『受け継がれし逆転』実況レポート (中編4)
(過去)

「中編」の文字がゲシュタルト崩壊してきました。



翌日の留置所に訪れたのは、御剣信と信楽と、そして司。
彼らはそれぞれ、天海に面会に来たのだが。


馬堂の後に現れた天海の様子に、胸が痛くなった(私が)。

天海「…………こんにちは…………」
   「……昨日から、あまり眠らせてもらえなかったもので……。
   取り調べという試練は……かように辛いものなのですね。
   少しだけ……疲れてしまいました」


……確かに私は、人死にの話に盛り上がる不届き者です。
そのくせ、青臭い正義を振り回してる子供です。

ただね。
この人は、この時点では絶対に救えないのですよ。
それはもう決められている事なのですよ。
だから、その人を、これほどまでに、追いつめられた姿にしなくても、
いいじゃないですか。ねえ。


とにかく。取り調べという名の拷問で瀕死状態の天海に、司の作ったチョコレートを差し出す。
御剣信「留置所では差し入れができない決まりなのです」
という条件を、馬堂の計らいでクリアして。

……ここまで来てしまったら、認めるしかないのだろうか。
マコに弁当を渡そうとしたイトノコ刑事の方が間違っていたのだと。
悔しい。


チョコレートを食べて、一応の気力を取り戻す天海。
馬堂は去り際に、
馬堂「氷堂は金にどん欲な人物としても有名だったようだ……」
   「ヤツはいつも……金に困っていたらしい」
と、絵に描いたような動機を述べていった。


残った面々は、コンテストでの出来事について語り合う。
やがてその内、見えてきた事。
それは、天海が不調である、根本的な原因。
甘すぎるチョコレートに喜び、普通の和食を食べられず、
氷堂の菓子(の一部)を褒める、という破綻ぶり。

天海「味覚障害の一つに、『塩味が分からなくなる症状』があるのです」
それは珍しい。
一般的な味覚障害の症状は、「味を感じにくい」「苦みばかり感じる」などのはずであり。
塩味だけピンポイントってのは独特だ。
……だけど、そんな病状を持ち、しかも自覚してないような人が、
菓子の審査なんかしてていいんだろうか。


司が一足先に帰った後、天海は彼女への思いを語る。
御剣信(子供には、自分の望む道を歩ませてやりたい。
     そして……子供を守るためなら、親はどんなことでもできる。
     その気持ちは……私にもよくわかる)

……と、一見名台詞なんですが。
こういう複雑な心情を、こういう一面的な台詞でまとめてしまう手法は、控えた方がいいかと。
言葉よりも行動で魅せた方が、それで充分に伝わってくるのだから。


御剣信「取り調べについては、こちらからも手を打つ必要がありますね」
     「……いざという時のためにね」

と、御剣信は、最終的な保険をかけておく事を告げ、留置所から立ち去った。





かくて再び、天海邸に帰還。
ただし、狩魔豪による圧力で、ロクに捜査できやしない。馬堂が味方なのが救いか。





というわけで。ここからは自由行動。





ここで、やっと信楽に物を突きつける事が出来る。
ティーポットを見せると、紅茶でなくコーヒーについての話題に。
信楽「闇よりなお深い暗黒をたたえ、地獄よりも熱く苦いあの液体……」
まさかこの言い回しって、この世界で密かに流行ってんのか?

後それから、飾られている人形も調べると吉。
御剣信(サンタか……今年のクリスマスは息子に何をプレゼントしようか)


鑑識からの話を聞いた後、司にも事情聴取を開始。

司「コンテスト中は、いつも風見さまのご子息がいらしていたのですが……
  決勝戦では、お姿を拝見しておりません」
御剣信(息子が遊びに来ていた……? 何か意味があるのだろうか?)



意味なかったら出てこない。



続いて見せてもらったのが、コンテスト賞品であったレシピ。
もしや殺人事件の動機はコレか?

