け、祭壇の端へ跳んだ。
 掲げられている宝玉を、カンペキなタイミングで、同時に割り砕いた。
 かくて、戦いは首尾よく終わった。
 無限に魔物を産み出す、通称「エムの祭壇」は停止した…………はずだった。



第1話「お尋ね者はヤバイゼ」

「俺じゃねーよ!」

 俺は宿屋で憤慨していた。
 本当はもっと大きく叫びたいが、周りに知れたらヤバイ。

 俺は突然、お尋ね者になっていた。
 数日前、派手な事件を片づけて、むしろ英雄っぽい扱いを受けてた矢先だ。
 男三人、骨休めとして訪ねたこの町・トリニダで貼られている触れ書きがいうには、
何と俺が町中で虐殺を犯した重罪人、しかもその首謀者なんだと。

 勘弁してくれ、この俺こと「疾風の閃士」様に何の寝言いってやがる。
 今日はこんなにいい天気で、普通ならピクニックでもしたい陽気なのに。

「ヴァイス! 君は何て事をしたんですか!」
「……ヴァイスよ、覚悟はあるか?」

 俺の前には、血相を変えてる仲間の二人。
 アジュアはまだしも、セーブルの激昂ってのを俺は初めて見た。
 弓を射つ、じゃなくて、弓で殴りかかってきそうな勢いだ。が。

「俺が・やるわけ・ねえだろ!」

 ばん!とテーブル叩いて真顔で一言。
 それで流石に二人とも納得したようだった。

 それにしても、いったい何が……?



第2話「偽パーティを捕えろ」

 俺たちは差し当たって、宿を変えた。
 身なりも変えて、改めて町の様子を探った。

 こういう時は、礼儀正しく人当たりのいいアジュアは適役だ。
 一人でどこにでも顔を出し、成果をつかんでくる。
 俺はセーブルを連れ、教会へ赴いた。
 被害者の手当て、そして弔いの話題なら事欠かない。
 そこで手に入れた話は、予想以上に悲惨だった。

 この町では最近、4人組の暴徒が出没するようになったという。
 黒髪の盗賊、東洋風装備の小柄な剣士、大型の弓を持つ大男、銀髪赤眼の女性エルフの魔法使い。
 その特徴は、聞けば聞くほど俺たち本人としか思えない。

 唯一の違いが、残虐さだ。
 どんな事件でも、必ず死傷者が出ている。
 そのパーティは、老人でも赤ん坊でも構わず、積極的に殺していると。

 ふざけるな。
 確かに俺たちは、誰も殺してないとは言わない。
 けど、それを面白がった事なんかあるもんか。
 偽物について聞き込みする間、フードの下の目と鼻がむず痒くてならなかった。
 商人の渡してくれた布で、俺はごしごしと顔を擦った。 



第3話「謎は新たな謎を呼ぶ」

 待ち合わせた酒場で、アジュアは時刻通りに現れた。
 それぞれ、エールとチーズを頼む。
 アジュアは1枚の紙切れを出して話し始めた。

 (偽物の)俺たちから被害を受けたこの町は、血眼になって調査を続け、辺境のサラトガ地方に
拠点がある事までは突き止めた。
 が、調査隊はそこから誰も戻って来ない。
 死体が出る事さえも滅多にないらしい。
 その僅かな死体の発見現場に残されていた、走り書きの写しを、アジュアは手に入れて来たわけだ。

 その写しは一応、地図と呼んでいいのだろうか。
 菱形の四隅に、東西南北と書かかれているだけ。
 後は、「森」と「麦畑」という字が記されている。
 俺は素朴な疑問を上げた。

「ちょっと待てよ。サラトガに、森とか麦畑なんてあったっけ?」
「ありませんね。サラトガ地方は基本的にほとんどが砂漠地帯です。
 まして麦畑なんて、地質的にも絶対にあり得ません」

 アジュアは、きっぱりと言った。 



第4話「囚われの女を助けだせ」

 俺たちは、とにかくサラトガへの旅支度を急ごうと決めた。
 ところが、宿に戻ると、俺宛に伝言が一つ。
 エリュテイアが、レイボール広場で待っているという。
 仲間たちは怪しいと反対したが――あいつは確かにそういうタイプだ――俺は彼らに、
すぐに戻ると謝ってから、広場へ足を向けた。

