『逆転のレシピ』実況レポート (法廷パート1回目)

今回の目的は、五十嵐将兵の証言を崩す事。



開廷直前。
審理を控える成歩堂たちの元に駆けつけるイトノコ刑事。
糸鋸「いッスね! 自分は今日、最初の証人ッス!
   キチンと見つけるッスよ! 致命的なムジュンを!」
   「今日は共同戦線ッス!」




威勢のよいイトノコ刑事に、そこはかとなく嫌な予感をおぼえつつ。さて開廷。
因みに、時刻は午前10:00。

普段通り、普通に挨拶をした成歩堂に対し、何故か感動している裁判長。
裁判長「今度こそ、私たちの成歩堂くんが帰ってきたのですね」
成歩堂(”私たちの”……)
何だかアイドル扱いです。



最初の証人は当然、イトノコ刑事。
糸鋸「名前は所轄所の刑事ッス。糸鋸圭介やってるッス」
ゴドー「……逆だ、刑事」
糸「と、とにかく自分は、きのうからこの事件の担当になったッス!」
という、どこか緊張気味のイトノコ刑事に尋問開始。

ゴドーによって、今回もコーヒーまみれにされながらも、
事件の状況を洗い直す。

だが、いくら共同戦線と言っても、イトノコ刑事にも職務がある。
事件の動機が宝クジらしいという事や、その宝クジがマコの身体から発見された事が、
明らかになっていく。



その上で、更に提示される証拠品。
ゴドー「コイツは、オレたちのマドンナがつけていた、エプロンだ」
黒い染みと、赤い染みとで汚れた、白いエプロン。

ところがゴドーの説明では、目立つ赤い染みについては何故か看過(スルー)。
ゴドー「どうやら……、コーヒーをひっくり返したらしいな」
    「……モンダイは、コーヒーのシミなんかじゃねえ」
    「ポケットさ」

そのため、裁判長がゴドーに尋ねた。
裁判長「なぜ……この血痕についてセツメイがないのですかな?」
ゴドー「《血痕》だと……? なんのコトだ、いったい」
    「ば……バカな! 聞いてねえぞ、オレは!」
糸鋸「それは……いわゆる、あの。ケチャップッス」

何だ。単なる警察との連絡の行き違いか……と、思わずミスリーディングされた1周目当時。
この時のゴドーは、ケチャップの存在自体、認識してなかったというわけだ。



何としてでも、イトノコ刑事の証言を崩したい成歩堂。
その結果、判明したのは。
被害者は事件当日、《ニューイヤー耳鼻科クリニック》へ、
破れた鼓膜の治療に行っていたという事実。
ゴドー「被害者の左耳から、そのクスリが検出された」
という事らしい。


前回の、嘘の裁判などとは一味違う展開に、審理は一時中断される。
因みに時刻は、午前11:03。



休憩室では、マコがイトノコ刑事に憤慨中。
マコ「イトノコセンパイ、ヒドいッス! ウラ切り者ッス!」
   「アタシを助けてくれる、って言ってたのに……思いっきり、クビをしめられたッス!」
   「もー、キライッス! カオも見たくないッス!」



審理再開。
因みに時刻は、午前11:15。

次の証人。今回の本題である、五十嵐将兵。
その職業を尋ねられたら、いきなり逆上。
五十嵐「この不景気で、紋つきが売れると思うかッ!」
     「ワシは、職人なのだ! 和服に、家紋を描いておる。
     紋章上絵師という、下町ジョウチョあふれる家業をいとなんでおる!」
因みに、推理作家の泡坂妻夫氏も紋章上絵師です。(←トリビア)


そんな五十嵐が語ったのは、自分の目撃した殺人事件の流れ。
ソレは、マコの目撃とは何もかも違う世界。言うなれば、もう一つの”現実”。
(そもそも五十嵐の見たウエイトレスの後ろ姿からして、マコとは髪型が異なっている)

もっと言えば、五十嵐はウエイトレスの顔からして、まともには見ていない。
彼が覚えているのは、あくまでもフリルの制服だけなのだ。
つまり、こう言いたくなるのも分からなくはないが――。

成歩堂「そんなもの、ぼくにだって着られる!」



ならば着てみろ成歩堂ッ!  (←誰かさんの口調で読んじゃって下さい)



確かに理屈の上では、こういう表現も決して間違いではないだろう。けれど。
まさか、本当に言うとは思わなかった。

それにしても……素朴な疑問が一つ。
事件当時のマコ、エプロン汚れっぱなしで着てたのか? 着替えないの?



