今度こそ、現在に戻る。ヤヤコシイ時系列ともお別れだ。
信楽「忘れもしない。判決が下ったのは12月28日だった」
『逆転裁判』のプレイヤーならば、誰も忘れるわけがない、その日付。
狩魔豪は、天海に自白を強要した上、解剖記録をもねつ造していた。
が、その一方、御剣信は、取り調べの可視化(録音)によって、黒い検事に一矢報いていた。
その流れはまさに、かつて別のベテラン弁護士が説明した内容そのもの。
つくづく、何と見事に、過去作と辻褄を合わせたものだ。
この点に関しては、心から感服。
御剣(当時の記憶はあいまいだが、……私もあの場で父を見ていた。
父の無念だけは……幼い私にも、伝わっていたように思う)
昔を思い出す御剣に合わせて、信楽も本意を語り始めた。
信楽「あの日、一緒に帰らなかったこと……いまでも後悔しているよ」
当時の自分の苛立ちを、御剣へ押しつけていたと打ち明けた。
信楽「……すまない」
これでやっと、彼らのわだかまりは解けたのだ――のだろうけど。
ここまでやるなら、いっその事、「DL6号事件」の顛末にも触れて良さそうな気がする。
御剣が検事を目指したのは、自分が罪人かもしれないと悩んだ結果、
むしろ父親について考え過ぎた結果なんだし。
誰が御剣信を殺したかさえ伏せれてば、問題ないと思うんだ。
『華麗なる逆転』などでも、過去の事件のネタバレはある程度やってるんだし。
もったいないよ。
御剣と信楽は改めて、お互いの情報交換。
ところが、どうも彼らの間で、事件の見解が食い違っている模様。
つまり、狩魔豪の完全無敗記録さえ――フェイク――だったと明かされて。
御剣「私が信じてきたものは、すべてニセモノだったのか……」
……何だろう。この、自分の立つ大地が消されていくような感覚は。
だが、この事件そのものは決して終わらない。
3年前に時効を迎えているとは言え、天海はまだ生きているのだから。
かくて御剣、「IS-7号事件」の証拠品をGet。
「大量に」の表示に焦ったが、増えた物は結局4点。
そこに例によって湧いてきた、いつものコンビ。
噴水に湧いた死体が誰かと聞かれた時、答えるのが本当にためらわれた。
認めるのが怖かった。生理的に。
想像してしてしまうイメージ。
釣り上げられた魚。
何ら処理せず捌かないまま冷凍庫に突っ込んで放置。
それを18年ぶりに水に漬けたらどうなるか。
グロは厭だー!!
私が考え過ぎなのは承知しています。
……でも考えちゃうんだよぉ……。
とゆーわけで。ここからは自由行動。
広場に限り、捜査可能の状態に。
矢張の「うるわしのハカリちゃん」発言に和みつつ、いろいろ調べたり、話しかけたり。
まず、信楽から重要情報。
信楽「……氷堂さんの家族は、幼い息子一人しかいなかったんだ。
その息子と……そして小学校が同じだった風見さんの息子。
この二人、事件のころから行方がわからなくなっててね……」
「風見さんの息子は、見つかったって話は聞いてないね……。
でも氷堂さんの息子は、居場所が判明して遺品も届けられたらしい」
その一方で、こんなネタも。
信楽「弁護士として立つ法廷……一度、味わってみてほしいね」
御剣(一度だけ、私も弁護士としての法廷を味わったことがある。
たしかに……悪いキブンではなかったな)
ああ、スンマセン信楽さん。
それしきではこの通り、みっちゃんは口説けませんよ。(口説く?)
噴水に寄ってから、ティーセットに接写。
すると戻って来た司から、紅茶のご相伴に預かった……のはいいが、
御剣いわく、香りが違ってしまっているとか。
その司と、御剣信について思い返す際の、この台詞が引っかかった。
御剣(私は……いまだに迷っている。自分がどうあるべきなのか……)
結局、ココなんです。
私の中の御剣と、制作側の中の御剣のズレ。
私の中での彼の葛藤は、あの失踪期間が唯一全であります故。
「再び悩み始めた」ってニュアンスなら、まだ納得できるんだけど……。
気がつけば移動してる、矢張と会話。
手がかりのカケラをぶっつけてから、検事バッジを示したら、究極の台詞が飛び出した。
矢張「職業なんてモンダイじゃねえ。ダイジなのは自分が何をするかだ!」
なるほど!
いかん。納得してしまった。
放っとけば「ハカリちゃんのカンカン大行進」なんてアホ台詞しか言わん奴なのに。
話は戻って。隠していた罪状を白状する矢張。
矢張「ちょっと手がすべっちまって…………割っちまったんだ。
すっげえ高そうなティーポットを、割っちまったんだよォオオオ!」
よって御剣の助言に従い、矢張は土下座。
司に許してもらえた事からホッとしたのか、ここで矢張のいつものお騒がせ能力が発動した。
矢張「実はさ、割れた破片を隠そうとして、ワゴンの下を見たんだよ」
その後。見せてもらった2枚目の絵。
まさしくソレは、証拠品のセール会場。
何せ「ビミョーな色合いひとつまでバッチリ再現してる」というのだから。
さながらキャメラアイを持った名探偵だ。
皮肉なものだな。
フェイクばかりのこの世界で、一番信用できる相手がキサマだとは。
まず、司が運んでいるワゴン。
チェックすべきはチョコレート……じゃなくて、テーブルクロス。
その微妙に異なるワゴンを持って、司は「冬の宮殿」から
「夏の宮殿」へ入り、今度は作業リフトを持って出てきたと、矢張は述べる。
すぐさま彼女に確認すると、
司「テーブルクロスには、セイケツな白色のものしか使っておりません」
と否定するが、私は矢張を信用する。
ポケットから出されたチョコレートを貰っても、ほだされはしない。
ロジックスペースと往復すれば、やがて真相が見えてくる。
御剣「……まるでウバティーのような、さわやかなミントの香りがしました」
本来なら、それは普通のお茶の味。
だが、今この世界でミントと言ったら、それは死の片割れだ。
さっそく御剣は、弓彦にティーポットの調査を訴える。
ここまで調べたところで、イトノコ刑事から電話アリ。
糸鋸「おうし座のケース内の液体に比べ、ふたご座のほうの液体が少ないッス」
「さっき、ケース内に残った《水色の液体》を調査したッス。
おうし座のケースからは糖分しか検出されなかったッスけど……
ふたご座のケースからは、なぜか三つの成分が検出されたッス」
「《糖分》 《塩分》 《血液》……の三つで構成されているッス!」
「噴水から見つかった糖分と、この水色の液体の成分は同じみたいッス」
そんなコトはどうでもよろしい!
いま差し当たって最重要なのは、この台詞の方じゃない。成分結果の「詳細」の方だ。
「18年前と同じ成分」って。まさか。そんな。
他にも、「冬の宮殿」でも、「秋の宮殿」と同じように
光る布が使われていたという話を受けて、今度はデリシーを問いただす。
デリシー「この光る布はね、噴水に浮かんでたのを拾ったの」
何と。光る布までも、18年ぶりに取り戻した、当時の盗品。
しかも。信楽いわく、司は天海の親族から、
彼の遺産――究極のレシピを買い戻しているとの事で。
故に、ロジックが答えを導く。
今ここに、事件の犯人が完全確定したのだと――。