『受け継がれし逆転』実況レポート (中編)
(現在)

昔話をひとまず終えて。帰って来ました現実に。



信楽「ハナシが長くなっちゃったねえ」
確かに。

「IS-7号事件」の方も、終焉までは長かった様子。
信楽「事件発覚から判決が出るまで1年くらいかかったよ」
   「当時はまだ”序審法廷”システムもなかったからね。
   いまの裁判みたいに、短期間で判決が出ることもなかったんだ」



その事件が、長い時を経て、再び動き出す。
彼ら二人が来た美術館こそ、天海邸のコンテスト会場だった場所なのだ。


当時の記憶に従って、目当ての部屋である「冬の宮殿」へ向かった信楽だが、
鍵がかかっていて入れない。
御剣「入口で貰ったパンフレットによると、冬の宮殿はこちらのようです」
と、改めて向かったのは、信楽の覚えている部屋の左隣。
あの当時は、氷でなく生クリームのあった部屋だ。

信楽「オジさんはカメラの準備をしておくからさ。
   信さんのお墓に、この部屋の写真を供えたいからね」

そう言われ、入った部屋で一旦別れる。





とゆーわけで。ここからは自由行動。





ケッタイな格好してるカップルや、ランドセルを背負った少年を横目に見つつ、
フラフラしながら独り言を続ける御剣の図。
さすが星座にもなかなか詳しいようで。

彫像を見ていると、信楽に写真を撮られて渡される。
なお、今のご時世では、ポラロイドは相当な骨董品。新規に買うのはほぼ不可能です。

さて。いつまでも-3℃の世界にいるのもツライ。
他の部屋にも行ってみようとしたその時。
鬼気迫る悲鳴を耳にして。肩で息して、広場へ戻る。

さきほど鍵のかかっていた部屋の前に、倒れていた二人。
一人は、気を失っている隻眼の男。
そしてもう一人は、あの大使館でも出会ったアイツ。
矢張「オレ……また、トンでもないものを見ちまったんだよぉおお!」

何がどうしてどうなった。
しかしけれどもそれどころじゃない。
御剣「ム? このニオイは……!」
信楽「レイジくん! ここは危険だ! みんなを連れて避難を!」
御剣「全員、すぐにこの部屋から離れろ! この部屋からは……有毒ガスが出ている!」





その後。気を失っていた男――風見豊は、
一命は取りとめたものの、意識不明の重体のまま。
薬剤師のデリシー・スコーンらが治療に当たっているとの事。

一方、幸いというか不幸というか、矢張の方はピンシャンとしたもので。
冷静な御剣に、いつも通りに切り返す。
矢張「小学校からの親友に対してその態度はひでーだろ!」
信楽「へえ。小学校からの友人! こりゃ、信さんに報告しとかないと。
   信さん、きっとあの世で喜ぶよ。キミに友達がいるか心配してたから」


なお、矢張がココに来た目的はデートの下見だそうで。
あとついでに、誕生日おめでとう矢張。(いつの間にか年齢が進んでる)



そこに紅茶を差し入れてきたのは、美術館の館長。
かつては女優として活躍していた緒屋敷司である。

御剣「ほう……これは。なかなか上質なセイロンティーだ。
   何よりも、このカンキツ系のアロマが……」

信楽「”集中力を高めてくれる”かい?」
あの当時と、同じ言葉が繰り返された。
信楽「そういや前はソーサーが冷えてたけど、今日は温かいなあ」
本来のお茶飲みとしては、こちらが正解のはず。
あくまでもお茶は、飲む人が自分で冷ます物だから……。



さて。これから一体何をしようか悩んでいると、イトノコ刑事&美雲と合流。
イトノコ刑事が警察の権限に基づき、防毒マスクを付けて現場に立ち入った。
どうも、最初入れなかった「秋の宮殿」は、「冬の宮殿」と妙に似通っているらしい。



もっと詳しく知るため、御剣は矢張相手にチェス盤を用意。
じっくりとタイミングを計って、動揺しまくりの矢張を攻略していく。
矢張「有毒ガス事件が起きなければ……いまごろ、
   ふたご座の彫像をスケッチしまくってただろうな!」

確かに、本来ならあのガスの出た部屋こそが「冬」であるべきなのだ。
何も知らなければ、そう勘違いするのが当然なのだ。


矢張「オレ、あのときに見た光景を、そのまま絵に描いたんだ!」
ああそうかい、空飛ぶ人間でも何でも来いや!
と身構えていたら、そこまでオソロシイ代物じゃなかった。

「ふたご座が女神に変身した」と矢張は言うが。
対の姿で描かれる星座は、ふたご座と限らない。
……まあ、それ以前に、人型で描かれる星座でもないんだがコレは。



その内、警察の捜査が落ち着いたとの知らせを受けて。
御剣たちは事件現場の「秋の宮殿」へ移動。

それで分かったのは、ガスの発生場所、それから秋と冬とが取り違えられた原因。
では本格的に捜査しようとしたら、またまた例のコンビが入ってきた。

コレは考えてみれば当然の話。
イトノコ刑事は今、弓彦の部下なのだから。


来て早々に弓彦は、矢張が犯人だと指摘する。
その指摘に、水鏡が補足。

水鏡「有毒ガスが発生した原因は、2種類の薬品が混ざったからですわ。
    《ヨクアリウム》と《トドメサスン》という名前です」
   「《ヨクアリウム》という薬品は、日用品にも使われる赤い液体です。
   絵の具や洗剤などに含まれ、これ自体は毒物ではありませんわ」
   「でも《トドメサスン》の入手はむずかしいでしょうね」
   「《劇薬コロリX》という白色の薬の主成分となっているようですわ。
    《トドメサスン》自体も濃い白色で、ともに一般販売はされておりません。
   フツウの方が国内で入手するのは、不可能に近いでしょうね」



アトロキニーネの悪夢再び。



すいません。以下の段落だけは、毒を吐かせていただきます。

何故このシリーズの作者たちは、
揃いも揃って、架空の毒物を作りたがるんだろうか。
プロの物書きとしてプライドが無いんだろうか。
実在する物を使って描ききろうと努力し続けている、
世界中の推理作家たちに謝ってくれよ。



閑話休題。弓彦の推理に話を戻す……と言いたいが。
矢張「なあ、御剣よォ……。あの検事、バカなんじゃねえか?」
矢張にまで呆れられてたら世話ないなあ。





次なる目的は、一柳弓彦の主張を崩す事。





矢張「オレが残したのは、キミへの“あわい恋心”……かな」
見かけた女性は全員口説く、これぞ矢張クォリティ……なんてネタに和みつつ、
弓彦のアホ推理を吹き飛ばす。

加えて御剣は、有毒ガスが発生したプロセスも明らかにしていく。
御剣「うお座のガラスケースの下にもれ出た、ピンク色の液体。
   これこそ、2種類の薬品が混ざったという証拠なのだよ!」

素朴な疑問。
化学反応起こす際に、色が変わったりしないのかこの薬品たちは。


水鏡は、それでも御剣たちの介入を拒もうと、木槌で床をぶっ叩く
そんな彼女を、矢張が止めた。

水鏡「……あなたが法廷に立てば、担当の裁判官は苦労されるでしょう」
などと嫌味を言われても、矢張の世界は止まらない。
矢張「よろしくな、ハカリちゃん!」
と、最早すっかり友達気分


水鏡「それでは、もう一人の容疑者を連れて参りましょう。
   ……芸術家さまには、ご退廷いただきましょう」
   「それでは、これより10分間、本法廷は中断いたします」

だからココはいつから法廷(以下略)。




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