 彼女は広場で、井戸の前に立っていた。
 表情は固く、白い顔はいっそう白く、緊張している。
 その出で立ちは紛れもなく、俺の知る彼女だった。だが、何かが違う。

「なあ、エリュテイア。他の奴は騙せても、俺はゴマカせねーぜ?」
「どういう事ですの、ヴァイス」
「俺の目は節穴じゃねーって事」

 俺の言いたい事が伝わったのだろう、彼女の指が妖しく動く。
 呪文の準備態勢だ。
 俺も武器を抜こうと身構えた時、けれど別の殺気を感じ取った。
 とっさに彼女に飛びつき、押し倒した。
 一瞬遅れて、俺たちのそばに矢の群が降り注いだ。

「どうやら、俺たちをまとめて始末しようとしてる奴がいるな」

 俺を殺せれば、彼女がどうなろうといいってわけだ。
 彼女を抱き起こすと、不思議な物でも見たような顔で俺を見ていた。

「本物のエリュテイアは、わたくし達が捕らえてますわ。
 返してほしければ、サラトガの『暗黒都市』へいらして下さい」

 そう言ってから、俺の手を振りほどき、あっと言う間に走り去った。
 残された俺は、手の平に目をやった。
 弾みで引き千切ったのか、御印を象った首飾りがあった。
 



第5話「さらば愛しき平穏」

 俺たちは、取っておきの装備品を選び抜いた。
 何があっても切れない、強化の施されたロープ。
 水中でも息が苦しくならない丸薬。
 俺はナイフ、アジュアは刀、セーブルは弓の手入れにも念を入れた。

 三日後。サラトガでは、風の音だけが俺たちを迎えてくれた。
 見渡す限りの砂漠に、草むらがチラホラ。
 建物など一つも有りはしない。

「……奴(やっこ)さんのお出ましだな」

 セーブルがつぶやいた。
 北東の方角から、鳥人(バードマン)の一群が飛んできていた。
 弓矢を構えている者も多く見える。
 早速、矢の雨が襲ってきた。
 勿論こっちも避けようとするが、射つのが速い。雨を通り越して嵐だ。
 初対面の挨拶にしては、少しばかり派手すぎるぜ。
 俺たちは三方に散った。

 やがて異変に気づいた。
 アジュアとセーブルの姿がない。
 その疑問の答えは、間もなく分かった。

 落とし穴だ。
 大人でも、落ちたら上がれないほどの深い穴。
 そのじつ、体が宙に浮いたような感覚が、幾らか続いた。
 その浮遊感が終わると同時に、激痛が全身を覆い、俺は意識を失った。



第6話「暗黒都市の登場」

 どれくらいの時間、気絶していたのだろう。
 俺は暗闇で目を覚ました。
 松明を灯し、辺りを調べた。
 無骨な岩壁に囲まれている。天井は遠すぎて何も見えない。
 体をまさぐり、手を見る。赤い物が付いてない事に感謝した。

 洞窟の横穴は、北へ延びている。
 進むと、先の方から光が見えた。
 着いた出口には、信じられない景色があった。

 上空は霧でよく見えない。そう、空があるとしか思えない。
 ここは地下のはずなのに。
 眼下には、森が広がっていた。
 俺でも分かる、それは混ぜこぜに草木が育っていた。

 北の国でしか見た事ない杉と、南の国でしか見た事ない椰子が、仲良く並んで生えている。
 しかもその隣には、セーブルよりもデカいキノコと、それから、バラの花が咲いている。同じくらいデカいのが。
 アジュアが見たら、学術的にオカシイですって叫ぶぞ。これ。

 俺は10メートルほどの崖を下り、そんな大森林に降り立った。
 きっと、この地下空洞こそが「暗黒都市」なんだ。
 敵のアジトへ殴り込みってのも、悪くねーな。



第7話「罠にかかってなるものか」

 鬱蒼と生い茂る森が続く。
 重なり合う枝をかき分けると、木々の隙間から草原が見えた。
 膝くらいまでの高さの、薄紫色の草が広がっている。

 何度も木の根に転びそうになった俺としては、泉を見つけた気分に近かった。
 少しだけ休ませてもらおう。
 俺は警戒しつつも、草原と森の境目辺りに腰を下ろした。
 草の陰には、白い石ころが落ちている。

 違う。これは人の骨だ。
 俺は屈み込んで、真相を知った。
 紫色のじゅうたんに隠れるように、不気味な花がびっしりと生えている。
 花の奥から漏れているのは消化液。つまり、これは食肉植物なんだ。
 こんな罠にかかってなるものか。俺は、草原から身を退いた。

 森に沿って進もうとした時、唸り声に振り向いた俺は、息を飲んだ。
 魔物がいる。マンティコアに似ているが、様子がおかしい。
 どこか、作りの壊れた細工物のようだ。
 魔物は地面を掻いて、飛びかかろうとする姿勢を取った。
 俺は化け物に向き直り、一直線に懐へ飛び込んだ。
 毛むくじゃらの胸ぐら?をつかみ、首へナイフの刃を叩き込むと、
 両足で蹴って飛び退いた。
 吹き出す返り血を浴びるのは御免だった。
 ともあれ、敵の知性が低かったのが幸いだった。
 本来のマンティコアだったら、こうは行かなかっただろう。



