難攻不落のラスボスを目前にしながら、手も足も出ない一同。
何故か狼も席を外してしまい、最早すっかりお通夜ムード……になりかけたのを、
美雲が明るく吹き飛ばてくれた。
ひとまず気を取り直して。
イトノコ刑事はババル側の再捜査。
冥はアレバスト側の再捜査。
とゆーわけで。ここからは自由行動。
美雲と一緒に、ロビーの中を再捜査。
差し当たって気になる場所は、ただ一つ。
新たに展示されている、トノサマンショーの最後に撮られた記念写真。
御剣「シクラメンにバラをアレンジした花束のようだな」
「ユリをメインにカモミールをあしらった花束か」
前者はカーネイジ、後者はダミアンの持っている花束への御剣評でござい。
けれど、そんな御剣でも分からない謎の花。
と言いますかコレ、あのギターのピックに見えて仕方ないんですが。
御剣「この花の模様……。花びらが1枚、欠けているようにみえるな」
だから、ソレってピックでしょ?
はやる気持ちを抑えつつ(私が)、取りあえずロジックスペースへ移動。
それで導き出された結論。
カーネイジが殺した場所は――ババルでもない、アレバストでもない。
御剣たちの圏内で処理できるかもしれない……!
そう思い当たったタイミングで、冥が帰還。
アレバストとババルの出入国記録のビデオを手土産にして。
さっそく一同は、ビデオデッキでチェックを始める。
それでデッキに表示されたのは、1分ごとの静止画像。
結局このシリーズ、滑らかな動画って使わなくなるのかな。
なお、ここで調べるべきはヤッパリ矢張(の手押し車)。
対してババル側の記録も確認。
しかしながら、こちらは空振りに終わってしまう。
はて、マニィが通過した画像さえ無いのは何故なのか。
そこまで捜査したところで。ジャマが入った。
御剣たちへ、国外退去を命じるカーネイジ。
このまま本国へ高飛びする気なのは明らかだ。
そんなカーネイジを倒すべく、御剣&冥の検事コンビに、仲間たちが集結していく。
1番打者:ババル共和国大使、ダミアン・ヒンジ。
ダミアン「少しお時間をいただけませんか、カーネイジ大使……」
「ほんの少しでケッコウですよ。
……わが国との友好関係を、危ぶんでいただけるのならね」
一方、乗る飛行機の時間が迫っているとのたまうカーネイジ。
アンタどこかのチンピラヤクザじゃないだろうに。
次なる目的は、カーネイジの主張を崩す事。
ボイスまで付けて反論してくる敵に、御剣は毅然と立ち向かう。
マニィとカーネイジとの確執を暴き出す。
彼らは共犯どころか、互いに利益を争う悪人同士なのだ。
2番打者:2代目ヤタガラス、一条美雲。
美雲「7年前、あなたがカズラに殺すよう指示した検事の手帳だよ」
「これ(=ぬすみちゃん)はヤタガラス……お父さんが使っていた盗みの道具」
「ヤタガラスの情報がつまった、この二つの証拠品……
アナタがいま帰るつもりなら、アレバストに送ってもいいんだよ」
この美雲の挑発に、カーネイジは受けて立つ。ただし条件が。
カーネイジ「余計な質問で時間を取らせるなら……ヨウシャはしない」
御剣「余計なゆさぶりや、つきつけは、命とりということか」
……と、一見ペナルティ覚悟の事態のようだが、この尋問は簡単。
カーネイジがマニィを殺める機会は確実にあったのだから。
それでもカーネイジは動じない。
大使としての権限を振りかざし、逃げ去……ろうとするが。
3番打者:国際警察捜査官、狼士龍。
狼「……アンタにはもう、治外法権など、ない」
「国際警察本部と、アレバスト王室……動かすのに、ちょいと時間がかかっちまった」
「アンタ、大使を解任されたんだよ」
「本日付、たった今だ!」
「4000年かけて世界中に広げたコネクションとネットワーク……フル回転させたぜ」
ここぞとばかりに哄笑する狼。
が、それでも何とか持ちこたえようするカーネイジ。
コレが軍人としてのプライドか。
御剣「カーネイジ”元”大使。ジュンビはよろしいかな?」
カーネイジへの尋問が続く。
冥「もう大使ではないのだから、エンリョすることはないわね」
美雲「わたしも、いざとなれば……!」
狼「ヤロウ……ちょっくらシメてやろうかッ!」
御剣「その口を、物理的にふさがれたくなければ……さっさと証言を続けてくれたまえ」
いいから落ち着けお前ら。
カーネイジは、劇場から死体を運ぶ方法がないと言い張っているが。
確かに、方法はあったのだ。あったはずなのだ。
4番打者:殺人課刑事、糸鋸圭介。
糸鋸「どうッスか、御剣検事! これ、手がかりになりそッスか!」
イトノコ刑事が持ってきたのは、ババル側の野外ステージに捨て置かれていた手押し車。
ソコには紛れもなく、事件と関わりのあった証拠が。
ここで問題になってくるのが、アレバスト側に入ってからのカーネイジの行動。
どんなに揺さぶっても進展しない議論に、冥も焦れて素振りを始める始末で。
そこに割り込む別の声。
「どうやら、間に合ったようでゴザルな……!」
「アクダイカーン! ネングの納め時ですわッ!」
御剣「帰れッ!」
そんな殺生な。
5番打者:トノサマン役、矢張政志。
矢張「オレ、ずっとアレバストにいたのにさー。なぜかワカサマンは、ババルで見つけたワケよ!」
国境を超えていたワカサマンがたどった道。
ソレが即ち、マニィを運んだ道なのだ。
だがしかし。その論を止めたのは――狼だった。
あくまでも中立者として、より具体的な証明を御剣に求める。
池の水路をコントロールする方法。
ソレは、この事件の冒頭で既に明かされている。
かくて御剣たちは、再び殺人方程式の解を導いていく。
この事件の、全てのピースを当てはめて。
無論、マニィが運ばれた証拠品だって、ちゃんと有る。
コレなんだ。
私が求めるミステリの世界は、コレなんだ!
たとえ、どんなに無茶なトリックだろうとも。
こうしてフェアに説明してくれてこそ。
こちら読者側だって、ツッコミを入れる甲斐があるというもの。
そんな思いを噛みしめつつ……最後の章へ参りましょう!