『忘却の逆転』実況レポート (後編)

美雲のバッジ以外、全てのアイテムを奪われて。
久方ぶりの留置所暮らし。
ホントにもう、懐かしいったらありゃしない。

そう。あくまで個人的な意見ですが。
私の中の御剣、1mmも動じてません

誰よりも大切なお父さんを失った時に比べれば。
それですがった先生に、実は裏切られていたと知った時に比べれば。
別にどうという事もない。


この長々しい戯事にも、いい加減にケリをつけねば……と(私が)思った矢先。
看守に命じられ、御剣はイトノコ刑事に会うべく面会室へ。



それは、つくづく懐かしい光景。
だが、アクリルボードの向こう側に居たのは、よりによって、あの邪神の僕(しもべ)だった。

イトノコ刑事の名前を出して、人払いまでした上で現れた水鏡は御剣に、
なぜ戦い続けるのかと問うてきた。

御剣「昔の自分だったら、こんなムチャはしなかっただろうな」
師匠のクローンのように、ただ事件を解く機械のように生きていた、あの時代。

御剣「しかし、ある男によって、私の自分勝手な正義は打ち崩された」
   「私が検事の職をまっとうできるのも、周りの誰かの支えがあってこそ。
   例えば、イトノコギリ刑事や、多くの捜査員。そして……ミクモくんもそうだ」

より正確に言うなら、コレはあの彼女の影響も大きいだろう。
家族を失くしても、身内に裏切られても、笑顔を絶やさなかった、次期家元の彼女の。


結局のところ、水鏡の思惑は不明のまま。
御剣への審議が今日だとだけ告げて、彼女は立ち去った。



再び、留置所の監房。
調度品などを一通り調べ終えると、ストーリーは強制進行。

現れのたのは美雲――と、彼女を連れて来た万才と。
美雲「あたしは、人殺しです」
   「できれば消してください。一条美雲の記憶を……」




……だから一人勝手な自己完結するなと言うにお前は……。



万才「それじゃ、僕はこれで……」
御剣「待ちたまえ!」
と、御剣はすかさず、ロジックチェスを強制執行。

って、こんな展開でいいんだろーか。
ロジックチェスはあくまで戦法であって、特殊能力とは違うだろーに。

で、始まったロジックチェスなんですが。
告白しますと私……この下りの、記憶がほとんど無いのです。1周目当時。
ただひたすら、機械的に選択肢を総当たりしていっただけ。
音楽までアップテンポになるものだから、時限イベントが苦手な私は、もう何も考えられなくて。
だからタイムゲージなんて要らなかったのに。


ともあれ。結果として判明するのは、例によって権力の私物化。

万才「僕くらいになるとね。真実なんて作れちゃうの。チョチョイと」

へえ。そういう人なら、私も知ってますよこのシリーズで。
因みにその人は、脅迫者でしたね。





時は進んで、とうとう始まる審査会。
人が亡くなったばかりのその場所で会議開くってのも相当だ。

万才「出席会員、10名。過半数の出席を受け……これより審議を開始する!」

って。ちょっと待て。
この人数じゃ、マトモに多数決が取れないんだけどそれでもいいの?
それとも、全員一致で議決するってタイプなのか。


かくして、魔女裁判のような茶番劇が始まった。
そのじつ、
万才「君がその異議をひっこめたなら……明日にも君はこちら側に座っているかもしれない」
と、まるでドラクエの魔王みたいな取引を持ちかけてくる万才。
今時、誰がそんな形でGAME OVER食らうもんかよ。





次なる目的は、水鏡秤の主張を崩す事。





ここで問題となるのが、ナツミの撮った証拠写真。
何故か居合わせているナツミから直に問いただしていく内に、被害者の状況が見えてきた。
御剣「ミクモくんは、おそらく被害者が力つきた瞬間に居合わせただけだ」

ただ、そうすると、最終的におかしくなってくる物が、検死結果だ。
だが、たとえプロの検死官の見立てであっても、今はもう信用するわけにはいかない…………。



さて。伊丹たちが来るのを待つ間。
本命の殺人事件は横に置かれて、話は違う方へ転がっていく。

水鏡「”マスター”とは、いったい何者なのでしょうか」
という論点から、御剣は事件の本命を引っぱり出した。

御剣「ここがオークション会場であること、その点にこそ疑問を抱くべきだった」
そりゃそうだ。
本来なら審議がどうこうって場合じゃない。
この状況で、会長が糾弾されない方が異常なのだ。





次なる目的は、一柳万才の主張を崩す事。





……なんですけれど。
御剣(こんなもの証言ではない!)
ごもっとも。
狩魔豪や厳徒と比べても、さほど迫力も感じないし。
あと、「異議あり」宣言(コール)にも驚いた。まさか、あんなダミ声だとは。

まあそれでも一応戦おうとしたら、いきなり出鼻をくじかれた。
美雲「ミツルギさん……もういいです。あきらめましょう……」
   「きっと、あたしが殺したんです……。記憶にだって残ってる……」




