『さらば、逆転』実況レポート (法廷パート2回目・後編)

今回の目的は――――もはや何が何だか。



では審理再開……と行きたいところだが。
成歩堂「は……はあ……」
御剣「う……うム……」
二人とも、まさに半死半生状態。

御剣曰く、何と前章での成歩堂の出任せが当たってしまったのだと言う。
まさに「事実は小説よりも奇なり」(Fact is stranger than fiction.)である。
(いや、事実じゃないですけど)

また、この章でもご両人、もとい二人の大立ち回りは健在。
(散らばりすぎてて書けない)



次の証人を召喚したいと述べる御剣だが。どうも言葉がふるわない。
何たって、その証人の名前はコレだから。
御剣「……虎狼死家 左々右エ門」
殺し屋当人。……そりゃ言いたくないわな。


で、その証人登場なのだが。
まさかあの虎狼死家当人が来るはずないとは思っていたが。まさか。
証人席に着いている、ソレは、どう見ても。



無線機。



それも、何か妙にデザインがクラシックなやつ。 (これでメーターが円ければ、松○零二の世界)

裁判長「ダメですよ、これはさすがに」
     「コロシヤ本人かどうかも不明ではないですか!」
ごもっとも。

しかし、異議を唱えるわけにはいかない。特に、この声を聞かされたら。
真宵『……おなか……へった……』



てなわけで。
この章では、プロの殺し屋とやらに尋問するハメになる。
というか、最初に聞くハメになるのは、長々しい前口上だったりするのだが。

その虎狼死家に言わせると、
『自分が助かるために、他人に罪をなすりつける』事が許せないのだと。
この表現だと、確かに王都楼以外でも当てはまる。
流石に言葉が上手い。プロとして。



御剣に促され、虎狼死家はついに依頼人の名前を法廷で明かす。その瞬間。



場内絶叫。



何と虎狼死家、未だもって依頼人を庇う嘘八百の証言を。

裁判長「まさか……検察側の証人が、被告の無実を立証しようとは!」
って。
お言葉ですが……ソレはいつもの事です、裁判長殿。



その狼虎死家の証言から、再び証人席に立たされる霧緒。
ただ独り彼女は真実を、自らの無罪を訴え続ける。
それこそ「味方がいない、究極のコドク」(by成歩堂)の人として。

このままでは霧緒が真犯人という事で、事件は決着してしまう。
成歩堂(決めなければならない……。
     真宵ちゃんを助けて無罪判決を取るか……。
     そのチャンスを捨てて、犯人の遺留品を待つか……?)

実はこの選択肢、答えは一つ。
というより、真剣にプレイしてる人なら、自ずと分かるだろう。

更に。
成歩堂「……認めたくないけど、ぼくが真相を知ることができたのは、あいつのおかげです」
御剣を見て。
     「あいつには、何度も有罪判決を勝ちとるチャンスがあった。……でも、そうしなかった。
     今、ここでぼくが判決を受けとってしまったら……あいつの信頼をウラ切ることになります」

そこまで自分で言ってから、初めて気づく。
     (……”信頼”……?
     今まで……考えたこともなかった。ぼくは……あいつを”信頼”しているのか……?)




そうやって考えた後。成歩堂が最終的に出した、弁護士としての結論。
成歩堂「証人のウソを見抜いて、真実を見つける……それが、ぼくのシゴトです!」

こう言われ、裁判長に促されて、
御剣「了解した!」
と応じる御剣が物凄く嬉しそうに見えるのは、私だけかな。



さて。
この場面から、殺し屋相手に繰り広げられる、
弁護士と検事による夫婦漫才のギア、一段加速。

というのも、もともと現在の虎狼死家は被告人を、ひいては弁護側を庇っている状況。
その虎狼死家に尋問するという事は、普段やってる事とはまるで逆なのだ。
いや、そもそも今回の裁判自体、普段やってる事とは逆だっけ?だからその。ええと。
…………ああ、そうか。



