イトノコ刑事とひとまず別れて、やって来ました殺人現場。
美雲「お困りのようですね、ミツルギさん」
と意気込む美雲を従えて、御剣は独り思索にふける。
御剣(できるだけ、捜査を引き延ばさなければ……)
って、何だかどこかで聞いた台詞だな。
とゆーわけで。ここからは自由行動。
美雲に海(でのゴハン)へ誘われたりしながら、
飛行機内のモニター群、それから死体にも接写する。
そして机上の書類に注目。
御剣(しかし……なんだ? この違和感は……?)
そりゃ何が矛盾してるかって……全部だろ?
線図以外、書いてある文章ことごとく。
聞くと、どうやら原因はコロシヤにあるようで。
意外に武闘派なんだなこのエセ執事。
一方、内藤はと言うと……
内藤「あの日から、首が右に回らねえ」
との事で。
そうか、単なるデザインの都合じゃなかったんだこの首。
以上を調べ終えてから、ロジックスペースへ降下。
現場の銃の真相や、弾丸の軌跡を明らかにしていく。
その推理から、
御剣「弾丸を調べさせてもらおう。線条痕が残っているかもしれん」
と御剣が出したお約束は、しかし今回は叶わない。
ところで。そんなこんなと調べたが、まだあらゆる意味で進展は無い。
最初に動いたのは、コロシヤだった。
コロシヤ「重要な証人がいるではありませんか。……このトビラの向こうに」
と次の展開を促してから、突然の停電と共に、
コ「わたくしには、もう《真実》が見えました」
「あとは、御剣さまにおまかせいたします……」
どこまでも、穏やかに。どこまでも、黒く。
コロシヤは姿を消した。
そのコロシヤに昏倒された御剣は、イトノコ刑事の呼びかけで目を覚ます。
コロシヤの代わりにあるのは、あの例のカード1枚のみ。
更に代わりに現れたのが――コロシヤの促した”証人”だった。
その際、驚くべきは、
御剣「はじめまして。検事の御剣怜侍といいます」
と、フツーの丁寧語で挨拶する御剣だろう。
さすがに国家主席相手に、普段のノリは無理だよな……。
しかし。これで事は逆に悪化した。
今まで捜査できていたのは、コロシヤのおかげだったのだから。
結果、捜査手帳は白紙に戻る。(検事バッジ除く)
ミキコの立場も俄然不利に戻ってしまう。
こうなったら、残された活路は――真っ向勝負しかない。
いちいち中指、じゃなくて人差し指を振り上げる大統領を前にして、
御剣はチェス盤の前に立つ。
御剣「仕草をよく観察し、相手の感情を読みとるのだ」
なるほど。
では早速、相手の真意を……直観で読みとっていきましょう。
御剣「発言は強気ですが……見逃すことはできません。
治外法権と聞いた瞬間……表情にあせりの色が浮かんだことを」
すげえ。やっぱ、名探偵なら出来るんだよコレ。
その華麗なる口撃に対して、
王「ワタシは……あえて! あえて、認めるとしよう!」
長々とした演説という名の言い訳をしてる大統領は、放置プレイに処しておく。
おかげ様で、捜査手帳も元通りになった事だし。
次なる目的は、王帝君の主張を崩す事。
それで判明したのは、会場にトノサマンなんぞがあった事情。
内藤「あのトノサマンバルーンは、間に合わせの借り物だったのです」
と王に説明してから、美雲に補足。
内「たまたまこの公園で、屋台を出している男がいてな。
そいつが、トノサマンのバルーンを貸してくれると言い出した。
……やたらと調子のいい男だったそうだ」
しかし大統領、そのトノサマンバルーンの事を記憶していなかった。
その事実から導かれるのは、バルーンを撃った真犯人。
ひいては、大統領暗殺未遂事件の全容だ。
いや、違う。
そもそもコレは、事件でさえない。