第8話「沼の底に気をつけろ」

 森の途切れた先は、湿地帯が延々と続いている。
 草の茂った島状の浅瀬を目印に、俺は靴を濡らしながら進んだ。
 足の裏に出来るだけ集中する。
 だが、時々深みにはまり、ズボッと沼が俺の足を吸い込む。
 急いで底から引き抜いた足を見て、俺は何とも泣きたい気持ちになった。

 蛭(ヒル)が、土色の身をくねらせている。
 ただ、大きさは片手を広げたくらいある。
 おぞましい事に、俺の服の上からでも血を吸っているようだ。

 浅瀬に着いた俺は、顔を背けながら、そいつらを引き剥がして、力いっぱい遠くへ放り投げた。
 気を取り直して歩く。また足がはまる。以下繰り返し。
 三匹まとめて剥がした時には、いい加減に嫌気が差してきた。

 それでも、少しばかりの幸運にも恵まれたようだ。
 蛭に吸い尽くされる前に、けっこう大きめの、足場になりそうな島に上陸できた。
 これで休憩できる。
 周りを調べると、古びたボートが一隻、打ち捨てられているのを見つけた。
 駆け寄った俺は、船底を叩き、オールを握りしめ、安全である事を確かめてからボートに乗った。
 ときおり水草に絡みそうになりながらも、ボートは速やかに俺を陸地へ運んだ。



第9話「どっちが勝つか主人公」

 着いた陸から丘を登ると、麦畑が広がっていた。
 ちょうど刈り入れ時のようで、牛がのどかに藁を運んでいる。
 人がいるんだ。俺は嬉しくなって駆けだした。

 すぐに、おかしいと気づいた。いるのは牛が3頭だけ。
 というより、雲突くような大きさのこれは、猛牛と呼んだ方がいい。
 猛牛たちは俺を取り囲み、角を振り立て突進してきた。
 俺はタイミングを計って、トンボ返りの要領で飛び退いた。
 猛牛たちは勢い余って正面衝突した。

 それを待っていたように、今度は馬が走ってきた。
 鏡を見たような錯覚を感じた。
 乗ってるのは俺だった。生き写しの偽物だ。
 俺は先んじて、偽物の方へ駆けた。
 擦れ違い様に馬に飛び乗り、偽物を羽交い締めにした。
 もつれ合って地面に転がり、体勢を立て直そうとした時、相手の反応が無かった。

 何だよ。気絶しちまってやんの。こいつ。
 揺さぶって起こそうとしたら、そいつの懐から銅の鍵が落ちた。
 俺は、その鍵を自分の荷物袋に仕舞って歩き始めた。

 何歩か進んだ所で、殺気を感じ振り向いた。
 ナイフの刃先をかわしながら、俺は相手の心臓を正確に刺し貫いた。
 俺は、勝った。俺自身を殺して。
 どのくらい、俺はそこに立っていただろう。
 空が暗くなってきた気がした。
 俺は、エリュテイアのために来たんだ。今はそれだけを考えよう。
 しばらく歩くと、麦畑も終わり、洞窟の入口が見えてきた。



第10話「逃げるチャンスは一度だけ」

 洞窟は北へ向かっている。
 洞窟のほんのりとした暖かさは俺を安心させた。足下の薄暗さも。
 注意が必要だから、余計な事を考えずに済む。そう、さっきの出来事も。
 更に進んで行くと、俺が左手を滑らせている岩肌とは違う何かが見えた。
 白く分厚い石壁だ。中央には樫作りの扉。鍵はかかっていない。
 ゆっくり開けると、中は真っ暗だった。俺は室内に足を踏み入れた。

 途端、派手にすっ転んだ。鈍い痛みが全身を走る。
 階段を踏み外して、つんのめったんだ。
 起きあがろうとしたが、体が動かない。
 ネバネバとした、弾力のある糸のような物が張りついている。

 俺は、慎重に松明を灯してみた。一瞬の内に血の気が引き、緊張した。
 蜘蛛だ。俺の背丈の2倍はある。俺はそいつの巣にかかっていたのだ。
 蜘蛛は目を光らせ、足を音もなく蠢かせて俺に迫ってきている。