裏の裏は表か。



要するに、普段と同じように尋問すれば良いわけだ。
けれども、その思惑を虎狼死家に気づかれるわけにもいかなくて。
だからこんな感じになる。

例えば、形だけの「異議あり!」(by成歩堂)コール。
そんでもってコレ。
成歩堂「証拠もなくそんなコトを言っちゃあ……ダメだぞ、御剣検事」
御剣「うム……すまない」



二人とも、棒読みでお届けしております。



依頼人と会った時の状況を問いただすと、微妙に話をはぐらかされる。
仕掛けられた罠を、(成歩堂は)避けながら、改めて問いつめる。
成歩堂「”依頼人と会う理由”……そんなことは重要じゃない」
     「”本当に霧緒さんと会ったのか?”……聞きたいのは、この一点です」


こう訊かれて、ついに敵は口を滑らせた。
虎狼死家「目を見てハナシを聞いて、私は彼を信用したワケです」
この台詞を見た時。やった、と心から思った一瞬。

が、だからと言って、必要以上に虎狼死家を刺激してしまうのも、またマズイわけで。
引き伸ばし作戦を気づかれたら、全てはお終いなのだから。

でも、それでも。
成歩堂「なんとなく……”だいじょうぶだ”って、感じるんです」
再び、御剣を見て。
     (あの男があそこにいるかぎり。どんなキワドイ攻撃でも、きっと反撃してくる……)

成歩堂が前述していた「信頼」。

本当の本音で接しても、どんな自分を晒しても、互いに応じあえる、関係。
ただし、人としての礼儀は弁えた、その上で。

私としては、そんな感覚でとらえております。



しかし。そうやってゴマカしながらの尋問も、やがて限界に。
虎狼死家「……弁護士さん……」
      「私はさっきから、あなたの依頼人に有利なコトを証言しています。
       それなのになぜ……こんな尋問をつづけるのですか?」

更には。
虎狼死家「どうやら……今の尋問でハッキリしたようです」
      「あなたは……私との約束をやぶるおつもりらしい!」


ついに――気づかれた!


虎狼死家「この審理を、さっさと終わらせることです!」
成歩堂「ぐ…………うおおおおおおおおおおおおおッ!」
頭を抱え、慟哭する成歩堂。
その成歩堂に目で訴えかけられて、御剣も絶句。
御剣「う……ぐぐグッ……! け……検察側は……私は……」

もう今度こそ、打つ手はない。
時間切れである。


この事件の”真犯人”は王都楼か、あるいは霧緒か。
ソレを決めるのは――――成歩堂自身。
千尋「あなたのヒトコトで……判決は決まるわ!」



というわけで。
証言台に被告人・王都楼が登場。
チンピラヤンキーの本性を晒して。
王都楼「……とにかくさァ、早いトコ、無罪判決をいただこうか。なァ、弁護士さんよォ!」

成歩堂(真宵ちゃんの命を取るか……正義を取るか……?)
     (……有罪か、無罪か……)
     (どっちを選んでも……だれかの人生が、終わる! ぼくの選択によって……!)

霧緒を選べば、真宵は死ぬ。(実際に)
真宵を選べば、霧緒は死ぬ。(事実上)


成歩堂「……ぼくの依頼人は……王都楼真悟は……」

この時に示される、究極の選択肢。


有罪
無罪


当てになる物は、何も無い。
成歩堂、というよりも、プレイヤー自らの意思で、どちらかを選び、Aボタンを押すしかない。

因みに私の場合は……真宵の命、捨てました。
プロの弁護士を名乗るなら、私情を入れるわけにはいかないから。
別の人に罪を着せて、それで彼女を助けたとしても、きっと一生許してもらえないと思ったから。
……なんて、我ながらキレイゴト言ってるよな、とも思いながら。



ともあれ。そうやってAボタンを押し、成歩堂の台詞を待った、その時。
あの彼女の声が響いた。



「異議あり!」



成歩堂「か………………狩魔冥ッ……!」
ラスボス音楽引っぱって。
うなるムチと共に、眩しい後光を背負って乱入。
イトノコさんを発信機で無事に見つけ、彼のコートに虎狼死家の遺留品を包んで来たのだ。

