法廷へと集まった面々。
美雲だけは、馬堂の計らいで外に出されてから、それは始まる。
御剣と、青服弁護士との対決が。
さあ、いよいよ法廷パートの始まりです。(厳密には違うけど)
次なる目的は、葛氷見子の主張を崩す事。
この章で行うべき事は、以上、ただ一点しかない。
葛「アハハハハハハハッ! 御剣くん。それは冗談かしら?」
「ふふふっ……アハハハハハハハッ! また、ミケンにシワよせちゃって」
「フフフフッ! アハハハハハハハハハハ!」
「常識的に考えても分かることよ。ぷっ・・・・・・アハハハハッ!」
「アハハハハハハハハハッ! それは、御剣くんだけじゃない?」
ハの字がゲシュタルト崩壊してくるような、葛の挑発をかわしながら。
真の犯行時間帯――イトノコ刑事が警備を始める前について、御剣は問いただす。
部屋の防音性について、
御剣「もちろん、知っている」
(さっきまで、知らなかったとは言えないがな)
なんて、しれっとサラリと流しつつ。
窓を開け、匂いを流し、そして音を流した張本人を、彼は指さす。
葛「わ……私が……犯人ですって?」
さすがに、断言されて動揺したか。
塗ろうとした口紅で、思いっきり頬に線を引きながらも、しかし葛は怯まない。
ピンチの時に、ふてぶてしく笑ってみせるのは、弁護士の必須スキルなのだから。
それどころか。
葛「狩魔検事の弟子だけあって、ねつ造はお得意みたいね」
……。
………………。
言ったな?
ならばお望み通り、キサマに引導を渡してやろう!
それで、「ヤタガラスの鍵」を示してから指摘した、その結果。
彼女は、ひたすら笑いつくしてから、答えた。
葛「…………まさか……アンタに……………………
新人検事なんかに……見破られちゃうなんてねぇ……」
そして、彼女は自ら明かす。
如何にして、この度の事件を裏から操っていたのかを。
法曹界人としてでなく、密輸組織の構成員として。
葛「ヤタガラスには三本の足があるの。どういうイミか、わかる?」
「……仕込んでるのは、刃1枚だけじゃないってこと」
やにわにキナくさくなって参りました。
葛「……せっかく、忠告してあげたのに。
犯罪者を放っておくと…………とんでもないことになっちゃうわよ……ってね!」
馬堂「二人共っ! ふせろっ!」
冥「ひっ……! きゃああああっ!」
御剣「くっ!」
(体が……動かない……ッ!)
美雲「おにいさん! 右によけてッ!」
御「!」
全ては一瞬。
葛が銃を向けて、馬堂が駆け寄って、冥が腰を抜かして、御剣が身をすくませて、
美雲が叫んで、御剣が床に跳んで、銃声が鳴って。
ヤタガラスは逃げ、刑事が追う。
美雲も外へ走り去り、後に残るは検事が二人。
御剣「……無事か? メイ……!」
冥「…………ッ! ど、どうということはない、わ」
言葉を交わし合った直後。
再び銃声が鳴り響いた。
その後。時間は経って。
馬堂「御剣検事、狩魔冥。ケガはないか?」
と、とうとう一人前と認めてくれた馬堂は、ヤタガラスを追うべく去って行く。
晴れて無罪になったイトノコ刑事を置いて。
糸鋸「あー、なんというか……ありがとうッス!」
「自分は、これからも、御剣検事についていくッス!」」
……ホント皆さん、素直にお礼を言ってくれる事、嬉しいです。
なお、この後の御剣&イトノコ刑事の縁については、
『逆転裁判』1〜3をご覧下さい。(宣伝)
かくて。
物語の視点は再び、『さらわれる逆転』のラストに戻る。
父親を亡くしたため、ずっと母方に越していたという美雲は、
御剣に会うために戻って来た、その理由を説明する。
美雲「本当のヤタガラスはね……うちのお父さんだったんだよ!」
「わたしね。こないだ、見つけちゃったんだ。
……お父さんの本棚に隠されていた日記を……」
って、まさか、父の跡を継ぐ大泥棒が出ちゃいましたか。
そういう人、確か当サイトのこの辺にいたような。
そして、そんな彼女が見せた、新聞の記事。
御剣「ヤタガラスが大使館に予告状を出した……だと?」
美雲「これは、ニセモノなんですよ!」
そう。
つまり美雲は、かつての恩人である御剣を求めていたのだ、
ひとえに、父の名を騙るニセカラスを捕らえるために――。