またも時間は移動して、時代は過去へ。
正直に言いまして。こう何度も視点が変わると、私は酔います。
時系列に沿った形でレポートを作っているのは、その悪酔い対策でもあったり。
異変のあった被害者の部屋から、けれど追い出されてしまった御剣信&信楽。
狩魔豪の横暴ぶりに怒りを燃やす信楽を、御剣信は静かに諫める。
御剣信「私たちは、コドクな人たちの味方になることができるのだ」
ならば次の一手を考えようとした時。司から手作りチョコレートの差し入れ。
歪(いびつ)で甘すぎるものの、その気持ちはありがたい。
ところが。その司から、エライ話を聞かされてしまった。
司「わたしは……幼い頃、天海さまにひろっていただいた捨て子なのです」
ここで感動できない奴でごめんなさい。
と言いますか……。
実際問題、会って間もない人相手に、こういう話を自分からするものだろうか。
もっと言うと、今作の事件たちには、「親を亡くした人」が多すぎる。
ただでさえ御剣怜侍と美雲、それに内藤、草太、ミリカ。
そして司で、もう6人目だ。
確かに過去作でも、兄弟姉妹ネタが頻発していたけれど。
それでも、今作ほどには多くなかったはずなんだが。
閑話休題。
手助けしたいと申し出てくれた司から、被害者の部屋の写真を見せてもらう。
写っていたソレは、確かにふたご座とおうし座の彫像だった。
司「せっかくですから写真をお撮りいたしましょうか?」
言われて撮ったツーショット。
この写真を、信楽はずっと持つ事になるわけだ。
司「天海さまは皆さまの部屋の写真を撮られるつもりだったのですが……」
「用意していたフィルムが予定より足りなくなっていたそうで……」
「天海さまが撮影した回数と、フィルムの残数が違ったそうです」
その後、司がフィルム交換したと言うが。
そのわりには、渡されたカメラのフィルム残数も残りわずか。
話し終えたところで、デリシーと馬堂と合流。
狩魔豪に捜査を阻まれた馬堂は、御剣信たちへの協力を申し出た。
デリシー「氷菓子があんなにおいしいなんて思わなかったワ!」
「でも、一つだけしょっぱくて食べられないお菓子があったの」
「そういえば、コオリくん(=氷堂)のお菓子にヘンな文字がついていたワ」
と、デリシーが説明したのは、「PH」と読めるイニシャル。
これで、つながる。
あの刻印と、あのティーポットと、そして彫像と。
そう。
だからこそ司は、憧れている人の作品を写真に残したのだ。
それどころか、新品のフィルムも使い込んでいたわけで。
それどころか、氷の彫像を溶かしたのも彼女の仕業だと言うし。
しかし。彼らの会話はここまで。
狩魔豪が司を拉致、もとい連行。
風見が氷堂の部屋に立ち入ったという事情も分からないまま、関係者の全員が連れて行かれて。
御剣信と信楽も、今日のところは帰るしかない。
信楽「……お腹もすいちゃいましたしね」
御剣信「ふ……ラーメンでも食べに行こうか」
それこそ、みそラーメンでも食べて、そして味わっていて下さい。
――嵐の前の、静けさを。