だが、その遺留品たちは、あくまでも虎狼死家の犯行を裏付ける物でしかない。
逆転を起こす力があるとは思えず。

成歩堂「起こらないから、”奇跡”なんでしょうか……」
千尋「起こすからこそ、”奇跡”なのよ」
落胆している成歩堂に、またも泰然と千尋は語る。

千尋「この状況を切りぬけるには、2つの方法が残されているわ」
   「……1つ目。”王都楼が、ココロの底から有罪判決を望むこと”」
   「……2つ目。”虎狼死家が一方的に王都楼との契約を終了すること”」


その千尋の言葉を受けて。
成歩堂の、最後の作戦が動き出す。

成歩堂(考えろ! ……真宵ちゃんを助けて、同時に王都楼を倒す方法を!)
という、言うなれば少年漫画的思考回路を発動させて。



それで、突きつけられる質問。いったい誰に何を見せるのか。
いつものペナルティゲージは表示されない。

なお、もしもこの時、作戦を間違えると、
通常の「有罪」エンディングでない、バッドエンディングが用意されているとの事だが……。
とてもじゃないが見れない。自分としては。惨くて。



とにかく、そんな最悪の事態だけは絶対に避けて。
全ての逆転を起こして。

成歩堂(……よかった……!)
同じ「頭抱え」ポーズでも、今度は歓喜。



で、改めて。
王都楼に対する、この選択肢の表示。


無罪を要求
有罪を要求


因みに私が選んだのは、心置きなく「有罪」。

成歩堂「たしかにぼくは弁護士だ。だけど……殺人の罪を、ゼロにすることは、ぼくにはできない。
     ……”有罪”を主張したほうがいいと思うよ」
    「もし無罪判決を受けて留置所を出てしまったら……
     きみの生命は、いきなり究極のキケンにさらされる。
     ……いずれにせよ……きみはもう、ゼッタイに逃げられない!」


今までで最強の暗黒オーラ、発動。
私には、まるで花咲くような笑みを浮かべているようにさえ見えた。



審理の最後、証言台に立つ霧緒。
霧緒「私、やっと……救われたんです」
この台詞で、やっと全開の笑顔が見れた。



閉廷後。
千尋から成歩堂への言葉。
千尋「あなたが手にしたのは、たしかに”無罪判決”ではないわ。
   でも……あなたにもわかったでしょう?
   弁護士にとって、”無罪判決”より大きなものがあることを」

成歩堂の、即ちプレイヤーの心の中で下された、選択。
千尋「……”有罪”か、”無罪”か……?
   あのときの”選択”。その答えこそが……
   あなたにとっての《弁護士》を象徴していたのよ……」



その後、真宵が無事に保護されたとの報告に喜ぶ流れに続いて、
冥との衝突、そして御剣との和解が描かれる。

以下、重要と思われる台詞たち。

御剣「自らの勝利のために……有罪判決のために……
    私はあらゆる手段を使い、そして……勝利しつづけた。
    ……しかし……。……そんな私の前に、ひとりの男が立ちふさがった。
    私はいつものように戦い、そして……初めて敗北した。
    ……すべてを失ったような気分だった。
    その後……私はある事件で、被告席に立つこととなった。
    そして……その”敵”に……救われてしまった……。
    ……自分がユルせなかった。
    だから私は、検事局を去った。
    ”検事・御剣怜侍は死を選ぶ”……と、メモを残して……」

御「検事局をはなれて、私はようやく気づいた。
  あの敗北の瞬間こそが……すべての始まりだったのだ、と」

御「だれかが、どんなにキタナイ手を使っても……。真実はかならず、カオを出す。
  われわれにできるのは、全存在をかけて戦うことだけだ。
  ……やがて、ナゾは1つずつすがたを消して……
  最後にわれわれは、たどりつく。……かならず。
  ……1つしかない”真相”に」


