『蘇る真実』実況レポート (探偵パート2回目)

事件を洗い直すため、ミラー州知事の執務室を訪ねるニック。

ミラー「彼女が殺人なんて驚いているよ」
という発言を受けたニックは、ミラーとレオナの関係を繰り返し問いただす。
検事局長の父と弁護士の母を持つとは言え、彼女を求めた真の理由は何か?

ミラー「君、やたらとつっかかってくるが、これは尋問かね?」
雲行きが怪しくなりかけたところ、秘書から電話がかかってきたと席を外され、
ニックは一人きりに。
ニック「法律家と政治界の深いつながりか。ぼくには、とうてい理解できないけどな」


まあ、そんな事はどうでもよろしい。今は「調べる」コマンドの時間だ。

ニック「電気スタンド。重いな」
   (デスクのヒジ掛け椅子に)「気持ちいいな。座っちゃお」
   「万年筆か。痛っ! 刺さるな……」
   「ナイフか。変な形のナイフだな」



まるで壷を割りまくる勇者並みにやらかした所に、秘書が入ってきた。
はわわ!と、慌てたニックは更に散らかす。
デスクから落ちた本から、写真が一葉。
それで、被害者のロバート議員に、ルイスという弟がいたという情報が浮かんだ。

秘書「ほら、こちらに写ってますでしょ」
この時、ずっと写真が観客に提示されているのだが。
ミステリ的に、なかなか悪質(←ほめ言葉)。
あからさまに、しかしさりげなく伏線を示すのは、
小説でも難しく、それ以外のメディアではもっと難しい。お見事。

この時、秘書から明かされる、2年前の「ジャック・ライアン事件」
(=原作の「青影事件」にあたる)。
逃走した連続殺人犯によって、ルイスが殺害されたのだという。


再び一人残されたニックが、写真を前に思いにふけっていた時。

ミラー「申し訳ない。これから出なければいけなくなってしまったのだよ」
と、戻ってきたミラーの言葉は、やはり不穏。
ミ「レオナくんの刑が、少しでも軽くなるように祈っているよ」


ニック「法廷は、罪の重さを決めるところではありません」
   「法廷は真実を明らかにする場所です」

と、ニックは自らの信条をミラーにぶつけた。


ニック「レオナ。たとえ世界中すべてのものが、きみの敵だとしても。
   ぼくだけは、きみの味方になる」

これでレオナには、「裁判1〜3」の最終事件における被告人の属性が、全部重なった
ここまでヒロイン(?)が一塊にされたら、そりゃニックも本気になりますって。



というわけで。第1幕フィナーレで披露されるは、歌声の三重露光

ニックを含むコーラスによる『蘇る真実』が朗々と響く中で、
時にはエッジによる『私のルール』が被さり、
時にはニック&レオナの『愛してる』が被さる。
彼らの声は、和音にも、不協和音にもなって揺らめき合う。

中でも、ニックの旋律に逆らって割り込み続けるエッジの旋律に、背筋が震えた。
肉声同士だからこそ出来る、理屈抜きの感覚に襲いかかってくる演出。
これは……ナルミツ派としても期待していいのか!?(←身も蓋もない意見)





【第2幕】
事務所にてニック、ノーパソで調査中。
PCをフツーに使いこなしてる様に、ちょっと苦笑いの私。
(原作は指一本打法のイメージ)

考え込むニックを余所に、マヤは一人で平和な世界。
ニックが持って帰ってきてしまった証拠品を振り回してる。
第1作当時の、まだ親しくなれてない頃を忠実に再現してる……と弁護しておこうか。
ニック「マヤちゃん、今は手がかりを……」
と、ニックは軽くあしらってるが。伏線だぞコレ。見とけよ、きみ。

そこで、ふとニック、秘書から借りた写真をマヤと眺める。
写真の右端を指しながら、2年前の事件との関連について話し合っていた時。
来客をマヤが出迎える。


マヤ「ニック大変! 敵が、敵が!」
アタッシェケースを手に、みっちゃん、じゃなかったエッジが来訪。
エッジ「感情に流されるな」
と、弁護から降りるよう忠告してくる。


