『蘇る真実、再び』実況レポート (法廷パート2回目)

今回の目的は――全員が、しあわせになる事。



さて開廷、のはずなのだが。
ニックだけでマヤの居ない弁護人席はともかく。
検事席は空っぽのまま。

すると、そこに飛び込んできたバッドニュース。
係官「……検事が……カルマ検事が……今朝、ナニモノかに……狙撃されました!」

そう。コレが「プレゼント」。
被告人席で、くすくす笑うローランドからの。


信じがたい事態に愕然とするニックたちに、割って入る――声。
『大いなる復活』と共に、皆の前に現れるエッジ。
法廷の検事席に、彼は起つ。
この辺りの流れは、『さらば、逆転』と、ほぼ完全に一致。
「ほぼ」と断るのは、一点だけ決定的に異なる点があるから。

エッジ「……フェニックス・ライト。
    この
3年の旅で、私がたどりついたコタエ……。
    この事件が終了したとき、キミもそれを知るだろう」


かくして、前作と同じカードの「法廷バトル」がスタート。
エッジは右手指2本で書類を支え、滔々と起訴状を朗読する。


ニック(今のぼくにしか出来ない事……それは、マヤちゃんを救う事だ)
   「弁護側は、被告人の完全無罪を主張します!」

エッジ「ライト。それがキサマの出した答えか」
失望したぞ、と言っているような気もしないでもない。


エッジは冷徹に職務を遂行。
検察側の証人、被害者の秘書メアリー・ウェーバーは、思い出の写真と共に、
被害者への思いを語る。
エッジ「証人。貴殿のお気持ち、重々察する。
    その悲しみを、しっかり証言していただこう」

ニック(エッジワース……。キザな言い回しは変わらないな)
ツッコミ入れながら、エッジの仕草を真似してるニックが微笑ましい。

ところで、コレは前作から思ってた事だが、
こうやって、先に録音された「心の声」とシンクロして演じるのは、流石というべきか。
音響担当さんの手腕も、また流石というべきか。


ただ、ニックも私も、そんな呑気にツッコミ入れてる場合じゃない。
エッジ「異議あり 弁護人はいたずらに審理を長引かせようとしている」
ニック「異議あり! コレは大事な質問です!
    ……………いや、たぶん大事なんじゃないかと。いや恐らく……」

後ろ頭かりかり掻いてへらへら笑い。


何とか態勢を立て直し、ニックは論理をつないでいく。
ニック「逆転でなく、逆算です」
と、計算を進めていったら、トンデモナイ演算結果が出てしまった。


エッジ「そんなバカな!」
ニック(そんなバカな!)
二人ともども驚愕する事態を見てる私が、腰抜かした。
おののいてる御剣さんの御姿を拝見申し上げた瞬間。吹いた。




タカラジェンヌが白目をむいた!




まさか、まさか、まさか。
原作そのまま、二枚目顔が思いっきり崩れるあのポーズを完全再現。
失神しかねないあの苦しげな表情を、現実世界で見れるとは。
悠未ひろ氏に多くのファンが付いた理由、全力で納得です。

ともあれ、無罪判決に勝ち誇るローランドを前に、ニックは恐慌状態寸前。
ただでさえマヤの件で狼狽しまくってるのに。



そんなマヤの状況に、ぱっと場所が切り替わる。
ローランドVSニックに観客を注目させてる間に、さっと背景が置き換わっているのだ。


どこかの廃墟だろう部屋で、マヤをにやにやと取り囲む、コロシヤ集団。
最低でも7人くらいは、わらわら居る。
因みにボスは、ルード・ベスという名前だそうな。

マヤは空腹を堪えつつ、懸命に祈る。
マヤ「これからは真面目に修行に励みます……!」
あ、そっか。この世界のきみ、まだ修行前なのね。
これから一族の因縁が襲ってくるかもしれんが、頑張れ。マジで。


と、そこに鳴り響く風切り音。
フランツ「大の男がよってたかって、一人の女の子に。
     情けない世の中になったもんだわ」

『大いなる復活』を背負い、ディックとロッタを引き連れて、
フランツが現場に駆けつけた。

ルード「派手な音楽のわりには普通に出てきやがって」
と、ルードのメタ的なツッコミ挟みながら。


かくて始まる、両陣営、入り交じっての大乱戦

フランツは ムチをはなった! コロシヤをたおした!
ロッタは カメラのフラッシュをたいた! コロシヤをたおした!
ディックは まわりこまれた!
マヤは レンガをふりまわした!
コロシヤをたおした! ディックをたおした!
マヤは いのった! コロシヤをたおした!


……妙なセンテンスが混じってるけど流して下さい。


なお、余談ながら。この場面で、
マヤ「カルマさんがんばってー!」
の台詞が入った事がとても嬉しかった。
何とマヨメイである。
後それから、ディックがコート脱いで戦ってるのも高ポイントだったり。



場所は再び法廷へ。
物証に基づいて合理的に類推していったら、妙な結論が出てしまった。
このまま流されていいのか。
困惑するニックを遮るように、声が響いた。

待った!

