≪プロロ−グ≫
「大体お前は、何でいちいちこっちの事件にまで首突っこんでくるんだよ」
そう、最初は普通だったんだ。
「せっかくオレが心配して、手伝いに来たっとるんやないか。
せやのに何や、その口のきき方は」
そや、初めは何ともあらへんかった。
「いつドコで誰がお前に手伝いなんか頼んだよ。何時何分何曜日」
「ほぅ、オレが手伝ったらんと、首根っこ引っつかまれてつまみ出されるんは、
一体ドコのどいつや?」
オレ達、喧嘩してたんだよな……。
ああ、せやったな……確か。
「大体ガキのくせに生意気や。ガキはガキらしゅう、大人ししとったらええのに」
「何だと!?」
そこで、オレがこう言ったんだ。
「バーロォ、オレだって好きでガキやってんじゃねーよ!
てめーにオレの気持ちが分かってたまるか!」
そこで、オレがこう言うたんや。
「お前かて、オレの気持ちなんて考えもせーへんやないか!」
「何だ、やるのか?」
「やったろうやん!」
そこで取っ組み合うて、階段から落っこちて……。
で、今こうして、二人して倒れてるんだよな……。
そこまでは、ええんや。
うん、そこまでは、いい。
問題は、そっからや。
ああ、そこからだ。
だ?
……何で『オレが』目の前にいるん
や?
そこまで言い合って、オレ達は目を見合わせた。
転げ落ちた痛みも忘れて、間の抜けた「オレ」の顔を前にして……。
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