この事件に犯人がいるとするなら……それはあなただ!(←作品違う)
御剣「すべては……このウソつき大統領による茶番劇だったのだ!」
そう真実を暴かれた相手は、魂から絶叫して、枯れ果てた。
これにて事件解決!と思った矢先。
「異議あり!」コールで割って入ったのは、内藤だった。
って、別にこの人、法曹界の関係者でもないのになぁ。
と、今度は「待った!」コールの乱入。ミキコの番だ。
御剣「勇気を出したまえ! おそれていては、真実は逃げていく。
キミはルポライター……ジャーナリストなのだろう?」
ミキコ「ジャーナリストは、《ウソ》をついてはダメや……。
《真実》を伝えないで、スクープとは言えないですわ!」
そう言って、彼女は仲間として、重要な証拠品を捧げてくれた。
それでも内藤は足掻くものの、大統領が認めた。
未だに残る謎を解くために。
王「なぜ外城くんは、命を落としたのだろうか?」
その途端、途端、その外城を露骨にけなし始めた内藤。
挙句、またもミキコを犯人に差し戻そうと足掻き始めた。
次なる目的は、内藤馬之介の主張を崩す事。
今度は簡単。
そもそも、内藤が主張している拳銃など、真っ赤なニセの証拠品なのだから。
よって、外城を殺した犯人を問いつめるべく、ならばと今度は大統領を問いつめるが、
何も聞いてなくて役に立たない……と思ったら。
役に立たないのが役に立った。
こうなったら、あと必要なのは証拠品。
外城を殺害し、部屋のモニターに刺さった弾丸こそが犯人の……と思ったのに。
鑑識「まず、この弾丸に付着した血痕は、被害者のものと一致しました」
「そして、この弾丸の線条痕も……この拳銃のものと一致しました」
……何……だと……?
つまりは、ゴミ箱にあった銃から、外城を撃った弾が出た事になる。
つまりは、ゴミ箱にあった銃は、フェイクじゃなかった事になる。
コロシヤもフェイク。
赤いフードもフェイク。
暗殺事件もフェイク。
フェイクさえもフェイク。
よく分からなくなってきた。
次なる目的は、内藤馬之介の主張を崩す事。
さっそく揺さぶって、それで浮かぶのは意外な真相。
美雲「あり得ない証拠なら……証拠自体を疑うしかないんじゃないですか?」
御剣(法廷では証拠がすべて……この私が証拠を疑うとはな)
そういう事だ。
あの、捜査手帳のリセットも伏線だったのだ。
いったん渡してしまったあの瞬間に、真実はすり替えられたのだ
この証拠品は、絶対ではないのだ。
追求は続く。
内藤「証拠もなく、ヒトをウソツキ扱いしちゃならねえ……。
父ちゃんに教わらなかったかい?」
って、あんたどうして知ってんだ、と言いたくなる減らず口を叩きながら、
内藤は愛銃をもてあそぶ。
御剣(撃つたびに弾をこめ直している……?)
そんな内藤の仕草こそが、とうとう仇となった。
御剣「……チェックメイトだ」
言われて犯人、文字通り撃沈。
っていうか、いったい何を乗せてんだこの飛行機の天井は。
事件解決後。色んな意味で持ち直した大統領。
王「ワタシは、もうしばらくの間、この国に滞在する予定だが……
いつでも、我らが西鳳民国をたずねてくるといい。歓迎しよう」
それからミキコにもお礼を言われる。
でも実際には彼女、まだまだトラブルを量産していくわけだけど。
ただ、その中で最後に残った事件がある。
コロシヤの依頼の件だ。
御剣「その狂騒の中で、ダレひとり気付いてはいなかったのだ。
それが、《ゲーム》の始まりにしかすぎなかったことに……」
より正確に言うならば、それは「終わりの始まり」だった。
18年間にも及ぶ、フェイクに彩られた事件たちの……。