『蘇る真実、再び』実況レポート (探偵パート2回目)

【第2幕】
再び場所は事務所へ戻る。
またまたニックは、横になっていたソファで目を覚ます。
話の都合なのは理解するが、寝室で寝てない生活なのが心配になってくる。

と、ニックはいつもの朝を思い出して。
ニック「またフライパンが! …………? 来ないな」
何かがいつもと違ってる。けれど何なのか分からない。


いつもならマヤが迎える客も、今朝はニック自身で応対。
ニック「マヤちゃん! マヤちゃん! ……いないのかな?」
アレイア「いいのよ、お礼に言いに来ただけなの」
と、アレイア教諭は改めてニックに感謝を告げる。

が、その後ろに控えるルーチェの表情は固い。
ルーチェ「私、弁護士になんてなりたくない」
    「無罪判決を勝ち取ればそれでいいの?
     弁護士の仕事ってそういうものなの?」
    「弁護士なんて大嫌いよ!」


被告人が有罪だった時どうするかというテーマは、
原作では『さらば、逆転』で取り上げられているが。
ある意味、原作よりも一段と厳しい現実をつきつけられる。
弁護士はヒーローじゃない。全員を救う事は出来ない。けれど――。

ニック「先生。本当の意味であなたを助けられたわけじゃなさそうですね」
アレイア「そう……。でも、忘れないで。
     あなたのおかげで助けられた人、勇気づけられた人がたくさんいる事を」
互いに礼を言い合って。頭を下げ合って。
原作の世界でも、こういうエピソード有ってほしいなあ。



ニック「終わった。ぼくの弁護士人生が。……これで良かったんだよな。これで」
客の去った事務所で、自分なりに自己完結しようとした矢先。
ニックのケータイが鳴り響いた。
ストラップの付いたストレートタイプのケータイが。



トノサマンのテーマソングの着メロで。



まさか、ここで原作準拠やりますか。
原作では外せない、特撮要素も拾って下さいましたか!

出た電話から聞こえてきたのは、やたら慇懃無礼な男の声と、そして。
マヤ「助けてー! ニックー!」
「問題なのはお連れさんのイノチ……ちがいますか?」

その言い回しから、ニックは即座に察した。――営利誘拐だ。
ニック「早く要求を言え! そして彼女を」

「私の要求はお金ではありません。判決です。無罪判決を、ひとつ。
「ローランド・スミスを無罪にしていただきたい」

言うだけ言って、無情にも電話は切れた。

『さらば、逆転』の展開が、いよいよ本格的に動き出す。
が、状況は原作より遙かにシビア。
被告人が有罪なのは既に判明しているし、マヤもただの拉致ではない。
敵もコロシヤ一人じゃない。寧ろ米国産マフィア。すぐさま殺されてもおかしくない。


BGM『運命のホットライン』で否が応にも高まる緊張感と共に。
ニックは全速力で走り出す。
ところでこの場面でニック、何故かズボンのポケットに手を入れてる。
入れていたつもりの小物でも探してるような。
もしかしたら彼は、この時にもう、真相の一端をつかんでいたかもしれない。



そんなこんなで着いた留置所。
ローランドと面会したニックは、憤怒のフルスロットル状態。
ニック「キサマ。どういうつもりだ。なぜ、ぼくに弁護をさせる!」
勢い余って、口調がエッジに似てきてる。

一方、ローランドだって退くわけにはいかない。
ローランド「あなたは本当の事を分かっちゃいない」
     「ライト先生。ボクは真剣なんですよ」
     「先生に最高のプレゼントを用意しました。
      公判でしっかり受け取って下さい」

謎めいた言葉で締めくくると、ローランドは去った。
ニックは混乱しつつも冷静に、最善策を取るべく走る。
ニック「とにかく警察に! ……エッジワース!」



暗転を挟み、エッジ on Stageの時間。
客席から舞台へ歩むエッジの『迷い道』の歌唱を聞きながら、私は前作を思い返す。
振り返れば、私は前作の実況レポートで、御剣に物足りない点があったと書いた。
崩れた態度を見せてくれなかったのが残念だと。
その言葉は、ここで撤回する。
ずっとずっと、正統派二枚目を通してくれたのは、
最後に花咲くための伏線だったと認めよう。



