『大いなる逆転』実況レポート (中編2)

空き地へ移った、10人全員

ずっと知りたかった実父を――過失とは言え――殺してしまったのかと嘆く詩紋を、慰める水鏡。
彼ら二人を置いて御剣たちは、更に深い真相を追い求める。





次なる目的は、狼士龍の主張を崩す事。





と言っても実質的には、御剣の重ねた推理を狼に説明すると言った方が正しい。

あの当時に起きていたのは、そもそも誘拐事件ではない。
幾重にも重ねられた、殺人事件なのだ。
今作に登場していた王帝君もまた、嘘なのだ。


しかしながら、素朴な疑問。
万才や美和所長が、暗殺事件に協力した動機は何だったのか。
よほどのメリットが無ければ、これほど複雑な事件をくむとは考えにくいが。
事件の首謀者が死んでしまった以上、考えても詮無い事だが。

それに。本当にあの当時から現在に至るまで、
西鳳民国の誰一人も、この真相を察せなかったのか。
身内さえ気づかなかったという事は、王帝君は天涯孤独の身だったのだろうか。

ただ、少なくとも狼の父親は、早々に感づいていたわけだ。
だからこそ、証拠品である絵画を、長年隠し持っていたのだ。
国の名誉を優先した故の行動だったのだ。



けれども。時を経て、真相は掘り起こされた。
ずっと偽物に国を乗っ取られていた本物は、やっと安らかな眠りにつけたのだ。
そう。これで全てに決着が……。




「……はたしてそうかのう?」

言って、泰然と話に加わってきたのは、何と了賢。
脱獄犯が現れたのに、誰も確保しようとせず語らっている光景は、いっその事シュールだ。

了賢「セッソウが、ダツゴクしたのは、あのコゾウに会うためよ……。
   《赤いレインコート》のコゾウに……のう」



……やっと本題に戻れたか……。





次なる目的は、法院坊了賢の主張を崩す事。





始まりは、18年前。
あの菓子コンテストの事件の日。
了賢は、雪の車中に閉じこめられていた二人の少年を助けた。
彼らは一命を取り留めたものの、記憶喪失になってしまったため、
児童養護施設で暮らす事となった。

その後。了賢は、少年の内の一人と再会した。
死体を運ぶ万才と美和所長を目撃した少年は、彼らに狙われていた了賢を救った。
ボヤを起こしたのも、その救出の一環だった。
少年は、かつての恩を了賢に返したのだ。



その少年こそが、この一連の事件をつなぐ黒幕その人。



実は、黒幕と了賢とは、「通信チェス」でつながっている仲だった。

その際、了賢が送った手紙について、
「ワープロで書かれている」という新情報が、ここで初めて明かされる

また、内藤が身につけていた指輪の細かいデザインについても、
「アルファベットの刻印がある」という新情報が、ここで初めて明かされる



それから、了賢が書いていた手紙は、点字による物だったという事実も判明。
……なので私としては、てっきりコレ、
看守がワープロで代打ちしてるんだろうと脳内保管していたのだが。
真相は違った。

了賢と内藤との間に、黒幕が挟まっていたのだ。
ワープロで打ったり、点字を書いたり、一人二役で。器用に。



そんな黒幕の名前が、とうとうここで暴かれる。
理屈を重ねて考えれば、出る名前は一人しかいない。

その理屈を裏付けるのが、以前に渡されたポスターだ。
ミキコが録音した炎の音だ。
ナツミが目撃したあの目玉だ。



そこまで話が進んだところで、了賢は退席。
御剣を犬で押し倒して逃げ去った。


詩紋「あの坊さんが、オヤジを殺した……そうなんだよな?」
   「オレ……あいつをユルせないよ。どうしてもユルせない……!
   どうせ……どうせなら、オレが……」
と、苦悩する詩紋には悪いが、今は事件を終わらせるのが先決。
御剣は、仲間たちに捜査を依頼し、黒幕の居場所へ向かう。

御剣(何度も顔を合わせておきながら、犯行を続けさせてしまうとは。
   大きなフカクを取ったが……今度こそ、決着をつける!)




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