「18年前」と表示され、大急ぎで指折り計算。
即ち、「2019ー18=2001」。
この結果に、すわ「DL6号事件」発生間近なのかと泡を食ったが。
この計算は間違い。
と言いますか、「18年前」って表示が間違い。
厳密には「18年と数ヶ月前」なんですなコレ。
よって正解は「DL6号事件」の前年である。
日付は、12/24のクリスマスイヴ。
遠い未来の年のこの日に何が起こるか、まだ誰も知らない時代。
留置所の面会室から、舞台は始まる。
満を持して登場するは、御剣怜侍の父にして名弁護士・御剣信その人。
……正直な話、この方を前にして、しばし見とれてしまった。
恐らく自分、頭の中で相当に美化してます。
ただ……驚くべきというか当たり前というか。
いきなりココでPC(プレイヤーキャラクター)が変更しちゃうわけだ。何も説明なく。
一人称のアドベンチャーゲームで語り手が変わるってのは、本来なら一大事だと思うんだが。
「捜査手帳」も、「法廷記録」に変化して。
これで完全に弁護士ゲームに戻っちまいましたこの作品。
複雑な気分になりつつも、久しぶりの弁護士バッジをしげしげと確認。
因みに、裏の刻印は「21326」。
御剣信「ヒマワリはつねに太陽の方を向いているだろう?
そこから”自由”と”正義”を表しているといわれているのだよ」
そこに、テンション高く現れたのは、依頼人であるパティシエ・天海一誠(てんかい いっせい)。
信楽「これが面会なんですね!」
と、助手の少年(当時)の信楽は大興奮。
信楽「ぼくカンゲキです! テンカイチさんに会えるなんて!」
と、少女漫画並みに目を輝かせてるのはいいが。
右手でも左手でも字を書いちゃってる事に頭痛がしてくる。
こういう画像の限り、「利き手」トリックは絶対に使えないな、このシリーズ……。
そんな気持ちの私を余所に。料理番組「ダンスイーツ」のテーマソングを、
元気に歌って踊る天海と信楽(と看守)。
対して御剣信は無反応……と思いきや、心の中はなかなかお茶目な様子。
では本題。
御剣信「……このバッジに刻まれた天秤は、“公正と平等”を意味しています」
などと前置きしつつ、殺人事件の詳細を聞いてから、さっそく捜査へ。
事件現場である、天海邸に到着。
何でも、ココでパティシエによるコンテストが催されていたそうで。
すると現れたのは、天海一誠の助手である緒屋敷司(おやしき つかさ)。
今度は信楽、彼女と共に、「ダンスイーツ」の2番を披露。
御剣信「…………」
(今度、息子に教えてみようか)
是非とも。
挨拶を済ませた司は、御剣信&信楽に紅茶をふるまう。
御剣信「ほう……これは。おいしいセイロンティーだ……。
カンキツ系のアロマが集中力を高めてくれますね」
なんて語るこの人は英国紳士か、それとも特命係か。
ソーサーへの気遣い(?)や、司ご自慢の食器について語り合った後。
死体を発見した経緯を彼女から問いただす。
コンテスト会場の一つ。天海のエリア。テーマはチョコレート。
居合わせた馬堂刑事の名前を覚えようと、信楽はいつも通りの習慣を。
馬堂「……紙を……食っているだと……!」
良い子は決して真似しないように。
ともあれ。御剣信は堂々と、厳しい馬堂を物ともせず、現場捜査の許可を得る。
というわけで。ここからは自由行動。
信楽、じゃなくて馬堂を引き連れて歩く。
改めてのBボタンダッシュを堪能……………………している内に、急に虚しくなってきた。
思い出してしまった。
この事件の終焉は、「死」に直結している事を。
御剣信は狩魔豪に一矢報いつつも、被告人を救えないまま、
あの悪夢のエレベーターで、忌まわしき銃弾に潰され、
