Invitation

さあ どうぞいらっしゃい
広い 広い海を長く旅して来た あなた
あなたは今 何も無い 何も無いように見える 暗闇に立っています

とにかく 前を見てみましょう
すぐそばに 小さな光が見えるはずです
その光に 触れてみて下さい
その時 あなたは試されます
尋ねられる質問は たった一つ

「あなたは あなたの好きなものを 心から好きだと言えますか?」

この質問に 嘘をつく事は出来ません
少しでも 心に偽りのある人は もう二度と 光に触れる事は出来ません

けれども どうか御安心を
自らの意志で ここまで来たあなたなら きっと答えは「Yes」のはずです
落ち着いて目を閉じて 包まれる白い閃光に その身を任せて下さい
その後 ゆっくりと目を開ければ
あなたは 目的の地に着いています

まずは あなたの周りを見てみましょう
あなたの視界にある物は 透き通る青空 柔らかい芝生 そして 二つの建物

差し当たって その中庭には 遊んでいる子供が三人 見えるかもしれません
また そんな彼らを母親の如く見守っている 長い髪の少女も
でも 彼らに話しかけるのは もう少しだけお待ち下さい

あなたが最初に行くべきは 二つの建物のうち小さな方 別館の方です
その中に入るや否や あなたは四人の人に出会います
黒い手帳を持った 男性が三人 女性が一人
彼らは改めて あなたに質問をしてきます

あなたは何故に この場所に辿り着いたのか?
あなたは 誰が 何が 好きなのか? 嫌いなのか?

大丈夫 決して恐れる必要はありません
あなたの如何なる答えを聞いても 彼らは怒ったり 嫌がったり 捕まえたりしません
そんな彼らの尋問から解放されれば それからのあなたの行動は自由です
気の向くままに 思うままに 歩き回ってみましょう

初めに気になった 中庭の子供たちや少女に 声をかけてみるも良し
二つの建物のうち大きな方 本館の方に入ってみるも また良し

本館の1階にあるのは 大きなロビーと そして個室たち
ロビーでは あなたのお望みの 様々な人たちと共に談笑する事が出来ます
また 個人的な想いならば どうぞ個室たち 彼らの控え室たちの方へ
二人きりの 穏やかな会話を お楽しみになって下さい

本館の2階にあるのは 資料室 即ち図書室たち
どこかの誰かの家のような そんな部屋を思い描いて下されば それで合っています
因みに当方は あなたの世界の あらゆる書籍を取り揃えてございます
探してみれば あなたのお好みの人が読書する様も 見つけられるかもしれません

本館の3階にあるのは 管理人室
ただし ここに入れる人は この地を護り抜く役目を背負う ある少年一人だけ
最新の情報を得るために 本当の真実を得るために 彼は思索に励んでいます

そして最後に
あなたにだけ 教えます
この3階建ての建物には 秘密の地下室への入口や 隠された裏口などもございます
それらがどこに有るのかは 是非ともあなた自身の力で見つけ出して下さい

ああ そういえばあなたには まだこの地の名前を教えておりませんでしたっけ

「無何有の郷」へ ようこそ





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