 逃げるチャンスは一度だけだ。
 俺は手の松明を振り仰いだ。瞬く間に炎が広がり、部屋の机や椅子にも引火していく。
 住処を焼かれ、床に落ちた大蜘蛛は、狂暴化して近づいてきた。
 俺は部屋の隅へ走った。壁際に置かれていた瓶には、水が入っていた。
 転がすように倒して、水を大蜘蛛に浴びせた。
 蜘蛛の動きも、炎の勢いも衰えた。
 俺は北側の扉に飛びついた。蝶番が古いせいか、動きが悪い。
 何とか出来た隙間を通り抜け、俺は隣の部屋へ飛び込んだ。



第11話「ロボットの側面を狙え」

 そこは、4メートル四方ほどの小部屋だった。
 明かり取りの小窓から光が漏れている。
 棚と机があるだけの殺風景な場所だ。
 棚を調べると、耐火の術を施した防具があった。役に立ちそうだ。
 机には、巻物が一つあった。

 ふと、焦げくさい臭いを感じた。
 さっきの火だ。消し止めたはずの隣室の火が、再び燃え広がってきている。
 俺は防具と巻物を手に、北側の扉から次の部屋へ移った。
 今度は一層、閑散とした部屋で、家具さえもなかった。
 持ってきた巻物をほどいて目を通した。

 警護用の魔法生物「ロボット」についての但し書きだ。
 俺はまだ見た事がないが、魔物の中には、ずっと過去に滅びた「機械文明」によって作られた
種類があるらしい。
 あらかじめ弱点を知っていない限り、決して勝てない強敵なのだとか。

 因みに、この「ロボット」は、正面や背後からでは矢でも魔法でも決して敵わないが、
 側面、ヒトで言う耳の下辺りなら、小剣の一撃でも動きを止められるそうだ。
 そこを狙えば、俺のナイフでも太刀打ち出来そうだな。
 せいぜい覚えておこう。



第12話「魔物を倒して次の部屋へ行こう」

 北への扉を開けていく。
 着いた薄暗い部屋では、さざ波のようなざわめきが響いていた。
 胸を騒がす不愉快な音に、松明を点けようとして、止めた。
 いったん目をつぶってから、もう一度開けて、夜目を凝らした。

 黒い点が、壁を這っている。虫だ。黒光りした、触覚の長いやつ。
 ぽとん、と上からも同じ虫が落ちてきた。
 俺は不快な予想をしつつ天井を見て、全身を強ばらせた。
 天井一面を、同じ虫が埋め尽くしていた。何千何万という大量の虫。
 下手に刺激したら、最悪の死に方が待っていそうだ。
 俺は足の震えを抑えながら、北側の扉から隣室へ移った。

 後ろ手に閉めた扉を、椅子で一応塞いでおいた。
 部屋の隅には水溜まり。獣の骨が落ちている。
 戸棚には薬瓶が幾つか。中央の机にはまた巻物があった。

 開こうとしたら突然、足に痛みが走った。
 足下に水溜まりがあった。
 ただの水じゃない。足が留め付けられている。
 水は俺の足を包みつつ、緩慢に登ってくる。じわじわと服が溶けていく。

 ですよね、やっぱりスライムってダンジョンの基本ですよね。
 俺は棚から、薬瓶の一つを取った。
 ラベルを一瞥して確かめる。対スライム用は確かコレだ!
 ジュッ!と嫌な音を立てて、スライムはカサカサと水分を失っていった。
 さっきの巻物を開くと、それは書きかけの地図だった。
 俺は、通りやすそうな道順を確認した。



第13話「踏み出した足場が落ちるとき」

 扉を開けると、道は再び、北への洞窟に戻った。
 今度の洞窟は暗く、じめじめとして、足場もぬかるんでいた。
 踏みしめたつもりの足が滑った。
 正確には、足を置いた地面ごと崩れ落ちた。
 何秒か置いて、体が岩に叩きつけられた。
 何とか受け身は取れているが、こう何度も落っこちてたら身が保たない。
 息の仕方さえ忘れそうだ。
 ゆっくりと起きあがり、体の節々を確かめた。骨に異常は無さそうだ。

 松明をかざして上を見た。
 落ちた穴の壁には足掛かりもなく、登れそうにない。
 道はやっぱり北へ続いている。こっちを進むしかない。
 その内、だんだん暑くなってきた。汗が吹き出てくる。
 洞窟の岩肌が、赤くゆらめいている。

 前方に現れたのは、灼熱の地だった。
 地面からは、音を立てて湯気が上がっている。
 崖の下には、煮え立つ湖が広がっている。
 まるで火山の火口だ。卵の腐ったあの臭いが鼻を刺してくる。
 湖の上には、北へ橋が掛けられていた。