ニック「エッジワース!!」
   「マヤちゃんが、誘拐されたんだ」

と、ニックは会ってすぐにエッジに打ち明け、
エッジ「大至急、捜査犯を編成しよう」
と、エッジも頼もしく快諾してくれる。
アメリカ設定だと、検事がガンガン捜査に入っていくのも違和感少ない。
が、真情を吐露できた安堵からか。ニックは混乱気味に言を継いだ。
ニック「マヤちゃんを助ける方法は一つ。
    何としても無罪判決をもぎ取るしかないんだ!」



エッジ「マヤくんを救うために、偽りの無罪判決を勝ち取るか。
    悲劇を覚悟の上で、真実を受け入れるか。決めるのはキミだ」
   「私は私で手がかりを探す。キミも今は、キミにしか出来ない事をするんだ」

ニック「今……ぼくにしか出来ない事」
そう、つぶやいたのを境に展開する、ニック on Stage 第2弾

事件を再捜査すべく走るニックの声。
ディックに対して捜査指揮するエッジの声。
手荒なコロシヤ集団に耐えしのぶマヤの声。
部下引き連れて駆けずり回るディックの声。

そこに更に、フランツの歌声が重なる。
とゆー事は。コレは脳内補完だけれど。
もしやエッジってば、フランツにも捜査強力要請したんじゃないか。
それで、頑張ったフランツは、法廷パート2回目で、あんな事態に陥ったわけだ。
……おい。ちょっと待ってくれ。辻褄合いすぎるよコレ。



その夜。ニックはルーチェを海岸に呼び出した。
この時、ルーチェが一人で『信じている』を歌っているのが意味深長。
前作ではニックとレオナしか歌わなかった曲なのだから。

何の用かと訝るルーチェに、ニックは考え抜いた自論を語る。
ニック「無罪判決を勝ち取る事が、必ずしも弱い人たちを救う事につながっているとは
    限らない。
    被告人の犯した罪を暴く事が、その被告人を救う事だってあるんだ」
   「弁護士は、真実だけを見つめていかなければいけないんだ。
    だからこそ、人を助ける事が出来て、人を愛する事が出来るんだ」


ニック「きみも明日の公判に来るんだ」
   「ぼくは……ぼくは、ある覚悟を決めて明日法廷に立つ。
   そこで何が行われるのか、自分の目に焼きつけるんだ」
こう告げて。ニックからルーチェへ、『輝く明日へ』が手向けのように歌われる。

今、ニックは必死に足掻いている。
レオナとの過去に、自分なりの結論を出すために。
何だかまるで、チヒロとの過去に葛藤してる神乃木さんみたいだ。



そんな風に語り合う二人を、遠巻きに見る男がいた。
エッジ「あの公判でお前と再会し、戦い……
    いつしか私も、そんなお前に惹かれていたようだ。
    お前から教わった信じる心。蘇る真実。
    私はお前に会うために帰ってきたのかもしれない」

見てるこっちの頭が沸騰するような衝撃の告白の後。



エッジによる『フェニックス・ライト』歌唱!



いやいやいや、コレ凄すぎでしょ、だってコレ、
御剣の立ち絵で『異議あり!』流れるようなもんでしょうが!
……『華麗なる逆転』再プレイしたくなったな……。

無論、曲の途中からは、ニックへバトンタッチ。
客席から華麗に登場するニックによる『蘇る真実』歌唱タイム。
前作の鑑賞時と同じく、無意識に口ずさみたくなる時間。



矢をつがえた弓は、十二分に引き絞られた。
打ち上げ花火は、導火線に火が点く直前。
そんな最高潮の興奮の中、ニックは弁護人席へ向かう!




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