逆転の鎮魂歌(レクイエム)
【プロローグのふりをした状況説明】
ぼくは、ボールペンを紙の左に置いてから伸びをした。
これだけ書き直すのを繰り返したのは、一体いつ以来だろう。
何たって、ぼく自身もまだ理解しきれてない事を、一度も会った事のない人に、
それも文章だけで伝えるなんて、どだい無理な話。
せめて読みやすい字で書かなきゃと考えている内に、すっかり遅くなってしまった。
うかうかしてたら、間に合わなくなる。
ぼくは支度を始めた。
集中しよう。この体から、この心から、余分な物は全て捨てるんだ。
緊張しないために、腕時計を外し、ネクタイも少し緩めた。
手がインクで汚れてない事もよく確かめた。
気をつけて書いたから問題ないはずだけど。念のためだ。
カーテンを細く開けてから、部屋の明かりを全部消した。
外を見ると、まるで吸いこまれそうなほど、月のキレイな夜だった。
……落ち着け。手順を守れば大丈夫。今のぼくなら出来るって言われたんだから。
あの人についても、ぼくなりに調べつくしたつもりだ。
だから、呼べる。ここに。今なら。必ず。
いつしか、時は満ちる。
用意は万端。教わった通りにした後、ぼくは、意識を空っぽにして、
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