 やむなく渡る。汗が一瞬で消えてしまうほどの熱気だ。
 立ち止まったら蒸し殺されてしまいかねない。
 湖を渡りきると、再び岩肌の道に戻れた。 



第14話「先手必勝ロボット作戦」

 強烈な暑さにさらされて、おぼろな意識になりつつ、先へ進んだ。
 湖から離れるにつれ、道は狭くなってきた。
 洞窟の入口から、更に進んだ。
 次第に、周りの暑さが和らいできた。

 金属で出来た扉があった。
 見上げるほどに大きな扉。
 押しても引いてもビクともしない。
 アジュアが本気出したら斬ってくれそうな気もする。
 アイツら今頃どうしてるだろう。俺みたいに調べて回ってるのか。

 そんな事を考えた時、壁に鍵穴を見つけた。
 俺の偽物から手に入れた銅の鍵を差し込むと、扉がスライドして開いた。
 一つ開くと、どういう仕組みか、奥への扉も次々と開いていく。
 入ると、石畳の廊下の奥で、何かが動いていた。

 魔法生物の「ロボット」が4体、横一列に並んでいる。
 目?をピカピカと光らせて、音を立てながら近づいてくる。
 細く絞った炎を何条も飛ばしながら。

 先手必勝とばかりに、俺は「ロボット」の側面へ回った。
 鉄の板の隙間に、勢いよくナイフを差し込む。
 その途端、「ロボット」は輝きを失って停止する。
 同じ要領で、俺は4体を順々に停めていった。



第15話「相手の正体を精査せよ」

 廊下の終点の扉は、開いてなかった。
 鍵穴は無かったが、動かせるレバーがある。
 試しに引くと、扉は重々しくスライドして開いた。
 どうやら、ここは武器庫のようだ。丸太がうずたかく積まれている。
 俺でも使いやすそうな剣や弓矢もあった。
 物色してたら、人影が現れた。アジュアだ。
 俺は駆け寄ろうとして、けれど踏みとどまった。

「お前は、本物か?」
「君こそ、本物だっていう証拠を出せるんですか?」

 俺は、腰に付けている木彫りの人形をアジュアに見せた。
 前の冒険の時、記念に買ったお守りだ。
 アジュアは何か言いかけて、結局黙った。
 考えてる事はお互い同じ。
 「偽物が探りを入れてるのなら何も言えない」って事だ。

「そうだな。だったら、腕相撲でもしねえ?」

 俺はそう言って、ナイフを地面に置いた。
 アジュアは、少しだけ笑った顔で、同じように刀を置いた。

「なんちゃってな!」

 言ってナイフを拾うと、人形をアジュアに投げつけた。
 アジュアは取った刀で、見事に人形を真っ二つに斬り裂いた。
 偽物だ。アイツがこんな風に武器を使う事はない。
「お守りを投げるなんていけません!」って説教してくるのが本物だ。

 偽物と分かった途端、アジュアの顔は死人のそれのように見えた。
 俺は丸太の山の方へロープを投げ、上へ飛んだ。
 宙吊り状態の俺へアジュアも跳び、無表情に刀を繰り出してくる。
 それを俺は紙一重でやり過ごす。
 刀の一撃が、丸太を束ねている縄を斬った。
 崩れる丸太の奔流が、着地したアジュアの上にも落ち、転がっていく。
 もがくアジュアを横目に、俺は逃げた。



第16話「冒険者は戦いに燃えるもの」

 北への扉は、難なく開いた。その部屋からは、油の臭いがした。
 それともう一つ、これはセーブルに教えてもらった……火薬の臭いだ。
 西の国で研究されているという、とんでもない破壊力を持つ武器。
 そんなのがあったら、どんな敵でも簡単に勝てるだろう。正直、興奮する。

 使う側も気を付けなきゃ危ないって言ってたが、今は非常事態だし。
 こっちの武器庫からも何か持っていけないだろうか。
 セーブルの弓に少し似た、引き金の付いた太い筒を、俺は選んだ。
 多分これを引っ張れば動くんだろう。

 北への扉からの道は、西へ曲がる。前方に明かりが見えた。
 唐突に、街があった。
 正面には大通りが延びている。
 その先には、ひときわ高い塔が見える。
 大通りの両脇には、立派な建物が並んでいる。
 その建物の間には、人一人ぶんくらいの狭い路地。
 様子を窺うが、生き物の気配はない。

 建物の一つに入ってみた。
 その中は、王族でも住んでそうな内装だった。
 もっとも、壁に絵も掛かってないのが不自然この上ないが。
 テーブルには、食事の用意がされていた。
 歓迎しますってわけかよ。よりによって俺の好物ばっかだし。
 俺は上等の肉に食らいついた。