分かった。お前だけ、あきらめてろ。だから黙れ。



……ごめんなさい。
やっぱり私、この事件での美雲を好きになれません。
ミステリ世界のメインキャラとして、機能してないんだもの。

そりゃ確かに、御剣も茜も真宵も、それに成歩堂も皆、
自分を助けてくれようとした人を拒んだ事はあった。
誰も何も信じられなくなった事はあった。

だけど。ここまで延々と邪魔をしたメインキャラは居なかったはずだ。
差しのべられた手をつかんだ後は、対等な立場で協力しあっていたはずだ。

なあ、美雲。
頼むから、自分自身にだけは嘘をつかないでくれよ。
その、むき出しのはずの心にある、本当の本音を教えてくれよ。
泣きたいんだろう? でも、あきらめたくないんだろう?
現に、御剣の隣から去る事も出来ないでいるじゃないか。
さもないと、私にはもう、あなたという人間の本質を理解できないよ……。



閑話休題。一刻も早く、脱線を元に戻す。

御剣「大筋しか合っていないことを、真実とは言わないだろう」
そうですね。
トリックの整合性が無視されてる作品も、本格ミステリとは言えませんよね。


で、そうやって戦い続ける御剣を、未だに邪魔するお隣さん。
美雲「……なんでですか? なんで、そこまで必死に……?
   あたし、ダメです。…………ごめんなさい。…………思い出すのが怖いんです。
   だって……もっと悪いことしてるかもしれない。
   もしそうだったら……またミツルギさんに迷惑をかけてしまう。
   一条美雲は、きっとみにくい犯罪者だったんです……。
   ミツルギさんの信頼を、うらぎってしまうような……!」


んなコト今は関係ねー!と言いたくなる私を置いて、
御剣「ギゾクであるヤタガラスが、殺人をおかすはずがない」
と、御剣は、美雲の父親への思いを投げかける。

それなのに。
美雲「…………………………………………………………………ダメ。やっぱり。
   だって……! どうしても記憶が残ってるから……。
   頭にこびりついたこのイメージ……消し去ることなんてできない!」
   「だって、ミツルギさんが……あたしなんかを助けようとするから。
   あたしのために……色んなものを失っていくから……。
   それが耐えられないんです……。あきらめてください……お願いです」




竹内まりやの歌かよ。(けんかをやめて〜)



いつかどこかで誰かが言った。
この「私のために」という、一見自罰的な表現こそ、
最悪の自意識過剰にして自己中心的性格の極みだと。


それでも御剣は、辛抱強く美雲を説得。
御剣「悪いが……期待にはこたえられない。私は、良い人になるつもりはないぞ。
   キミがどんなにイヤがったとしても……キミを助けようとするだろう。
   それは私自身のエゴであり、意思だ。キミへの迷惑など知った事ではない」


……つくづく、丁寧な言い方だなあと感じる。
「証人が”死”を選ぼうと、私の知ったことではない」とか、
キッパリ恫喝してた御剣を好きだった私としては複雑だ。


御剣「殺人を犯したという記憶を、キミ自身が疑うのだ」
万才「これで思い出したら……ハハハ、まるで映画だ」
いや……映画の方が、もっと自然に描きますって。



まるで何かに操られたかのようなタイミングで、少しだけ思い出された記憶の一部。
美雲が気にしていたぬいぐるみから得たのは、
まさしく殺人事件で交わされた、加害者と被害者との会話だった。
ただし、その際、御剣が挙げた根拠に限っては、この意見が正解だったりした。
弓彦「単なるグーゼンだろ? そのくらい……ある、よなあ?」


とにかく。殺人事件の犯人は、闇オークションのマスターで間違いない。
即ち、万才が犯人で間違いない。
だが、この時点ではまだ、手が届かない……!
その流れを止めたのが――ナツミだった。



ナツミ「ウチも思い出してもうたッ!」
まるで何かに操られたかのようなタイミングで、少しだけ思い出された記憶の一部。
殺人事件の起こった後も、オークション参加者の人数は変わっていなかった事。
その代わり、いわゆるオークションハンマーの音が鳴り止んだ事。

美雲「ミツルギさん……やっぱりどうしようも……」
だからキサマは黙ってろと。



代わりに水鏡が場をつないでいる内に、瞳子と伊丹が入って来た。





次なる目的は、伊丹乙女の主張を崩す事。





その答えには、正直なところ呆れてしまった。
いくら何でも、自分で自分の文書を確認しない医者がドコにいるのか。
この世界には、どの業界も、プロが一人もいないんだろうか。
プロ根性に限っては、かつての狩魔豪の方がよっぽどマシに思えてきてしまう。
そんな感想を持つ私自身も変だろうけど。



無論、実際に不正行為を働いた瞳子の非もまた大きいわけだが。

「アンタの罪は、ワシが受けとめたる」

おばあちゃんからの心強い言葉を受けて。
瞳子は大暴れしながらも、自らの一連の罪を認めた。
その瞳子の告白と重ね合わせる形で、ナツミの事情も見えてきた。

逆に全然見えてこないのが、美雲が記憶喪失になった直接の原因。
まさかホントに、落ちた際の物理的衝撃のみじゃあるまいな。
だから理解不能な出来事が続いた事での混乱もあって……とか、
また脳内補完しなきゃならんのか。



……と、ここまで来ても、まだマスターの素顔は分からない。
そこに合流してきた冥。イトノコ刑事からの情報を持ってきたのだ。

ただし……、
冥「籠目つばさは…………最初にアタマへ傷を負ったのよ!」
という、すべったコントのその後に。

冥「被害者は頭部を円筒形の、鈍器のようなもので殴られていたわ」
という情報から、凶器の正体が判明した。



さあ、この凶器さえ見つかれば、それが決定的証拠になるのだが……?




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