『過ぎ去りし逆転』実況レポート (中編)

狩魔父娘のいるロビーにひとまず戻る。


狩魔豪「被告人も検事も死亡となれば……”公訴棄却”。つまり、これでお開きだ」
冥「ふっ……デビュー戦が流れてしまったわね」
誠に申し訳ないですが、流れてくれないと困るんです歴史的に。
(気になる方は『逆転裁判』第3作をどうぞ)

その一方、
狩魔豪「御剣、きさまには別の事件を担当してもらう」
冥「パパ! 次は私のデビュー戦も見に来てくれるわよね?」
豪「ふん。考えておこう」
と、一見、微笑ましい父娘の会話もなされるが。
どー考えてもこの先生、ゼッタイに税関で引っかかるんだろーな。
(気になる方は『逆転裁判』第1作をどうぞ)


しかしながら、御剣&冥の探偵気質は止まらない。
狩魔豪「そんなに調べたいのであれば、好きにするがいい」
と許可を得て、二人は捜査を再開する事に。

なお、この時の、
狩魔豪「お前(=御剣)には一流の検事になってもらわねばならぬ。
     …………そうでなくては、つまらぬからな」
という狩魔豪のつぶやきは、第1作を知るプレイヤーには感慨深いところ。





とゆーわけで、ここからは自由行動。

冥と一緒にロビーをさまよう。



……と、その前に、法廷内に寄り道。
待望の小ネタの詰め合わせが待っているからだ。


弁護人側の席。
御剣(あの事件がなければ、私はこちら側にいたかもしれない)

証言台。
冥「アナタ(=御剣)もここに立つようなことにならないように……せいぜい気をつけるのね!」

裁判長の木槌。
御剣「前に、法廷のこの木槌で叩き潰される夢を見たことがある」

裁判長の椅子。
冥「私たち検事や弁護士は立ちっぱなしなのに、ナマイキね」
実際の法廷には、検事や弁護士のためにも、ちゃんと椅子があります。念のため。





そんな寄り道を終えてから、まずは重要人物である葛と会話。

その結果、判明したのは……。
殺人事件当時、葛は馬堂と一緒に、現場隣の「第1控え室」にいた事。
馬堂は、かつて葛の妹の警護役だった事。
葛は、「真刈=ヤタガラス」というのは嘘と考えながら、真刈の弁護についた事。
ただし、
葛「……犯罪者をかばう気なんてないわ。カンチガイしないで」
との事だ。



続いて、そろそろ落ち着き始めたイトノコ刑事と会話。
この時、まだ穏やかな様子で尋ねている御剣が新鮮。
もし、この初対面が第1作の頃だったら、もっと冷酷に追いつめてたんじゃなかろうか。

その結果、判明したのは……。
一条に怒られたのは、刑事課配属の初日だった事。
馬堂に警備を命令されたのは、今日の昼だった事。
後ついでに、最初はイトノコ刑事、派出所勤務だった事も判明。
制服姿も、ちょっと見てみたかった気もするなぁ。


ここまで話したら、次にやるべき事はただ一つ。即ち身体検査。
それで出てきた物と言えば、《賞与:500円在中》と書かれた、(ただし空っぽの)袋だった。
って、アンタ500円て、小学生のお小遣いじゃないんだから。
冥も呆れて、
冥「あんな安月給のバカとだけは、絶対に仕事をしたくないわね」
  「まあ、この私が、あんなバカと仕事するなんて、一生ないけれど」

などと言う始末。



現れた制服警官に急ぐよう促されたため、イトノコ刑事に最後の質問。
御剣「……キミは、自分に不利な証言をしているとわかっているのか?」
そう問いただしてもイトノコ刑事は、かたくなに意見を曲げない。
こうなったら自分の目と手と足で、現場を調べてみようと思い立った時。



少女がみっちゃんに襲いかかった。



忍び足で近づいて、飛び蹴りかましてヒザカックン攻撃して、
それで逃げ去った彼女が落としていった物は。
「法廷名物」と袋に銘打たれた、どら焼きだった。
しかし、礼儀正しく両替をお願いしてきたあの子が、いったい何故?



廊下に出ると、ちょうど馬堂が裁判長に事情聴取をしている最中。
御剣&冥は、事情聴取を済ませた裁判長に、
御剣「……御剣怜侍と申す」
冥「私は狩魔豪の娘、狩魔冥」
と、それぞれ優雅に、紳士オジギ姫オジギで挨拶する。





とゆーわけで、ここからは再び自由行動。





場所は同じ廊下でも、冥と一緒に行動しているため、コメントは大幅に変わっている。
馬堂や裁判長に、事の次第を確認してから、各所のチェックを開始。

因みに、個人的にココで押さえるべきは、自動販売機だと思う。
商品全ての説明まで出てくるくせに、ソレに一切意味がないってのが何ともゼイタク。
御剣&冥、お互いの発言に対して、お互いのボイスまで流れるし。

なお、自動販売機の下に這う鑑識も、イイ味を出している。
鑑識「奥に、500円玉らしきものが!」
どこかの誰かさん、コレを見つけられたら良かったのにねぇ……。


そんな自動販売機に(私が)十二分に満足してから、廊下の端の窓に近づく。
見つけた物は、置かれたサボテンと、連なる蟻と、落ちている諸々と。
冥「ゴミはっ! ゴミ箱へ!」
  「裁判所はっ! 使った時より! 美しくっ!」