第17話「砲撃殲滅作戦」

 それにしても、どこもかしこも同じ建物ってのは勘弁してくれ。
 貴族が庭園で作る迷路じゃねーぞ。
 俺はロープで建物の上に登ろうとした。
 が、建物の壁はどれもつるつるとしていて、
 ロープはちっとも引っ掛かってくれない。
 俺は苛立つ気持ちを抑えて歩いた。

 網の目のように入り組んだ路地を超えて、目指す塔の前まで来た。
 猛獣の檻に入る覚悟で先へ進むと、やはり敵の出迎えがあった。
 路地の奥から、わらわらと、ゴブリンの群。
 1体2体なら雑魚だが、これは数え切れない。
 俺は、武器庫から頂いた大筒を構えた。
 深呼吸してから、引き金を引いた。

 ドゥン!!

 低い破裂音と、正面から殴り飛ばされたような強い衝撃。
 同時に、前の方へ煙と炎が飛び出し、魔物の群を台風のように吹き飛ばした。
 俺は、後ろによろけそうになるのを堪えた。
 辺りに静寂が戻っても、キィン……という音が頭の中に響いている。
 耳鳴りが治るのを待ってから、俺は体の力を抜いた。
 確かに、これは人が簡単に使っていい武器じゃない。
 幸いにも、筒は使い終わったらしく、少し軽くなっていた。



第18話「機械の民の秘密」

 塔の入り口に着いた。ここが奴らの本拠地なのか。
 足を踏み入れた時、肩を力強くつかまれた。
 思わず出そうになった悲鳴を、辛うじて飲み込んだ。

「セーブル!」

 だが、呼びかけた声は届かない。これは仲間との再会じゃない。
 セーブルは、万力のような力で俺の肩を潰しにかかった。
 やすやすと片手で俺を持ち上げ、壁に叩きつけた。
 やっぱり偽物だ。
 怪我を嫌がるアイツが、こんな野蛮な肉弾戦をするわけがない。
 俺の首を絞めようと近寄る相手へ、俺は手持ちの弓矢を構え、
 セーブルの眉間を至近距離から射ち抜いた。

 相手の頭が、砕けた。
 俺たち仲間しか知らない、アイツの秘密が露わになった。
 セーブルは身を起し、なおも歩み寄ってくる。
 緑色の血を滴らせながら、鉄色の肉をさらして。
 西の国に残る「機械の民」の末裔は、外見は俺たちヒトと変わらない。
 その血肉の色だけが異なるのだ。

 俺は見るに耐えずに、隣の部屋へ逃げた。
 閉じた扉は、ガラスのはまった脆い物だった。
 案の定、セーブルの拳がガラスを突き破った。
 血塗れのセーブルが入ってくる。

 俺は自分の闘争本能にだけ従って、割れたガラスを握った。
 身を沈めて駆け、奴の太股の付け根へガラスを刺し、裂いた。
 緑に染まって苦悶の声を上げるそれは最早、動く鉄塊でしかなくなっていた。
 俺は歯を食いしばりながら、ナイフで奴の首を斬った。
 それで、やっと相手の動きは止まった。



第19話「レプリカと呼ばれる者」

 ふらふらとした足取りで、階段を上った。
 扉を開けて入ると、そこは誰かの研究室のようだった。
 典型的な魔法使いの姿をした爺さんが、俺を迎え入れた。

「よく来てくれたね。ヴァイスくん」
「あんたは誰だ?」
「まずは楽にしなさい。体もきれいにした方がいい」

 そのお言葉に甘えて、戦いの汚れをひとしきり落とした。
 魔法使いは話し始めた。

「私の名は、ゼメキスという」
「ゼメキス? あの、召喚術の研究で有名な?」
「知ってくれているとは光栄だね」
「詳しい奴が仲間にいるからな。そのあんたがどうしてここに」
「実は、君たちが破壊した後の『エムの祭壇』を、私も調査のために訪ねたのだ。
 宝玉のカケラを制御できれば利用価値があると思ってな。
 その結果として召喚されたのが、君たち冒険者4人のレプリカ(複製)だった」
「レプリカ……!?」
「だが彼らは、自分たちが実験の産物として量産される事実を、受け入れられなかった。
 私は彼らに反逆され、ここに幽閉されてしまった」
「自業自得だな……」
「それだけなら良かったが。彼らの一部は、本物に成り代わろうという野望を持った。
 そのために次々と魔物を集め、この『暗黒都市』を作ったのだ」

 ゼメキスは、ため息をついてから、改めて俺に目を向けた。

「ヴァイスくん。頼む、この都市ごと、彼らを滅してくれないか」
「何だって?」
「私は欠陥品を喚び出してしまった。彼らには『心』がない。
 このままでは残虐行為はエスカレートするばかりだろう」
「どうすれば奴らに会える?」
「ごくたまに、私に術の補強を頼みにくる。
 今は恐らく、核となるカケラの安置場所を守っているだろう」

