今回の目的は、矢張政志の証言を崩す事……で良いのだろうか。
休憩室にて。
御剣は改めて、あやめに問いただす。
1つめ。あやめは事件当夜、「奥の院」側に行かなかった。
この点は素直に答えてくれた、が。
2つめ。あやめは、午後10:30〜11:00頃にスノーモービルを使った。
この点も何とか答えてくれた、が。
その理由を尋ねたら。ついに法廷パートにてサイコ・ロック発動。
しかも、また最大値の5つが。
あやめ曰く、真宵の無事が分かったら真実を打ち明けると言う。
エリスを殺していないという、あやめの言葉を信じて、御剣は再び弁護人席へ。
審理再開。
新たな証人の登場、と言いたいところだが。どうやら一悶着あったようで。
冥「休憩時間中、傍聴席で挙動不審なオトコが取り押さえられたわ」
「なんでも、一心不乱にスケッチしていたそうよ」
「オニのようなカオでムチをふるう、恐ろしい女の絵だったわ」
そんなこんなで、証人席に立つ矢張。
画面に登場するや否や、さっそく冥からムチ攻撃を浴びる。
冥「召喚状を持った法廷係官を見て、逃げようとしたそうね」
一方、事件とは無関係だと言い張る矢張の返す言葉は、コレ。
矢張「フラッとここに立ち寄ってみたら、イカすモデルを見つけたワケよ」
いきなり口説いてるよ、この男。
しかも、よりによって冥を。
流石とゆーか、当然とゆーか。何とも命知らずな。
で、そんな矢張の証言なんですが。
相も変わらず、「ツッコミ所が多すぎ」(by成歩堂)。
第一、事件とは無関係だと言い続けている時点で、何だかもう。だって……。
御剣を呼んだのはキサマだろ。
その呼びつけた張本人が、トボけるなんて……。
気を取り直して、次の証言。
成歩堂が橋から川に落ちて入院している事を、ここで初めて知った冥。
矢張「フトンの上に寝ころんでいたら……目の前がマッシロに光ったんだよ!」
落雷の経緯を語る、この証言の時の画像は、非常に重要。
が、しかし。
落雷からすぐに橋を見に行った……という事なら、
その時は、まだ橋は燃え上がっている最中だったはずで。
それなら、その時に成歩堂に会えたはずがない。
もっと言えば、落雷からすぐに橋を見に行ったのなら、
焼け落ちた橋さえも見るはずがない。
発火から鎮火までは、30分もかかっているのだから。
そう問いつめられて。矢張の態度が、変わった。
矢張「………………………………。
……御剣ィ……オマエ……ついに、オレをホンキにさせちまったな……」
「いいのか……? オレ……オレ、しゃべっちまうぞ! ホントに、いいんだな……?」
ここまで何度も断ったのは、もしかして矢張の良心だったのかもしれない。
矢張が見た物は、それくらいとんでもない代物だったから。
ソレは、橋が燃えている時に、彼がスケッチとして書き綴った物。
矢張「いいか……見ておどろくなよ……。コイツが……天流斎マシスくんの世界だッ!」
!!!!!
その瞬間。法廷中に、無言の嵐が巻き起こった。
御剣(うううう……気まずい……。
どうやら……だれも、切り出す勇気がないようだな。
……この、ナゾの飛行物体について)
必死に現実から目を逸らそうとする一同の中、止むなく御剣が生贄になる。
御剣「なんなのだ? その上をただよう、不吉なシロモノは……」
矢張「あやめちゃんだよ、あやめちゃん! 決まってるだろ!」
「ケガしたらどうするんだよ。……空なんか飛んじゃってさ!」
……何をバカな。
かつてのサーカスの、あのトンデモ展開を思い出す。
友達だから連帯責任という、よく考えたらワケ分からん理由で、
御剣は矢張への尋問を続ける事に。
けれど。そんな御剣の努力も、矢張には今一つ届かない。
矢張「……なんで……なんで、あやめちゃんのずきんを成歩堂が持ってるんだよ……」
「……あの子、アイツのなんなのさ!」
ヤッパリ、独りだけ違う世界に住んでるよこの男。
矢張「オレには、決定的なショーコがあるんだよ」
と語る矢張が皆に示したのは、「おぼろ橋」のたもとで拾った水晶。
雪の降っている時(=事件発覚前)に地面に落ちた物である。
その水晶の持ち主、即ち、矢張が目撃した人物の正体。
裁判長「空を飛んだのは……水晶を落とした被害者……天流斎エリスさんですかッ!」
空を飛んだ空を飛んだと繰り返される、そんな会話に、冥が一喝。
冥「ヒトは、空を飛べないわ」
と、あのサーカスの時の成歩堂と、同じ台詞を言う。
落ちていた水晶と、殺人事件の関連性を立証しろと、冥に詰め寄られて。
御剣は決然と受けて立つ。
御剣(それが、あのオトコ……。……成歩堂龍一のやり方なのだから!)
ああ、完全に意識シンクロしてる。
御剣「《本当の犯行現場は、おぼろ橋のたもとだった》!」
そう考えると見えてくる、あのスノーモービルの意義。
被害者の死体を運ぶために、アレは使われたのだ。
と……ここまで話が進んでしまえば、今の弁護側にはもう、「負け」は無い。
この裁判は、まだ終わらないから。被告人の罪は、立証できないから。
残された疑問点は多い。
その1。被害者が殺害されたのはドコなのか?
その2。なぜ被害者の死体は動かされたのか?
その3。矢張が目撃した光景の意味とは?
そう語る際、御剣から、フッ……と零れる笑み。
PC交代劇の、終わりの時が近づいている証左だ。
あやめを信じて、矢張を信じた、御剣の弁護は、そろそろ幕を閉じようとしている。
御剣(……成歩堂……。……どうやら、私の役目は果たせたようだな……)
そして、もう一人。この裁判を乗りきるために、絶対に欠かせなかった人。
御剣「……狩魔冥。キミは、最高のパートナーだ」
彼女への礼を、忘れるわけにはいかない。
……という、シリアスな空気を華麗にぶち壊す、矢張の「冥ちゃん」呼び。
成歩堂でさえ、彼女の事は「狩魔検事」と名字で呼んでいるというのに。
が、今回ばかりは矢張、ナンパした相手が悪かった。
暫くの間、冥によるムチ乱舞につき、少々お待ち下さい。(←場内アナウンスの口調で)
冥「そして、トドメよッ!」
暫くの間、冥によるムチ乱舞につき、少々お待ち下さい。(←場内アナウンスの口調で)
で、その結果……。
目撃証人、失神。
……激しく既視感(デジャヴ)を感じたのは、私の気のせいでしょうか。
ともあれ。御剣による即席弁護は、これにて終了。
御剣(……これで……あとは、キミしだいだ。成歩堂……)
物語の世界は、再び主人公の物へ戻っていく――。