宣言(コール)と共に登場した、最後の証人。
その決然たる態度に、エッジはニックを真摯に諭す。
エッジ「……ライト。マヤくんの事を心配する気持ちは分かる。
    だが今は、ディック刑事を信じろ」


見つめ合う二人の、覚悟は決まった。
エッジ「キサマの本当の弁護士姿。久々に見せてもらうぞ!」
ニック「………………ああ!」

急展開に泡を食う被告人に、
ニック「確かに、ぼくは弁護士だ。だが、殺人の罪を見逃す事は、ぼくには出来ない!」
エッジ「被告人。この法廷は人間を裁く庭だ。無実かどうか我々が明らかにする。
    キサマは黙って自分の首が締めつけられる音でも聞いているがいい!」

二人揃って啖呵を切る。

まさに熱い名場面!と手放しで褒めたいところだが、原作ファンとして補足。
原作でも、こうして二人は信頼し合って全力で戦いに挑む。
ただ、この場面に至る前に、マヤこと真宵の安否はある程度判明している。
真宵にしか出来ない方法で、監禁場所を成歩堂に連絡するファインプレーを魅せるのだ。



閑話休題。
「真実を求める、ココロの叫び」(byニック)を、ルーチェは証人として訴える。

ここから先の論理は、なかなか複雑。
証言を聞くニックもエッジも皆真剣。
その時のエッジ、聞きながら、ゆっくり指ぱたぱたしてるのが何とも自然。

かく言う私は、ごめんなさい、1回では理解しきれなかった。
周回鑑賞した今は何とか付いていけるが。
11:40→12:00→12:10→12:20……と、事件当日のタイムテーブルを書きたくなる。

やがて、本件の最重要アイテムについて明かされた時。
ニック「なぜ飲まなかったのかのではなく、どうして飲めなかったのか」
と、ニックが新事実をつきつけた時。
エッジさん、「ぅげぇッ!」って言ってる。原作ママにのけぞってる。
漢だわ。この人。


事件は大詰め。
証拠を見せろと迫る真犯人に、ニックは告げる。
ニック「見せるのは、ぼくじゃありません」
   「
(持っているのも)あなたじゃありませんよ」
そう。解は、とっくに出されていたのだ。
探偵パート1回目の時点で、既に。



ニックによって指摘され、ブレイクモーションで落ちる真犯人。
原作ならば、これで終わる。

宝塚版の真骨頂は、ここからだった。
本作では、ローランドの生い立ちが、詳細に打ち明けられる。

ローランド「忘れはしない。父を死に追いこんだあの男の顔を」
エッジ「愚かな。キサマの身勝手な都合で殺人を犯すとは」
我知らず言ってしまった、エッジの言葉が、ローランドに火をつけた。

ローランド「天才検事! 優秀な弁護士!
      さぞ大層なエリート教育を受けてきたんだろうが、
      貧乏人はそうはいかないんだよ。
      生きる事に精一杯の人間っていうのはな、あんたらみたいに、
      好きなだけ勉学に励む事だって出来ないんだよ、金がないから!」
     「オレの親父を今すぐ返せ! 返してみろ」
     「親父は、たった一人の家族だったんだ……」

咆哮するローランドに、ニックは丁寧に言葉をかける。
ニック「……………………あなたの気持ちは、ぼくにも分かるつもりです」
   「道を間違えたのなら、戻って出直せばいいじゃないですか。
    その思いがあれば、人は何度でも立ち直れるはずです」

そう。これが、本来の「弁護」なんだよね。
罪を全て詳らかにした上で、その真意を汲み取り、更正を促す。
敵を要する推理「ゲーム」では、決して出来ない世界を、本作は見せてくれた。

ときに、最後に残った疑問が一つ。
ローランドが証拠品を処分しなかった理由。
ローランド「あれだけは、捨てるわけにいかなかったんです」
この時に、オリジナルの一枚絵が出るのが非常に貴重。



ローランド「出来る事なら。もう少し……もう少しだけ早く。あなたに、会いたかった」

法廷を去るローランドを、見送るルーチェを、ニックは見守る。
ニック「弁護士には、無罪判決よりも大きな物がある。大切な物が。
    その涙の答え。きみにも分かる日が、きっと来る」

と、ベテランの貫禄を醸し出すニック。
と言いますか、きみ、ソレ千尋さんの台詞だろ。



かくて事件解決、一件落着……………………じゃない!
ニック「エッジワース! マヤちゃんは!?」
エッジ「うむ。連行される前に、ローランド氏に尋ねるべきだった」
ニ「カッコつけてる場合か!」

……コントやってる場合かお前ら。
そりゃ観客は、コロシヤ達はマヤを殺さないと知ってたが……忘れるなよ。
私も忘れてたけど。

そうこう言い合ってるところに、元気一杯のマヤちゃん帰還。
ディックの報告と共に、ニックへ、そしてエッジへ、フランツのムチが手渡される。
エッジ「どんなにウソを重ねても、真実は必ず顔を出す。
    我々に出来るのは、全存在を賭けて戦う事だけだ。一つしかない真相のために」

と見栄を切るエッジに、ディックが歓喜の声を上げる。
ディック「やっぱり検事席は、エッジワース検事のものッス!」
エッジ「刑事!!」
デ「はッ!」
エ「………………………………ありがとう」



何この可愛い生き物。



エッジの成長に(私が)和む一幕。





ここから先の展開は、一切を伏せたい。
エッジからフランツへ、ニックからルーチェへ、
「正義」のバトンが託されていく事だけは記しておく。





その後は恒例、EDタイムに当たる演舞。
エッジが煌びやかなパーツ付きの赤服だったのは拍手喝采。
ニックも基本色は白や黒だが、ネクタイやポケットチーフはのGood Job。
……キャラの色調だけは譲れないんだ。

そして。最後の最後。
エッジの仕草を付け足してから、毎度毎度のこのポーズ。
さあ言うぞ。せーので言うぞ。




『異議あり!』




戻る


HOME


inserted by FC2 system