けれども。
この五十嵐こそ、”犯人”のウエイトレスが毒を入れた瞬間を見た目撃者。
裁判長「被告人のウンメイは、あなたの記憶力にかかっています」
と言われるように、責任重大な役目を負っているのだ。

そんな責任重大な五十嵐の証言を崩すため、全力で揚げ足を取る成歩堂。
成歩堂「いてててて!」
てな調子で、五十嵐に散々マメを投げつけられながら。


五十嵐「まちがっとったら、マメ食いながら、”はとぽっぽ”歌ってやるワ!」
と、最初は自信たっぷりの五十嵐だったが。
お得意の「利き手」論で、成歩堂は証言を見事に打ち破る。

成歩堂「それでは、五十嵐さん……はりきって、どうぞ!
     マメを食べながら、”はとぽっぽ”を歌っていただきましょうか!」

って、さり気なく非道い事を言ってると思うのは私だけ?
果たして、嫌味か皮肉か、天然か。


その一方。五十嵐は、男の意地か、哀愁か。
五十嵐「ワシはゼッタイ、まちがえとらん!」
    「あのワカゾウは、たしかに左手でコーシーを飲んでおった!」
必死になって、言い張って。

五十嵐「ヤツは、メガネをかけたほうの耳にラジオのイヤホンをハメとった!」
     「コーシーを飲む前にも、ヤツはイヤホンをいじった!」
     「そしてそのまま、その手でコーシーを飲んだ。左手でなッ!」
ここまで真剣に言っていて、まさか嘘や誤解や勘違いという事は考えにくい。

しかし。法廷記録は、冷酷に語っている。被害者の情報を。
左目にスカウター、もといプログラマー用の「モノクル」を嵌めている事。
左耳は鼓膜が破れているため聞こえない事。
そして、右手でコーヒーカップを持って飲んでいる事。

つまるところ、ソレらから導き出される結論は、こうなってしまう。
成歩堂「この証人の証言は、メチャクチャです!」



だが、そう言われても、五十嵐は訴え続ける。
五十嵐「ヤツは死ぬ前、たしかに左手でコーシーを飲んだんだ!」
――と。

ふと、この時の五十嵐に――――既視感(デジャヴ)を感じた。
今回の冒頭でのマコの立場に、限りなく近いのだ。
確かに見たのに。自分は見たのに。なのに、なぜ誰も信じてくれないのか。

それに、コレは後に分かる事だが。
五十嵐は確かに見たのだ。本当の現実を。彼は真実を言っているのだ。
この時の五十嵐もまた、「味方がいない、究極のコドク」(by成歩堂)の人なのだ。

けれど、今の時点の成歩堂には、そこまで指摘する余裕もなくて。
成歩堂「この証人の証言は、まったくアテにならないッ!」
と、五十嵐を傷つける事になる。マコを守るために。
あちらを立てればこちらを立たず、の状態か。

誰も信じてくれない怒りを豆に込めて、五十嵐は裁判長に向けて投げつけるが。
裁判長「……ムダムダ。ここまでは届きません」
という事は、冥のあのムチだけは特別なのか。



だが、そう言われても、五十嵐は独り訴え続ける。
五十嵐「とにかく、花ビンがコワれた音と光景は、目に焼きついとる!」

ところが。この証言に限っては、成歩堂に指摘されて思い出したらしく。
五十嵐「割れた花ビン……あれ、ワシのテーブルだったワ!」

その言葉に、弁護側も検察側も裁判長も、最早すっかり呆れ果て。
まだ話そうとする五十嵐を、流石に止める裁判長。
裁判長「法廷係官! この証人をつまみ出しなさい」



というわけで。
五十嵐が法廷から追い出された後、成歩堂たちに残された謎。
ソレは、あまりにも食い違いすぎる、二つの物語。

マコだけが見た殺人事件の物語と、五十嵐だけが見た殺人事件の物語と。

二人は、嘘はついてない。どちらも、紛れもない真実。



――何かが、何となく視え始めた――。




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