今回の目的は、毘忌尼の証言を崩す事。
開廷直前。
矢張の真意をあやめに伝え、安心させてやる御剣。
話を聞いたあやめは、色恋沙汰に照れてしまいながらも、御剣を気づかう。
あやめ「御剣さまは……検事さん、なのですよね。
大丈夫なのですか? もし、正体がバレてしまったら……」
が、対する御剣は、泰然としたもので。
ついに開廷。
その画面に映る、法廷内の画像。
物凄い光景が、今、目の前にある。
弁護人席に、御剣が立っている。
その襟に、成歩堂のバッジを付けて。
実はコレ、本当に感慨深い瞬間かもしれない。
御剣信→千尋→成歩堂……と、順番に託されていったと言える、「正義の弁護」のバトン。
そのバトンを今、御剣が受け取った。
回り回って、彼は父親に抱いていた憧れを叶えられたのかもしれない。
なお、裁判官は、あの『始まりの逆転』の時の人。
検事席が空っぽなのをいい事に、とっとと審理を終わらせようとするのは相変わらず。
そこにムチをうならせ、あの例のラスボス音楽と共に。
狩魔冥が再登場。
冥「今回、特別に依頼を受けて、アメリカから来たわ」
と、今度は裁判官、御剣の方に不審の目。
裁判官「どうも……あなたには、見おぼえがあるような気がするのですが」
きっとコレ、成歩堂なら、あのヘラヘラ笑いでゴマカすのかなと思ったり。
冥「……………………検事局に、このようなヤワなオトコは存在しない」
とフォローしながら、ぶんぶかムチを振り回す冥。
その横柄な態度に、怒る裁判官に、
「待った!」
ボイス付きの御剣による宣言(コール)で、何とかその場は収まる。
かくて、御剣VS冥、変則カードの「法廷バトル」が今からスタート。
シリアス過ぎてギャグになってる空気が、どうにも独特である。
最初の証人。毘忌尼の登場…………と言いたいが。
彼女は小柄なため、証言台から顔が出ない。
御剣「たしか、控え室に……背が不自由な証人のための、みかん箱があったはずだ」
と、いつかの小学生の事を思い出しつつ、仕切り直して、審理開始。
この章では全体的に、審理は淡々と進んでいく。
やっぱり、あの成歩堂の滝汗が無いと、何となく物足りない気も。
ただし。この1点のみ、凄まじいネタが潜んでいた。
事件当夜の、毘忌尼の入浴の時間を問いただしたら、こんな会話に。
毘忌尼「……まったく、ワカい男の子はコレだからねェ……」
御剣「なな、何を言う! 私は――――ぐはぁッ!」
あ。ムチ当たっちゃった。
その上、何故か法廷中の全員から非難されてしまう。普通に尋ねただけなのに。
御剣(な、なんだ、ここは! いじめられっ子の席か……?)
取りあえず御剣よ、この裁判が終わったら、お祓いしてもらいなさい。何か憑かれてるから。
事件当夜、毘忌尼が「奥の院」側で、あやめと会った事についての問題点を指摘。
その結果、慌てる毘忌尼の様を眺める、御剣の反応はと言うと。
御剣(ムジュンを暴く、この感覚……なかなか、悪くない。
成歩堂のうれしそうなカオも、ナットクできる……)
何とも余裕しゃくしゃく。
こっちは必死で、攻略本で確認しながら謎を解いてるというのに。
成歩堂としての弁護なら、強気ハッタリによるコマンド総当りも辞さないが。
御剣としての弁護では、ミスは一つも許されないように感じる。
だって、もし万が一アホなミスしたら、御剣に呪われそうな気がするし。
実際この審理、揺さぶりまくればいいというワケでもなく。むしろ慎重に解く必要がある。
毘忌尼「あのときのあやめは……ずきんをかぶってなかったのよ!」
と、重要なようで不要な情報が出てきたりするからだ。
今回の事件において、重要な事。
その1。被害者はドコで殺害されたのか?
解剖記録によれば、彼女は何かで刺殺された後、どこからか落下したはずなのだ。
そうなると、被害者が境内で殺されたというのは考えにくい。
冥「刺された瞬間の出血量……これは、たいしたことはない。
傷口から、もっとも出血がはげしいのは……。
……凶器の刃物が、傷口から引き抜かれたときよ」
御剣「いかにも。刃物が刺さっている状況では……
いわば、その凶器自体が、傷口の《フタ》となっているのだ」
戸惑っている裁判官を相手に、揃って説明を加える二人。
そう。
実は、成歩堂も真宵も法廷に居ないと、困る事がある。
耳慣れない論が登場しても、その説明役となる者が、今回は居ないのだ。
きっと、この御剣&冥なら、「線条痕」や、「一事不再審(←正確には「一事不再理」)」などの
言葉が出ても、説明ゼロで話が進んでしまうはずである。
今回の事件において、重要な事。
その2。被害者を刺した凶器は何なのか?
確かに事件の後、あやめの部屋から血染めの装束が見つかっているが。
明らかに不自然がある。
毘忌尼「あの子が、カタナを抜くところはハッキリ見ましたからねえ」
と言われても。
あの枝分かれした七支刀が、人を貫ける凶器だとは考えられない。
そもそも七支刀には、まともな刃さえ付いていないのだ。
(『盗まれた逆転』の霧緒の台詞を参照)
が、たとえ凶器が何であっても、ソレであやめが被害者を殺めたのは確かだと、主張する冥。
が、たとえ凶器が何であっても、ソレが今はドコに有るのかと、切り返す御剣。
その膠着した空気を、毘忌尼が切った。
毘忌尼「オバサン、知ってるかも! カタナを捨てた場所をッ!」
いきなりこう叫ばれて、御剣は絶句。
例によって、オバサン達にはめっぽう弱いね。みっちゃんは。
てなわけで。
毘忌尼によって語られる、「葉桜院」のスノーモービルの存在。
冥によって提出された、事件当時の写真を見ると、
ソコに有るシュプールは1本、即ち「帰り」の時だけ。
つまり、スノーモービルの「行き」の時は雪が降っていたという計算になる。
と、ここで押さえるべきは、事件当夜の気象データ。
箇条書きでまとめると、こうなる。
午後 7:00〜10:00 雪のみ
午後10:00〜10:50 雪と雷
(午後10:45 落雷)
(午後10:45〜11:15 火災)
午後10:50〜11:00 雷のみ
毘忌尼が殺人事件を目撃したのは、午後11:00。
その後の時間帯には、既に雪は降っていない。
即ち、そのタイミングでは、スノーモービルで「往復」する事は出来ないのだ。
ところが。
その気象データの正確性に難癖を付けられてしまって。
結果、御剣の異議は、危うく取り消しになりかける。
御剣「な、なんだと!」
(そんな、テキトーな……)
と、憤るのも、ごもっとも。
でもコレ、検事のキミが今までしてきてる事と、大して変わんないよ?
今回の事件において、重要な事。
その3。スノーモービルは、誰が何のために使ったのか?
状況から確かに言えるのは、
雪が降っている間に、何者かが「おぼろ橋」へ向かった。
そして、 雪がやんだ後、その何者かが「葉桜院」に戻った――という事。
ただし。そのスノーモービルのキーを持っている人物も、これまた、あやめしか居らず。
ただし。事件発覚前、毘忌尼が「葉桜院」側の本堂に戻って来た時は、
スノーモービルは一切、使われていないのだ。
というわけで。
今必要なのは、事件当夜に「おぼろ橋」の付近にいた人物の証言。
そうなると、出てくるのはヤッパリ――アイツしかいない!?