事務所にて。
自分の力不足を責める心音は、とんぼ返りに留置所へ走る。
王泥喜は追い、成歩堂所長は見送る。
……ところでみぬきよ、飲食物までパンツ芸で取り出すのはどうかと思うよ。
(因みに、事務所に戻ると、種類が増えてたりする)
留置所にて。
再び他人行儀に戻ってしまったしのぶは、一路に弁護を依頼しようと悩んでいた。
一路「森澄は、彼ら全員をそろって無罪にできる弁護士を探しているのですよ。
そして私には、それが可能なのです」
「完璧な証拠品を、明日までに必ず用意してみせます。
そう。いかなる手段を用いてでも……」
って、何だよこの狩魔豪の親戚筋。
しのぶ「希月さんが信じてくださるのと同様、わたくしも友人を信じているのです」
王泥喜「……わかった。森澄さんの意志なら、その決断は尊重させてもらうよ」
と、大人の対応する王泥喜が頼もしい。
ついでに、この台詞の時の顔が妙に色っぽい。
(伏し目の表情は昔から大好物です)
差し当たってするべきは、事件当日の出来事の再確認。
しのぶ「そのとき、ステージのオブジェが完成していたのを見たんです。
できあがった大きな像に、白い布がかけられていましたから」
……この時点で、ピンと来るプレイヤーも居るだろう。
第2話のマスクの件と同じトリックが、この台詞には潜んでいる。
そして、面会の最後に。
心音「今日の、日没までに!」
「われわれ、希月心音と、王泥喜法介は!」
「今回の殺人事件の《真実》をつきとめてみせますッ!」
「そして、真実を示す確たる証拠を、しのぶの目の前に持ってくる!」
「もし、わたしにそれができたら、その時は……その真実がどんなにツライものでも、
受け入れるって約束して」
と、心音は決然としのぶに提案し、留置所を後にした。
次に行くべきは、遺体発見現場の屋外ステージ。
動いてる段ボール箱は見なかった事にして。
協力を申し出てくれた牙琉と共に捜査を開始。
取りあえず成り行きで、牙琉のオブジェを修繕してみる心音たち。
画面をぐるぐるぐるぐる回し、タッチペンで隅から隅まで突っついて破片を拾う。
全部見つけた後は、自動で像が組み上がる。
何故か像が2体できちゃったのが謎だけど。
その後、ポールから延びた旗用のワイヤーを辿り、先にある窓に声をかけると反応アリ。
番「ハッハッハー! キミタチかぁー! ジャーァスティース!」
心音「いたいた! バン刑事ですよ!……ジャースティース!」
無理言って校旗を降ろしてもらった時も同じノリ。
心音「ありがとぉーござまぁーす! ジャスティスでぇーすッ!」
番「ハッハッハー! それはよかった! ジャーァスティース!」
……仲いいなあ……。
で、その校旗を調べたら、紙が一枚落ちてきて。
正直、この紙を筆跡鑑定していたら、その場で事件は氷解してたかもしんない。
そして最後のポイント。ステージの向こうに見えるフェンスを調べて。
「数字の6がギックリ腰になったみたいな」(by心音)、
もとい牙琉のバンドのマークが書かれた「厚手の高級生地」(by牙琉)の旗について話していたら、
箱が走って逃げてった。
校舎裏で追いつくと、集芽はどうやら、法廷で心音に「記者失格」呼ばわりされた事で、
焦げたワタアメ頭の関西人みたいにヘコみ中。
そこにすかさず。真面目な王泥喜は、心音に釘を差す。
王泥喜「落ち込んでる今が、いろいろ情報を聞き出すチャンス! なーんて、思ってないよね?」
優しく言いながら、本気で腕輪構えてるのが怖いです先輩。
ところが集芽、密かにお手柄。
彼女は焼却炉から、貴重な証拠をゲットしていた。
よって、消沈しっ放しの集芽に謝る心音。
