事務所に戻ると、千尋は真宵に戻っていた。
なお、他人が憑依している時、術者本人の意識は無くなっているとか。
さて。今回は探偵パートの3回目。即ち、コレが調査のラストチャンス。
何故なら――。
成歩堂「”序審法廷”のシステムでは、明日が最終日だからね」
真宵「”序審法廷”?」
成「聞いたことない? 2、3年前から始まった法廷のシステム。
要するに、犯罪の件数が多いから、サッサと片づけようっていう制度」
真「その制度だと、裁判って、3日で終わっちゃうの?」
成「まあ、とりあえずはね」
というわけで。
まずは留置所で荷星と会話。そんな中、こんなやり取りも。
成歩堂「……呼び出してよ、イブクロさん」
真宵「うう……。あと3年、待って」
まだ懲りてないよこの男。
でも確かに、真宵が自在に霊を呼べるようになるのも3年後だったしなぁ。
今度は、現場である英都撮影所へ。
スタッフエリアを調べようとすると、イトノコ刑事に止められる。
現場検証をもう少しやる必要があるという事で。
成歩堂「そういえば、御剣検事はどうしてます?」
糸鋸「それがもう、大荒れッス!
控え室で、アツいコーヒーの入った紙コップをひねりつぶしたッス」
ソレも見てみたい。是非とも。
続いて、その隣の楽屋へ。
スタッフの由美子から、
「トノサマン」が最終回(というより打ち切り)になると聞かされ、真宵は大ショック。
真宵「ト、トノサマン、終わっちゃうの!」
由美子「……はい。でも、しょうがないですよ。
ヒトを死なせてしまったんですから。……現実の世界で」
真「ううう……」
由「それに、この英都撮影所では、これからは、もういっさい、子供向けの番組は作りません」
成歩堂「どうして子供番組を作らないのかな?」
由「英都のエラい人たちは、トノサマンを……この事件のことを、わすれたいんです。
誰にも触れられたくないんですよ」
実際問題としてはコレは、むしろ当然な展開だろう。
主要な役者が死去、それも殺されたとなったら普通、続けられるはずがない。
けれども。
この『逆転裁判』世界において、「トノサマン」は特別なのだ。
ちゃんと物証だってある。
成歩堂「ちょっといいかな。……これを見てほしいんだけど」
と、その物証を、成歩堂は由美子に示す。
成歩堂「子供たちは、トノサマンが大好きなんだよ。
オトナたちのつごうで、いきなり打ち切りなんて、
スタッフなら、そんなことをしちゃあダメだよ」
由美子「…………。………………。そうなんですよね……。
……わかりました!」
協力的になった由美子は、事件の要となる話を切り出す。
キーワードは、「5年前の事故」。
より詳しい事情は、オバチャンが知っているという事で、今度は正門前へ。
最初は被害者をかばおうとするオバチャンだったが。
オバチャン「…………。………………。そうかい……。かわいそうにねえ……イブクロちゃん。
やっちゃいけないコト、……やっちゃったんだねェ」
成歩堂の説得に折れ、「5年前の事故」について語り始める。そして、その終わりに。
オバチャン「これ、持っていきな」
成歩堂「? ……写真、ですか。
こ……これは!」
オ「そのときの写真だよ」
成「……なんでオバチャンが、こんなものを……!」
オ「ムカシのことだよ。……話したくもないネ」
強力な物証だろう、その写真を手に、
第2スタジオのコテージの中で、姫神プロデューサーと会話。
なお、写真については……。
姫神「ああ。あの女(=オバチャン)は、イブクロの大ファンだったからねえ。
写真を持って撮影所にやってきた記者に飛びかかっていって、
ボコボコになぐられながら、その写真を奪いとったぐらいだ」
という事らしい。
とにかく、真相は目の前。そう思った時。
姫神「……アンタたち!」
姫神の号令を受けて現れる、黒服の男たち。ざっと4人。
成歩堂「………………。あ、あの……。こ……この方たちは……?」
姫神「プロ。なんでもモミ消すのが、こいつらのシゴトさ。
オマエたちも、モミ消してやろうか……?」
成「な、何ッ!」
姫「法廷は、明日が最終日、か。ザンネンだったね。
明日の法廷、オマエたちは欠席してもらうよ」
正直なところ、今までこういう展開がなかったのが不思議なくらい。
仮にも弁護士、常に命を狙われても仕方ない仕事柄なのだから。
姫神「……じゃあ。アバヨ、お2人さん……。
始末は、たのんだよ。アンタたち」
真宵「いやああああああああああああっ!」
万事休す! と思った瞬間。
糸鋸「ちょっと待つッスゥ! ……話は聞かせてもらったッス!」
絶妙なタイミングで、警察登場。姫神を連行して行く。
でも、イトノコ刑事としては、もう少し早く止めたかったようで。
糸鋸「だ、だいじょうぶッス?
ちょっと、踏み込むタイミングがおくれたッス。まだまだ、ベンキョウ不足ッス」
真宵「刑事さん……。ありがとうございました! あたし……こわかったよおぉ」
糸「ナニナニ。……これが、シゴトッスから」
ここで終わればイトノコ刑事、二枚目だったが。
糸鋸「一度、このセリフが言ってみたくて刑事になったッス……」
やはり愛嬌者である。