と、目立つ汚れに怒りまくる冥を横目に、ロジックスペースへ移動。
イトノコ刑事の取った行動の流れが、少しずつ見えてきた。

更に詳しく確かめるため、御剣たちは法廷内に戻る事に。






次なる目的は、裁判長の主張を崩す事。




まずは小手調べ。
そもそも裁判長がイトノコ刑事を見失ったのは当然の話。
単純に、裁判長の死角に入っただけなのだ。

因みにこの時、
御剣「(窓の)高さは大人の胸のあたりほど……その証拠に、
   メイには廊下からトイレの窓は見えなかった」

という御剣の発言に、例によって冥のムチが飛ぶわけだが。
明らかに、冥とムチと御剣の動きが、全くつながっていないのが気にかかる。
ある種、コレもバグと言えない事もないかもしれないかも。


が、裁判長もなかなかしぶとい。
自分の聞いた「クラッカーの音」を、銃声だと推理して粘る。

が、今回に限っては、裁判長の第一印象こそが正しかった。
てっきり銃声だと思いこんでいた当方としては、まさに「してやられた」という感じだ。

ともあれ、かくて御剣は、事の次第を更に詳しく追うために、イトノコ刑事への尋問を要請する。





次なる目的は、糸鋸圭介の主張を崩す事。





と言いましても。ここまで来れば、話はもう見えたも同然。

イトノコ刑事は、ソファでどら焼きを食べたわけで。
けれど、どら焼きを買うにはお金が足りないわけで。
だから、二人がかりでお買い物をしたわけで。
だから、二人がかりでお金をかき集めたわけで。

そんなところに、またも忍び足で襲おうとしてくる少女を捕まえる御剣。
個人的に、この場面での少女のモーションは、何度見てもリアルだ。
ホントに子供ってこーゆー謎めいた動きするから。

とにかく、
「ミクモだもん! 一条美雲!」
と名乗る彼女に、落とし物を渡してやる。
まさしく文字通り、これでも食らえと。


だがしかし。
美雲いわく、本来ならコレは彼女の父親―― 一条九郎へのプレゼントだったそうで。
美雲「わたし……お父さんのこと、知ってるんだ。
   警官の人達が話してるのを聞いたの……。
   お父さんが……もう……いない、って……」

そこまで言って、限界が来た。
懸命に堪えた後、彼女は号泣する。子供らしく。人間らしく。一心に。
かつての御剣のように、彼女もまた、最愛の人を失ったのだ。

そんな彼女に御剣は、
御剣「……ミクモくん、このハンカチで涙をふきたまえ」
と、ひざまずき、目線を合わせ、声をかける。

ここで素朴な疑問。
冥に促されてとは言え、こんな振る舞いの出来た人が、
何で5年後には、同じよーな子供に、あんなに振り回されてるんだろう。謎だ。


だがしかし。そんな素朴な疑問を吹っ飛ばす展開が、この後に待っていた。
美雲「ズビーッ!」
我々プレイヤーは目撃した。



あのヒラヒラがティッシュにされた決定的瞬間を。



今までファンは散々言ってましたけどねコレは。
あのヒラヒラ、千切って使えるんじゃないかとか。色々。



そんなこんなで、再び明るく立ち直って見せる美雲。
その背中を、冥が力強く後押しする。
冥「あなたは泣いていなかった。私がそう証言するわ」
この狩魔一門コンビ、ド新人の頃の方が、よっぽど真人間のような気がする。


そんな風に、美雲が明るく礼儀正しい理由はコレ。
美雲「お父さんと一緒に作った約束を守る努力をしてるんだ!」
と見せてくれた、交換日記のようなノートだ。

なお、このノートを冥に見せた時の会話もまた興味深い。
冥「パパを目標に生きている私が同じ状況になったらと思うと……」
御剣「先生ならば、案ずることはない。あの方は、殺しても死なないようなお人だ――うぐはぁ!」
冥「パパをバケモノみたいに言うんじゃない!」
この時はあくまでも、軽い冗談だったんだよね。この時は。



ところで。この時の御剣のヒラヒラは、未だもって美雲の鼻水つき状態。
なので結局、
御剣「予備がもう1枚あるからシンパイいらない。これはキミに差し上げよう」
と、(ノーネクタイならぬ)ノーヒラヒラ状態になる御剣。
美雲「でも、お父さんに、”知らないヒトからモノをもらっちゃいけない”って……」
御剣「では、これはあげるのでなく、キミに預けよう。
   今度会うときにでも、洗って返してくれればいい」

そう言って渡すや否や、懐中の予備で元通り。



確認作業ももうすぐ終わる。
全ては、美雲とイトノコ刑事との友情が招いた喜劇だったのだ。
二人がかりで分け合った、1個のどら焼きが事の始まり。
美雲の割った風船の謎も、ノコさんが落としたアンコの謎も、全て解き明かされた。

そう。
とどのつまり、イトノコ刑事はずっと廊下を警備していたのだ。
イトノコ刑事は無実なのだ――。


という結論に落ち着きかけた、その時。



「異議あり!」



と現れたのは――葛。


彼女は逆に、やはりイトノコ刑事こそが犯人であると指摘した上で、
美雲を問答無用で係官に引き渡す。
葛「私なら、逆に危ないと思うけど」
というのは、確かにむしろ正論だ。

そして、彼女がイトノコ刑事を疑うのも正論だ。
彼が犯行現場にいた事そのものは、今もって揺るがないのだから。

葛「法に生きる先輩として、忠告しといてあげる。
  犯罪者を放っておくと、とんでもないことになっちゃうわよ」
またも意味深い言葉を最後に残し、葛は部屋から立ち去った。




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