色々あって、二人の距離は少しだけ縮まった。
集芽が渡してくれた、ステージ設営中の写真を持って。
次は廊下へ。(美術室は捜査中で入れない)
会った零からは、妙に辛辣な、そして不器用な言葉を向けられた。
零「真実が、あなたやシノブに味方するとは限らないだろうに」
「明日、ぼくは証言する。あなたの好きな、《真実》をね」
「それでシノブの身に何が起ころうと、ぼくは関知しない」
「シノブの前では話を合わせたが……もう、彼女には友情を感じていない」
「シノブは、お前たちが思ってるほど真っ白な人間じゃないってことさ」
不安を感じつつも、今はひとまず、捜査の終わった美術室へ。
壁の時計を調べたら案の定、番刑事がやらかしてた。
一方、不審なカセットテープにも進展が。
声の主こそしのぶだが、「編集のコンセキ」「約10分35秒間にわたる雑音」という、
客観的描写がキチンと説明されている。
そう! フェアプレイなら、こう来なくっちゃいけないよ。
窓辺の皿、旗のウィンチ、集芽の台本、像の置かれた跡の4ヶ所を調べれば話は進む。
だが、この場所で特に調べるべきは、台本の並ぶ書棚である。
王泥喜「希月さんは、机の上を散らかすのが得意だもんね」
心音「せ、先輩だって、ヒトのこと言えないでしょう!」
王「オレだけじゃなく、成歩堂さんもなんだよなあ……」
心「この事務所にいる限り、キレイ好きにはなれない運命か」
二人は、知潮を探して大教室へ。
すると知潮、模擬裁判の動画を調べていたそうで。
強引に自分の話を進めかねない知潮に押されつつ、心音たちは情報を引き出した。
この学校には「報告係」なる存在が隠れている事。
道葉教諭の造形センスが常人離れしてる事。
話が一段落したところで、三人で動画の検証。
定点カメラの資料映像のため、得られる情報は決して多くない。
が、今必要なのは、むしろ音声の部分。
その音声について、心音の音感が真実を捉えた。
知潮「お……同じ……声? や、ヤダ、これ……!」
この時点で、この事件の真犯人は男性だとほぼ決定。
さっそく心音、居合わせた牙琉に、テープの分析を依頼した。
日没が迫ってきた。
留置所で心音の意見を拒むしのぶに、王泥喜が事実を告げる。
王泥喜「間違いないよ。希月さん。彼女は……ウソをついてる」
よって、ここは王泥喜の出番。
私は、しのぶの全身を丹念に調べていったが、この「みぬく」は苦労した。
一つ2行の台詞だけでこんなにくたびれるんだから、
台詞が複数だったら、そら目が死にますわな……。
かくて、しのぶの仮面(ペルソナ)も剥がれて落ちる。
彼女たちの友情の、その裏が現れ始める。
王泥喜「森澄さん。オレには、希月さんのような特別な耳はないけど……
それでも、キミのココロの痛みはハッキリ伝わってくるよ。
そして、この痛みの強さは、キミが友達を想うキモチの強さでもある」
王泥喜のこの言葉は、深い。
昔読んだ小説で、好きな言葉がある。
「信じると疑うは違うよ」と。
「信じる」と「疑う」は、単純な対義語ではない。
人は、相手を「信じられない」から、疑うのではない。
相手を芯から「信じたい」からこそ、疑う気持ちが生まれるのだ。
そして。尋問の結果、分かった事。
弓彦の犠牲が生かされてないじゃんかこの学校……!
知ってる人は知ってるが、零が着てる制服は、一柳弓彦のと同一デザイン。
彼らは同じ学校の先輩後輩にあたる(はずである)のだ。
しかも。零ってば他の点でも完全に疑惑のデパート。
しのぶが疑念を抱くのも無理はない。
それでも、心音は前へと進む。
全てを確かめるために、何もかも終わらせるために、法廷へ向かうのだ。