 ゼメキスは、金の鍵を俺に手渡した。

「ここから西へ進むと地底湖に出る。そこに立つ塔にカケラは隠されている。
 塔の最上階にある鍵穴へ、この鍵を差せば、術の全てを壊せる仕組みになっている。
 後は地底湖から地上へ脱出するだけだ」



第20話「勇者は凱歌を奏する」

 塔から街の路地を抜け、T字路を西へ。
 洞窟は広がっていき、開けた場所に出た。
 前方からの人の気配で、俺は岩陰に身を隠した。

 アジュアとセーブルが、いがみ合っていた。
 偽物同士で仲間割れか。情けない奴らだ。
 立ち去ってくれるのを待ったが、議論はいっこうに終わらない。
 盗み聞きしようにも、音が反響しまくってるからどうしようもない。
 どうしようかと困った時、小石を弾き落としてしまったようだ。
 そう。小さなはずの音は、こだま付きで反響しまくり。バレバレだ。
 俺は開き直って躍り出た。

 まずい。こっちからは逆光だ。
 まぶしい光の向こう側から、長い矢が次々と飛び出してくる。
 焦って岩陰に入れば、一陣の風と共に、大岩が断ち割られる。
 カンペキなコンビネーションでの連続攻撃。
 偽物が、こんな真似まで出来るのか?
 そう思った俺は、大げさな身振りで、ナイフを放り捨てた。
 姿を現し、ありったけの勇気を出して訴えた。

「アジュア! セーブル! 俺だ! 人呼んで『疾風の閃士』、ヴァイス・シャインだ!」
「……来るんじゃない。来たら、射つ」

 セーブルは、歩み寄よろうとする俺を睨んで矢を放った。
 顔のすぐ横を、矢が走っていった。
 続いて、かまいたちのような剣撃が襲った。
 刀の切っ先は、俺の喉から指一本で止まった。

「君は、本当にヴァイスなんですか?」

 俺は黙って頷いた。それだけでいい。
 二人の顔色が変わった。俺は、俺は、俺は!



第21話「全員集合・反撃開始」

「……本当か? 本当の、本当に、本物なのか?」
「間違いないです、目の色が違いますもの」

 二人の信頼を得た事を実感して、遅れて膝が震えてきた。
 良かった、嬉しいよ、お前ら最高のパーティメンバーだよ。

「第一、あの局面で『疾風の』なんて名乗れる人いませんよ。
 結局あれ何なんです? ヴァイスの職業は盗賊でしょ?
 勝手に戦士を名乗っちゃいけないんですよ?」
「ちっちっち、『戦士』じゃなくて『閃士』な。
 俺だけに許されたオンリーのジョブなんだって」
「だから勝手に作っちゃダメなんですよ、そういうのは」
「……そのような事を言い合う前に、情報を交換したらどうだ」

 ごもっともで。
 俺たちは、それぞれの経緯を伝え合った。
 アジュアが見てきたのは、一切が凍りついた氷原。
 セーブルが見てきたのは、動力炉?という名前の場所。

「凄かったんですよ! 古代に滅んだマンモスがいたんです」
「……中心には発電機があったな。地熱エネルギーを使ってるんだろう」

 どーでもいいけど、つくづくメチャクチャなアジトだなあ……。



第22話「レプリカ一族の猛攻」

 最後の地。地底湖に着いた。
 よどんだ深い緑色の湖の中央には、塔がそびえ立っている。
 まるで下界の全てを見下ろそうとしているようだ。
 さざ波一つ立たない、堀のような水面には、橋が一本あった。

 とにかく向こう側に行かなきゃ始まらない。
 俺たちは油断なく、橋を渡り始めた。
 橋の途中には、木箱が幾つも積まれている。
 その箱の山から、うっそりとセーブルの偽物が現れた。
 二人の弓兵が、武器を構えて睨み合った。

「……自分の相手は自分でやる。先に行け、ヴァイス」

 言葉に従い、俺はアジュアと一緒に先へ走った。
 と、今度は木箱を斬って越えてくるアジュアの偽物が。

「僕だって負けませんよ。ここは任せて下さい」

 皆バラバラになるのはマズイ。が、俺に出せるのはちょっかいだけだ。
 それに、本物が偽物に負けたりするもんか。
 下手に援護するよりも、本人同士に戦わせた方がいいだろう。
 敵味方乱れる猛攻を背後に、俺は橋の端まで一気に走った。
 塔へ飛び込み、階段を駆け上がった。
 目指すは最上階。宝玉のカケラの安置場所だ!



