今回の目的は、トミーの証言を崩す事。
正直な話、この章について記すのは気が重い。(以降、辛口。お許し願います)
何と言うか、トミーの空気に付いて行けなくて。
その第一声からして、
トミー「どういうギャグを言えばいいのか……と」
って……あの。
仮にも人が亡くなってるんですけどね。ピエロさん。
裁判長「ここは裁きの庭です」
と、流石の裁判長も怒り心頭の様子。
にも関らず。
トミー「…………あ、そうだ！ こういうの、どうです？」
まるで人の話を聞いてない。
これが、あのオバチャン(＝大場カオル)とかだと憎めないのだが。
オバチャンの証言が暴走するのは、主に被害者に思い入れあるから故だし。
(後ついでに、御剣にも思い入れあるから故だし)
事件そのものを軽視してるわけではないからかも。
で、トミーの最初の証言……つーか愚痴に、成歩堂(というか私)も絶句。
成歩堂「……あの。コレに尋問しなきゃいけないんですか？」
よくぞ我が心の声を代弁してくれたな成歩堂。
だが、そんな最悪の事態だけは何とか免れて。改めて証言。
ただその代わり、とんでもない事を言われた。
裁判長「この証人、ほっておくと法廷をハメツさせるオソレがあります。
くれぐれも、ムダなゆさぶりはひかえるように」
冥「……よけいなツッコミには、ペナルティを与えていただくわ」
そう。当方がトミーを苦手とする理由の一つが、コレ。
何で揺さぶっちゃいけないのか。
証言を揺さぶって情報を引き出す事は、『逆転裁判』シリーズの基本中の基本(のはず)。
端的に言えば、証人を締め上げてナンボの世界だ。
なのに、まさかその揺さぶり行為を封じられるとは。
おかげでこの部分の尋問は、攻略本どころか、攻略サイトに頼らざるを得ず。
結果、ストレスが溜まる溜まる……。
(難易度が上がっていると言えば、それまでだが)
それでも何とかかんとか、トミーの証言にあった矛盾を指摘。
その際の、トミーの弁解。
トミー「検事さんと打ち合わせしているうち、つい、思いこんじまって……」
コレぞ、狩魔一門による証言操作。
きっと御剣も、かつてはこういう裁判を重ねていたのだろう。
気持ちを切り替えて、もう一度トミーの目撃談を聞く。
ここからはトミー、(実は)全て本当の事を語っている。
そのトミー曰く、顔の輪郭(シルエット)は間違いなくマックスだったとの事。
(つまり、マックスを正面側から見ている事になる)
しかし、どうもその服装に不備がある。
シルクハットやマントはしっかり見ているが、今度は胸のバラを見ていない。
一見したところ、取るに足らない些細な矛盾。
だが、成歩堂は確信する。
成歩堂(たしかに、ササイなことだ……。
でも、いつも、真実はササイなほころびからカオを出してきた)
「……いつだって、そうだった！」
第2作の今までの事件でも、そして第1作の事件でも、プレイヤーなら実感できるこの台詞。
最後の尋問。またも揺さぶり厳禁。
(未だ揺さぶった事はない。怖くて……)
で、その結果。
トミーの証言は全く信用ならないという結論が出される。
そう断定されたトミー、とうとう開き直った。
トミー「オレっち、見たモン！ あれはマックスだったモン！
ムネにバラなんかつけてなかったし、シルクハットもかぶってたモン！ ホントだモン！」
「シルクハットをかぶったまま……現場を立ち去ったんだモン！」
そう。この事件最大の問題は、殺人の”犯人”が現場から去った、その手段。
開き直りきっているトミーは、ついに本音をぶち撒ける。
トミー「アイツは……飛んだんだ！ 空に向かって、ふわああ……って！
……そのまま、ヤミの中へ消えッちまったんだあ！」
そんなバカな。
推理小説などの純粋な読み手の立場なら、素直にわくわく出来るけれど。
コレはゲームである以上、呑気にしてもいられない。
トミーの言ってる謎を解き明かすのは、他ならぬプレイヤー(＝私)本人なのだから。
ただ、後になって考えてみた事。
本当の事を言っているのに、誰にも信じてもらえないトミーの立場。
ふと、可哀想に思う部分もある。
この時のトミーは、まさに「味方がいない、究極のコドク」(by成歩堂)状態なのだから。
こんな人を”救えて”こそ、成歩堂が言うところの「弁護士」なのではなかろうか。
ともあれ成歩堂たちは、空に消えた”犯人”の行方を追う事に……。