司「天海さまは、天下一グループ会長のたった一人の後継ぎなのです」
馬堂 「……カゼ薬の新薬から劇薬まで、はば広く扱う薬品メーカー……だ」
信楽「ああ! 最近”カゼゴロシ・X”の発売で話題になってましたね!」
因みに、『思い出の逆転』に出てくるのは「カゼゴロシ・Z」。


で。
どうやら、このコンテスト、その天下一グループに狙われていたようで。
スパイとして送られていたデリシーを、司が手引きしていたのだとか。

司「天下一グループと天海さまを守るため……協力したかったのです」
  「天海さまの納得のいく形で、会社に調合書をゆずりたかったのです……」
ってソレ、当の天海にバレたら、絶対に悲劇を生むよな。
明らかに不正行為なんだから。



さて。相変わらず現場の捜査は出来ないが、せめて関係者に問いただしたい。
例えば風見の行動を洗い直したい。
だが、またも邪魔が入ってきた。





次なる目的は、狩魔豪の主張を崩す事。





……いやいやいや。だから無理だってば。
この人を、この時点で倒せるわけがないのですよ。
それはもう決められている事なのですよ。

それに。
この対決に感じていた違和感の一つを、ここで悟った。
彼らって、敵も味方も事実上、テーマ曲が全く同じなんですよね。
プレイヤーにとっては、どっちも自分の曲という、何とも奇妙な感覚に。

あと、もう一つ。素朴な疑問。
私、狩魔豪が杖ついてるのって、肩に鉛弾を食らってるからだと思ってたんですが。
まだ49歳の時点でコレって事は、すごく体弱いのか……?



それはさておき。
判明してしまった事実。
この度のコンテストで、一切不正していないのは、天海しか居ないという事。
後は全員、裏取引の横行乱舞。



コレもう完全にノーコンテスト(無効試合)だろうが。



追究は続く。

狩魔豪「素人でも偶然うまい菓子が作れることもあるだろう!
    ワガハイの妻も素人だが、料理のウデは一流コックにも勝っておる!」

将来に見せる片鱗に、正直ちょっと癒された。
ホント家族には甘いロマンチストなんだよな、このおっちゃんて。


詰まったところに、信楽が疑問を挟んだ。
信楽「氷堂さんはどうやってお菓子を作ったんでしょうね?」
言われてみれば、その通り。
氷堂の作品に限っては、コンテストのその場だけで作るわけにはいかないのだ。


風見と氷堂との関係。
事件と直接つながるかと思われた手がかりは、しかし狩魔豪によって否定される。

狩魔豪「風見が氷堂の部屋に入ったのは、この写真を盗むためだったのだ」
写っているのは二組の父子。小学校の入学式の時の物。



結局、終始せかせかしている狩魔豪。
その様子を見て御剣信は、自動的にロジックスペースへ降下。
御剣信(そう、”発想を逆転”させるのだ!)

その結果。トンデモナイ答えが出た。
この事件もまた、並ぶ物はフェイクばかりだと。

パティシエ達が、フェイク。
コンテストがフェイク。
そして、警察の捜査自体、ことごとくがフェイク。
凶器よりも証人よりも、何よりも肝心要の物が、存在していないのだ。



証拠のねつ造をも行う黒い検事・狩魔豪に、御剣信は挑みかかる。
御剣信「”警察に”……ではない。あなたに異議をとなえているのだ!」

今まで当方、主人公キャラたちを動物にたとえてきましたが。
そのレベルを、御剣信は超える。
この人は、狩人だ。
真っ直ぐ鋭い矢を放つ弓兵だ。
その果敢な勇姿に、狩魔豪は。

狩魔豪「御剣信……法廷では覚悟することだな。
     キサマの推理など、何の役にもたたんことを教えてやろう!」



逃げてった。



御剣信「最後まで申し訳ないですが、一つだけお願いがあります」
と、御剣信は、留置序で述べていた保険を馬堂に依頼。
人事を尽くした今や、後は法廷に望むだけだ。
信楽「へへへ……ぼくも来年にはリッパな弁護士ですからね!」


え。
信楽。やっぱりキミ、19で弁護士になるんかい。
24とか23とか20とかじゃなくて。
まさかキミも飛び級の天才なんか。



信楽「信さんなら……きっと狩魔検事に勝てますよ!」

その力強い励ましは、しかし寂しく虚空に消える――。




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