成歩堂「……『ウラ切られた』……。お前の失踪を知ったとき、そう感じた……。
     ぼくが弁護士になる決心をしたのは……ずっと昔……
     お前が語った言葉を信じていたからなのに。
     その言葉を……お前自身がウラ切った。
     ……だから……1年前。ぼくは心に決めた。
     ぼくの知っていた御剣怜侍はもう、死んだんだ……。
     ……そう思おう、って……」

この会話に至って、やっと御剣が失踪した事情、成歩堂が怒っていた事情が明かされる。
ただ、この場面もまた、第1作との微妙な「軋み(きしみ)」が感じられるのは詮無い事。

そのため結果として、互いに信頼し合っている一方、互いにズレまくっているとも思えてしまう、
そんな関係の二人が、何とも興味深く。


だがしかし。
そんな成歩堂と御剣の会話を打ち切る形で、冥はその場から立ち去ってしまう。
電波受信機と、そして愛用のムチを、成歩堂に投げつけて。


そんなところに。
真宵「……なるほどくんッ!」
成歩堂「ま……。真宵ちゃんッ!」
感動の家族、もとい仲間との再会。

ただ、個人的に気になったのは。
真宵が御剣と普通に会話を交わしている点。
もう居ないだの、もう死んだだのと、さんざん聞かされていたにも関らず。
監禁場所で、千尋を通して事情を知っていたのだろうか。



ともあれ、これにて事件解決。
真宵のおなかも鳴ったという事で、ホテル・バンドーにてディナーのやり直し。

糸鋸「おそいッス! 待ちくたびれたッス!」
   「まさか、電柱にぶつかるとは思わなかったッス」

頭に包帯を巻いてるイトノコさん、それにナツミや荷星も含めて。


食事の時の話題は必然的に、事件についての事に。
糸鋸「自分が現場から持ち出した遺留品は……ゼンブで……4つ、あったはずッス」
とか。
真宵「気をまぎらわそうと思ってさ。絵、かいてたんだよ!」
とか。


そんな折、宴の途中で席を外そうとする御剣に、成歩堂の心の呟き。
成歩堂(何か、わたしておくべきものは、ないかな……)
この選択にも、本当に迷った。
まさか、最後の最後で、ああいう展開に持って行くためとは……全く予想できず。





その後、オチを挟んで、エンディング。

イトノコさんは刑事に復帰。
須々木マコはウェイトレスに転職。
タチミサーカスはアメリカへ。
華宮霧緒は冥と仲良くなれそうな予感。
あと、オバチャンはホテルで忘れられてて。



そして。
更なる、真のエンディングが、第2作では待っている。
国際空港での、御剣と冥との会話。

冥「あなたなんかに、わかるはずがないわね……。
  ”狩魔豪の娘”という立場がいったい、どんなものか!」
  「まわりから期待され……応えつづけなければならない!
  勝訴してアタリマエ。……負けなんて、考えられない。
  父はたしかに、天才だったわ! でも……私はそうじゃない。
  ……そんなことは知っていた」


御剣「そういえば……。成歩堂からコイツをあずかっている」
   「われわれは、検事としての名誉のために戦うのではない。
    そのムチが、何を打つべきか……よく、考えてみるんだな」

御「……キミは今日、私に追いついたのだ。われわれは今、ここに並んで立っている」
  「……しかし。私は立ち止まるつもりはない。
  ……キミが歩くのをやめると言うのならば……。……ここでお別れだな。狩魔冥」


冥「わ、私は……私は狩魔冥よ。
  ……いつまでも、私の前を歩いていられると思わないで。
  勝負は……これから。……カクゴしておきなさい!」



この時。彼女が御剣だけに見せた顔に、彼女の真実の姿がある。
心の奥底に秘めた、本当の本音を一瞬だけ見せた、彼女。
そんな彼女の呟きと共に――物語は一旦、幕を閉じる。


To be continued......




戻る  次へ

他の事件を読む


HOME


inserted by FC2 system