今回の目的は、関係者の動きを洗い直すだけで精一杯。
開廷直前。
心音(うう……。キンチョーするなあ……)
「こ、こんなにドキドキするの、去年フルマラソンを走ったとき以来です」
毎度のお約束のやり取りする心音。
そんな彼女を励ます王泥喜や成歩堂所長はともかく、一路教諭が水を差すのが気に障るが……。
さて開廷。
今度は心音と王泥喜の立ち位置が逆になる。
ポリゴン処理したキャラだと、こういう融通も出来るようになるんだな。
一人目の証人は、番刑事。
証言は最後まで、つつがなく進む。
夕神「来月の給与査定、楽しみにしておきなァ」
いまだかつて、これほど平和な査定ネタがあっただろうか。いやない。
二人目の証人は、集芽。
しのぶ自身の台本が採用されなかったのが殺人動機だと言ってくるが。
採用されてたのは明白だろうに。
ずっと前からあらかじめ準備されてたんだから。
それに。そもそも前提からしてオカシイのだ。
この殺人事件は明らかに、「しのぶに罪を着せるため」に創られたはずなのだ。
集芽の証言に勇み足する心音に、お兄ちゃん役の先輩が全力で助太刀。
集芽は死体こそ見ていないが、アヤシイ人物の写真は得ていた模様。
だが、隠し事されていた事は変わらない。
故に各方向から厳重注意。
夕神「次、ウソつきやがったら……燃やすぞ……!(段ボール)」
裁判長「燃えるゴミの日は、明日です」
その後、心音の指摘を受けて、集芽はとうとう撃沈。
ノーパソまで箱に入れてた事を知って私は愕然。
因みに、この時に少しだけ見られる顔、ハッキリ言って美少女である。
やがて間もなく、アヤシイ人物の正体は割れた。
衣装の襟と、そして集芽による新聞で、既に答えは出ていたのだ。
三人目の証人は、知潮。
興奮している証人を鎮めるため、ココロスコープの出番となった。
テンポ良く、ガンガン進めていく内に、どんどん知潮の仮面(ペルソナ)が剥がれていく。
知潮「………………………………ぷっ。はははっ! あはははは!
あはははははははははははははははははははははは!」
カズラ弁護士再来みたいな爆笑の後。ギプスは外れ、仮面は外れた。
知潮「どーしても隠しておきたかったのに困っちゃうよね。んーっ、もう!」
「えへへー。冗談なんかじゃないよ」
「疑うんなら……見・て・み・る?」
やべえほど可愛い。
検事よりも芸術家よりも、まず役者目指すべきだと思うぞこの化けっぷりは。
そして何が凄まじいって、つまりコレ要するに、
『レイトン教授VS逆転裁判』への強烈な意趣返しにもなってるって事。
あの執事アルグレイの件である。(←『VS』のネタバレ注意!)
片や、演技力ある声優が演じるからこそ出来る演出。
片や、音声のないキャラだからこそ出来る演出。
これぞまさに、トリックの双璧だ。
けれど、楽しい事ばかりじゃないのがこの世の中。
これで知潮も、めでたく容疑者圏内の仲間入り。
なお、この時点でやっと、心音のテーマ曲の初披露となる。
今まで道のり長かったね。ココネちゃん。
四人目の証人は、零。
最初は協力を渋っていたが、
夕神「”例の件”……」
の一言で態度急変。隙のない証言を心音に語る。
夕神「さあ、月の字。天才ボウズの反論に、先輩弁護士として答えてやりなァ!
18にして弁護士になった、天才じょうちゃんよォ!」
1周目と2周目以降で印象の違う台詞の一つ。
コレ実は夕神、むしろ心音を褒めてるとも言えるのだ。
心音はホントに18だもんね。(←ネタバレにつき伏字)
そこで心音、めちゃくちゃトンデモな屁理屈推理を弾き出した。
「いやいやいや! ぼくもそこまで真顔でハッタリかませる自信は無いよ!」
……と、成歩堂所長が青い顔でぶるぶる首振るところを幻視した私。
その暴論に、零や裁判長は屈しかけたが、夕神は冷静だった。
おもむろに物証を示して告げる。
夕神「……じょうちゃんが”救おうとしている人”も……きっと望んじゃいねェはずさ。
おめえさんの弁護なんてよォ」
心音(こんなところで、くじけるわけにはいかない。
もっともっと強くなって。”あの人”を救わなきゃ……)
万事窮した場を破ったのは――狂った友情だった。
「異議あり!」「待った!」の声も高らかに。
知潮も、しのぶも、零も、自分こそが真犯人なんだと訴える。
彼らの行為は、決して褒められた物ではないだろう。
いたずらに法廷を混乱させた事自体の罪は軽くない。
しかし、そんな彼らの捨て身が、時間を稼いだ事もまた事実。
心音たち(と私)は大混乱しつつ、これからの再捜査を考える――。