果たしてどれほど居られるだろうか。
「法廷パート」の後、新たな章に進んでいると気づいている人は。
そう。
ここからは全て、
エピローグ。
フツーにセーブ出来る状態ではあるが、本編そのものは、もう終わっているのだ。
なお、その直前に表示されたメッセージによると、
「判決から一夜明けた、10月10日、午前8時30分。
集中治療室の絵瀬まことは……奇跡的に危篤状態を脱し、42時間ぶりに意識を取り戻した」
という、またも驚くべき展開に。
何に驚くって、アトロキニーネの威力についてだ。
効き始めるまでは何の兆候もなく、
一旦効き始めればあっと言う間に急変し、
しかし解毒すれば何事もなく回復する。
賢者の石もビックリだ。
それでもまあ、
意味なく死なれるよりはマシだけど。
というわけで。
所は引田クリニック。
見舞いに訪れた王泥喜&みぬきに向けて、
まこと「……ありがとうございました。オドロキさんの、おかげです」
「悪かったのは、わたしです」
「わたし……忘れません。何か、お礼させてください!」
と、まことはついに笑顔を見せる。
とゆーか、やっとマトモに喋ってくれて。
とゆーか、やっとフツーに絵を描いてくれて。
とゆーか、やっと被告人と交流できて。
こーゆーのが序盤から有ってくれれば、一体どんなに良かったか。
そして。成歩堂先生に対しても。
まこと「いつか。キチンと目を見て、おわびしたいと思います」
ただ、その後に続いた会話に、一瞬「?」となった当方。
みぬき「みぬきね。知ってたんですよ。”パパ”が生きていたコト」
「だって。7年前の、あの日。パパを裁判所から”消して”あげたの、みぬきだもん!」
王泥喜「け……消した? どうやって!」
み「ヒ・ミ・ツです!」
いやいやいや。どうやっても何も。だからソレはメイスンシステムで言っていたように……。
………………って、ああそうか。もしかして。
王泥喜ってば、メイスンシステムの情報全てを知ってるんじゃないんだ。
裁判員よりも、我々プレイヤーよりも、事の流れを知らないんだ。コイツは。
仮にも、
主人公のはずなのに。それなのに。
…………と、ここで、物語の”視点”は、またも突然に移動する。
所は事務所。
成歩堂先生と会話している、誰だか分からぬ一人称。
「成歩堂さん。これも、あなたの”計画”のうちだったの?」
……少なくともコレは、王泥喜ではない。
我々プレイヤーが操作してきたキャラクターではない。
混乱しつつも、とにかくAボタンを押していって。
それで聞こえた音楽に、それで見えた台詞に、「裁判員」の文字に、激しく頭を揺さぶられて。
それで出た、結論。
『逆転裁判4』の主人公は、王泥喜ではない。成歩堂先生でもない。
最終的な、総合的な”視点”の主こそを、物語の主人公と見なすなら、
少なくとも私にとっては――。
『逆転裁判4』の主人公は、ラミロア。
そんな答えを、自分の中で強引に出そうとする矢先に、またも”視点”は移動して。
成歩堂先生の一人称に切り替わって。
成歩堂(ぼくは、あの子をみていかなければならない。
……ぼくだけが、あの子の素顔を知っているのだから……)
……こうなっちゃうと最早、
誰が主役か分からない。
強いて言うなら、いわゆる「神の視点」というやつか。
小説なら、こういう展開も、まだアリかもしれないが……。
なお、以下の台詞は重要。
成歩堂「半年前。牙琉霧人の事務所で”彼”に会ったときのオドロキ……」
この言葉からも、第1話以前の段階で、王泥喜の素性を知っていた事は明白だ。
そんな事を、つらつらと考えているうちに。
王泥喜「……これで、オレの物語はとりあえず、おしまいだ」
(本来の)我らがPCの、ラストコールを挟んで、エンディング。
みぬきよ、きみは自分のしてきた「本当の事」を、どこまで理解している?
響也よ、あんたはまず成歩堂先生に謝りに行った方がいい。
成歩堂先生よ、ああた様はどうか普通の人でいて下さい。
茜よ、もう刑事なんか辞めて学者にでもなりなさいよ。
雅香よ、あなたはまだボルハチに勤めてるんですか?
滝太よ、お前、心臓の方は治ったのか?
矢田吹よ、もう医者には戻らないわけだな。
河津よ、”本当の意味で”幸せになれたのは、君かもしれないね。
ラミロアよ、早く王泥喜たちに「本当の事」を教えてやって下さい。
葉見垣よ、あんたは悪い人じゃなかった。見た目さえ変じゃなければ。
後そういえば、マキはどうなったんだろうか。消息不明?
で、最後に、まことによる絵画が示されて。
色々考えさせられた物語は、ここに閉幕する。
――――Everything is finished.
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