辺り一帯に聞こえる、重い地響き。
覗きこむ目玉。
ビルの前にたたずむ少年。
どこかで見たような角を持った何か。
そんな幻想(イメージ)の集合体。
さて。先の事件解決直後の今、何とも中途半端な根無し草となった御剣。
彼の立場はさしずめ、
社長に辞表を投げつけて会社を飛び出したサラリーマンみたいな物だ。
そんな所に、「ビッグタワー」の広場に駆けこんで来た一人の女性。
「ひ、人が! 死んで……! か、怪獣……」
いったい何が起きたのか。
取り急ぎ走って着いたのは、「ビッグタワー」裏の空き地。
何故か、アスファルトのアチコチが、不自然にひび割れている。
目を転じると、居たのはあの狼士龍。
そして、とうとう命を落とした、王帝君の姿だった。
ナツミ「《大怪獣ボルモス》様が現れたんやッ!」
と騒いでる輩は、取りあえず放っといて。
放っとけないのは、むしろ狼の方。
自国の長を失って沸騰状態の彼は、
先程の女性を問答無用で締め上げようと気炎を上げる。
因みに、女性の名前は「間宮由美子」。
例によって、以前の事件で出てきた内の一人である。
由美子「ここは、英都撮影所の、出張撮影所みたいなトコロです」
それで仕事のために今朝来たら、死体があったという次第。
とゆーわけで。ここからは自由行動。
前回と変わって、
美雲「お父さん! ミツルギさん! 二人とも、どうもありがとー!」
と元気に叫ぶ美雲だが。あの様子を見せられたせいで、今一つ不安が拭えない。
無理するなって言いたくなる。
防水シートやクレーンカメラ、錠やフェンスを巡った後、由美子に事情聴取。
由美子「“大怪獣・ボルモス! 12年の沈黙をやぶって復活”!
ひさしぶりのシリーズ続編ですから、スタッフたちも気合い入ってます!」
と言って見せられた、映画のチラシ。
「12年」という数字も気になるが、もっと気になるのが、このタイトル。
『最大のライバル怪獣現る……! “大怪獣ボルモスVSヒョッシー”』
由美子「ご存じですか? ひょうたん湖のヒョッシー」
美雲「あ! 2、3年前に、ちょっと話題になってましたよね」
あのね美雲ちゃん。
ある意味、このカイジュウが、今キミの目の前にいる人を作ったんだよ。
話せば凄く長いけど。
という事は。ナツミが騒いでいた怪獣とやらはコレか。
ナツミ「ウチは…………この目で見たんや」
「大怪獣ボルモスさまがいらっしゃったんや!」
何と昨夜、あの倉庫の窓から目撃したと言うナツミ。
ただし、ブラインド越しに、しかも目玉だけ、という条件付きですが。
因みに。
美雲「どこかで特別なヒトがいるようにも見えないですし」
……この台詞、1周目では確認できませんでした。ありがとう攻略サイト様。
気を引き締めて、狼の元へ。
ビッグタワーに来た事情は明かさないものの、代わりに大統領との縁について話してくれた。
狼「狼家の先代……オレのオヤジは、王大統領につかえていた」
「オヤジは、王さんから特別な勲章をいくつも贈られていたし……
狼家との信頼の証として、遺言状の保管までたくしてくれたんだ」
「12年以上前のことさ。オヤジと王さんが仲が良かったのも、
狼家が大統領の命を守っていたのも。
あの人はヒトが変わっちまったんだ。まるで別人のように……な」
また「12年」。
その、大統領のそばに寄る。
落ちていた物は、例の怪獣の部品。
撮影事務所の屋上にある模型から外れたようだ。
調査を終えた御剣は、ロジックスペースへ降下して、事の経緯を整理。
昨日、何者かが事務所の屋上まで侵入したのは確かなようだ。
確かめるべきは、事件の凶器。
よって御剣たちが屋上へ行こうとすると、それで狼が席を外そうとすると、
やけに目つきの鋭い子供がやって来て。
狼どころか御剣相手も「オッサン」呼ばわりする彼は、
映画「ボルモス」の主演子役・相沢詩紋。
役としては小学生でも、本当は13歳の中学生との事。
……実はこのシリーズ、中学生という年齢のキャラが出たのは初めてだったりする。
ひとまず屋上へ移動して、初代ボルモスの頭部模型を一通り確認。
どうやら昨日、火事と思われる事故が起こったようだ。
元の場所に戻り、今度は詩紋から事情聴取……しようとしたが。
検事バッジを見なきゃ信用できないと言いきられ、また美雲が代役を務める事に。
それで分かった、人となり。
不愛想で口下手で、それ以上に仕事熱心。
王帝君が初代ボルモス好きだからと、
宣伝で映画にしゃしゃり出る事が気に入らなかったりするわけで。
そんな彼が由美子に渡した、一葉の写真。
ソレは、詩紋・由美子・着ぐるみのボルモスのスリーショットだった。
そんなこんなを調べていると、狼が警察やボディガード達と共に帰還。
今もって沸騰状態の狼は、暗殺者を示す根拠を御剣に突きつけた。
一昨日の夜の、監視カメラの画像。
お忍びなのか、大統領と「ビッグタワー」屋上で会っていた水鏡の姿が、ソコには有った。
御剣(あの、誰よりも罪をニクんでいるヒトが……?)
と驚いている御剣の、100倍驚いたのは私だ。
いつの間にやら怪獣、もとい懐柔されまくり。
いよいよ本気で、脳内補完に頼らなきゃいけなくなってきた。
次なる目的は、狼士龍の主張を崩す事。
ただ、悲しいかな、この論戦は易しい。
今までの捜査で、「犯人は昨日の夜に忍びこんだ」という結論が既に出ているのだから。
更に言うならそもそもコレ、50階から墜落した死体には見えないし。
強いて、狼の説に乗ってみるなら、王帝君は例の闇オークションと関わっていた可能性もあるが。
あくまでも純粋に、王帝君を敬う狼に、そんな話は酷すぎた。
憤る狼に、謝る御剣と美雲。
ナツミのもたらした情報も、狼を鎮めてくれたようだ。
王帝君の遺体は解剖に回された。
……と同時に得られた、興味深い手がかり。
由美子の話では、昨夜ココで一人で練習している詩紋の姿を見たそうで。
由美子「シモンさんの頭上に……ながい……ながい……首が」
「は虫類のようなハダをしていて……まるで、首の長い恐竜のような……!」
「ヒョッシーの顔を見上げて話してたんです! 仲良さそうに!」
まぁ、順当に考えれば、さっきココで調べたあの機材なんでしょうな。
ならば、とにかく詩紋に事情を……と思ったのに。勝手に帰ってしまったらしい。
(厳密には、警察を連れてきた狼が御剣と話している間に消えている)
再び「ビッグタワー」の広場に戻ってから、
狼は詩紋を、ナツミはスクープを追って、それぞれ別行動となった。
目を転じると、狼を師父と慕っていた警官が一人。
実は狼、先の大使館での不祥事――あの人物に裏切られた責任を取って、
チーム解散となったのだという。
「……どうやらあの方は、未だに追っているようなのです。
12年前のボウレイを……」
また「12年」。
さあ、次にやるべき事と言ったら決まっている。
先程から話に出ている、水鏡を問いただす事だ。
その、はずだったのだが。
この後、我々プレイヤーは、大いなる脱線に巻きこまれていくのである。