第23話「逆転の大勝負!」

 階段を上る。一段飛ばし、二段飛ばし。
 流石に胸が痛く苦しくなってくる。
 肩で息をしながら着いた最上階、狭い屋上の中央には、
 小振りな塔がまた一つ。

「よく来たな。“偽物”」

 塔の前に、俺の偽物が待っていた。眠らされたエリュテイアを抱えている。
 俺が身構えた時、背後に気配を感じた。アジュアとセーブルがいた。

「君の仲間は、もう居ませんよ」
「……今頃は、冥府で待っているところだろう」
「さあ、武器を捨てろ! そうすれば、彼女は助けてやってもいい」

 俺の偽物は、下卑た笑いを浮かべて俺に命じた。
 奴らに囲まれた俺は、ナイフを手放した。
 俺の偽物は、エリュテイアを打ち捨て、揚々と俺に向かってきた。
 もう駄目だ。三方からの同時攻撃から逃げるなんて不可能だ。

 アジュアの刀がきらめき、眼前に突きつけられる。
 俺でなく、俺の偽物の方へ。って……え? え!?
 気づくと、アジュアだけじゃなく、セーブルの弓も偽物を狙っていた。
 彼らの表情を見て、俺は悟った。
 どっちも本物だ! 俺はその場にへたり込みそうになった。

「ば、馬鹿野郎! そーゆー事なら最初から言えよ!」

 俺と同様に騙された俺の偽物は、憤怒の顔で身を翻したが、もう遅い。
 以前の俺の偽物と同じ運命を、奴も辿った。



第24話「最後に笑うものは」

 俺はエリュテイアを抱えると、セーブルに預けた。

「俺はカケラを破壊してくる。ケリを付けて来ないとな」
「……了解した」
「気を付けて下さいね」

 二人は、ぐったりとしている彼女を介抱しつつ、塔を下りていった。
 俺が小さな塔に入ると、エリュテイアがいた。広場で会った彼女だ。
 彼女は憂いを帯びた目で、俺を見ていた。

「危ない!」

 急に叫んで、彼女は俺の背後に身を躍らせた。
 振り返った俺は、瀕死になってる俺の偽物が、彼女を切りつけたのを見た。
 俺は、奴に体当たりを食らわせた。
 奴は突き飛ばされてバランスを崩し、屋上から下の湖へと落ちていった。
 俺は再び振り返り、胸から血を流す彼女を抱き起こした。

「何で、俺を?」
「これで、おあいこ、ですわ。あなたが広場で、わたくしにしてくれた事」

 彼女は、柔らかく笑った。

「わたくしは、欠陥品なの。『感情』があるのは間違ってるって、皆が」
「そんな、そんな事ねーよ! お前は間違ってない!」
「わたくしは、偽物です。でも、本物だったら、わたくしは、あなたを……」

 言葉は最後まで聞けなかった。俺は唇を噛んだ。
 御印の首飾りを、横たえた彼女の胸に置いた。
 塔のてっぺんまで上り、見つけた鍵穴に、金の鍵を差し込んだ。
 術式が動き出したのか、塔が少しずつ震えだした。



エピローグ「VSレプリカの終焉」

 地底湖から地上の湖まで、泳いで脱出する。
 人魚でもなきゃ出来ない芸当を、特殊な丸薬の力を借りて、俺たちは遂げた。
 暫くぶりの空だった。白みはじめた夜空だ。
 陸に出た俺たちは、自分たちが出てきた方角を見やった。

 砂漠だったはずの場所は今、火山になっていた。
 地下から隆起し、噴き出される炎と煙は、何もかも滅する墓標のようだった。
 まるで空をも焼こうとする噴火を眺めていたら、エリュテイアが目を覚ました。
 起きたか、と声をかけようとしたら、思いっきりビンタされた。

「この下郎! わたくしを騙そうなんて千年早いですわ」
「あ、あのなあ……俺は本物だっつーの!」

 俺の後ろで、アジュアとセーブルが肩震わせてる。覚えてろお前ら。

「あーあ。こんな事なら、さっきの彼女の方が断然いいかも」
「彼女? どなたの事ですの?」
「そりゃ、お前だよ。モチロン」

 きょとんとする彼女に、俺はウィンクを一つした。



 最後に。
 後日、俺の冤罪は無事に晴れた。
 ゼメキスの爺さん(ちゃっかり脱出してた)が働きかけてくれたのだ。
 こうして俺たちは日常に戻った。次なるお宝探しの毎日に。



暗黒都市へようこそ <了>
 




HOME

inserted by FC2 system