死後も警察に振り回され、息子を黒の道へ向かわせる。
そして、その喪が明けるには、15年もの長い時を待たなければならない。
こうやって、いくらPCとして走ろうとも、既に肯定されている未来を変える事は、
決して許されないのだ。
せめてコレが、「DL6号事件」と関係ない事件だったら、まだ楽しめたんだけど。
そこまでやったら、それこそ別の作品になっちゃうもんなあ……。
話を戻そう。
チョコレートの並ぶ部屋の中。
ドレか一個くらい、本物にコーティングだけしてあったりしないかな。
置かれたティーセットなど調べつつ、一通り歩き回ってから、
死体が見つかったチョコ細工の船をチェック。
馬堂「死体は回収済みだが……それ以外は……そのままだ」
そう言われながら、さっそく調査を始めたら。
ロジックモード機動しやがった。
ちょっと待ってくれ。
あのロジックスペースって、御剣怜侍独自の世界じゃないのか。
それとも何だ、ヴィジョネイルって遺伝するのか。
なお、当然ながら、「推理」のプロセスも全く同じ。
でもそれなら、もっと作中で丁寧に説明してほしいなあ……。
ただ……恥ずかしながら私、この現場での「推理」で完全に詰まりました。1周目当時。
だって。箱のフタだって動いてるのに。底板も大幅に剥がされてるのに。
しかも、攻略サイトを見てもそれでも間違えるし。当たり判定厳しすぎ。
どうにも寂しい。
このシリーズも段々、私にはフツーの推理ゲーになってしまいそうで。
私みたいなシロートでも解けるのが、気に入った点の一つだったんだけど。
あと、余談ながら。
この下りで、皆して話してる「インスタントカメラ」とは、いわゆる「ポラロイド」の事。
商品名のため作中に出せない次第。
鑑識員など、周りの人々からも事情聴取。
その内の一人、隻眼赤服のパティシエ・風見豊。
飴細工を専門としているが、味はともかく見た目がイマイチ。
風見「……落ち着いたら西鳳民国でデザインの修行をするつもりなのだ」
しかも、赤服を着てるのは、汚れが目立たないようにするためだとか言ってるし。
逆に不潔だろソレ。
そんな風見から教えてもらったのは、本日のタイムスケジュールや、邸宅の構造など。
それらの話を聞いている部屋は、どこまで行っても、寒い。
初めての現場に喜んでいる信楽も、とうとう体が冷えてきて。
御剣信「私のコートでも着るかい?」
信楽「いえ! 大丈夫です! それはぼくが弁護士になった時にもらうって約束ですからね!」
なお、部屋の温度はただいま15℃。
風見いわく、チョコレートのためには15〜18℃、
生クリームのためには10℃を保つべきだそうで。
では、捜査の総仕上げ。
ロジックスペースに降り、論理のカケラを組み合わせていく。
馬堂は改めて天海犯人説の根拠を述べる。
馬堂「この屋敷の部屋はすべて……内側からカギをかけられる。
だが……外から開けるには、この屋敷のカギを使うしかない……」
「カギを持っていたのは……天海のみ。……合いカギはない」
次なる目的は、馬堂一徹の主張を崩す事。
生真面目な刑事に、生真面目に立ち向かう弁護士。
ただ……個人的にワガママを言わせてもらえば、
ココで御剣信の専用音楽を聞きたかったかな。
だってこの曲の大元は、狩魔一門のテーマでもあるんだし。
御剣信は指摘する。天海の部屋を荒らした人物を。
よって、その不審者を今度は調べてみる事に。
が、そんな様子を、心配する鑑識員。
鑑識「いまあの部屋には検事どのが……!」
25年無敗(当時)と知られる強敵に、しかし御剣信は怯まない。
御剣信(……彼がどんな検事であろうとも、私は私の信じる道を行くだけだ)
その道が死出の旅路である事を、今はまだ誰も知らない。