エッジ「被告人を、すべて有罪にする。それが私のルールだ」
ニック「エッジワース……。変わったな、お前」

原作屈指の名場面、始まりました。

原作の展開なら、ここで真宵が事情を尋ねても、男二人は固く口を閉ざすのだが。
ニック「この男はラリーと同じ。ぼくの同級生だよ」



ど真ん中ストレートの吐露。



ニック……きみ、成歩堂よりも心開いてるね。


同級生同士で戦うなんてと、感情を高ぶらせるマヤに、
ニック「マヤちゃん。コーヒーでもいれてきてよ」
と、なだめた後は、ニックとエッジの二人の時間。

エッジ「キミには打ってつけの熱い助手だな」
と、マヤにフォロー、あるいは皮肉をかけてから、自然にソファでくつろぐエッジ

エッジ「いつまでも変わらないのは、お前くらいだ」
ニック「人は変わらなきゃいけないのか」
   「同じ志を持っていた人間が、それぞれ違った道を歩み始め、
   違った形で再会し、違った答えを求める。
   ……世の中はムジュンしてるよ」


そう。そうだよね。
私の知る成歩堂だって、きっとそう言う。
何があっても、人の純粋な心根は変わらないと。
青くさい、暑苦しい、甘っちょろい戯言を、彼は訴え続ける。本心から。
ニック「こんなぼくにも、たった一つだけ、きみにも負けない事がある」 
   「信じる事だ」
   「ぼくは決してあきらめない」


見つめ合い、膠着する二人。
そこにコーヒーカップ一つを手にしたマヤが帰還。
エッジ「結構だ。大事な戦いを前に、毒のようなコーヒーを飲んだら、
    せっかくの戦が台無しだからな」

マヤ「バレたか」
何飲ませようとしたん(←答えは後述)。


エッジ「フェニックス・ライト。手加減はしないぞ」
と、最後まで厳しい態度を崩さず、エッジは去った。
奇しくも、2年前の事件の担当検事が彼であるとも判明した。



エッジが去った後は、ニックによる、エッジの事情掘り下げタイム
ニック「アイツも昔は弁護士を目指していたんだ」
   「アイツの父親は有名な弁護士だったんだよ」
   「あれはそう、小学4年の夏だった」
   「ぼくのクラスの一人の子が、給食費を盗まれたんだ。
    カルフォルニアの海沿いにある、小さな小学校でさ。
    毎月、親がお金を入れてくれた封筒を先生に提出するんだよ」


カルフォルニアでも給食費制度ってあるんか!?
ツッコミ入れていいのかどうか(私は)分からないまま、
ゲームの画面ほぼそのままでの回想シーン突入。

「ほぼ」と断る理由は、大きく2点の違いがあるから。

その1。ニックが上着を着てる事。(成歩堂はTシャツ)
その2。矢張のポジションにレオナが入っちゃってる。

結果、小4トリオは、ニック・エッジ・レオナで完成。
色んな意味で、ラリーは泣いていい


そして。更に明かされるエッジの過去。
ニック「アイツの父親も、ある事件で巻き込まれて命を落としたんだ。
    エッジワースの目の前で」




……………………重いな。



エッジのキャラ解釈が頑な過ぎるから、もしやと思っていたが。
まさかDL6号事件の領域にまで踏み込むとは。
(御剣が罪を憎む真の理由は、是非とも原作プレイで知ってほしい。切実)

ただ、ニックもレオナも、エッジの人生に惹かれて弁護士になったわけだ。
つまり、エッジこそが全員の上位に君臨する、最高位の王なのだ。



「当然だろう。この作品の根幹は、私だ」



海を越えた日本から、赤い検事の執念が聞こえた。



そんな息苦しい空気をブレイクしたのはラリーの乱入。
ニックはラリーをマヤに押しつけ、調査に飛び出して行く。

残ったラリーは、やにわで本気でマヤを口説き始めた。
日本語でのダジャレで。



「いやいやいや! だからココはニューヨークだろ!? 英語だろ!?」



海を超えた日本から、青い弁護士のツッコミが聞こえた。



それはさておき。
改めてラリーから語られる、ニック&レオナの顛末。
一度結ばれた二人の内、レオナは一足先に、カルフォルニアからNYへ旅立った。
それが今生の別離となった。
レオナから、電話で一方的に別れを言い渡されたのだ。

……そうだよね。普通、「もう会えない」言われたら会わないよね。
消息不明になった相手を捜し当てて延々と連絡取ろうとして、
挙げ句に進路変更までするなんてトンデモナイよね。
(↑だから私は成歩堂を好きになったんだ)

そこからついでに、小学生時代の出来事も、もう一度。
その話の途中で、マヤが気づいた。
マヤ「何でラリーさんが心痛いのよ?」
→名探偵マヤ、事件解決!


因みに。このマヤとラリーの会話の際、
ラリーが飲むコーヒーカップの文字を確認できる。

「GODOT BLEND No.107」

闇よりなお深い暗黒をたたえ、地獄よりも熱く苦い、コーヒーだったという次第。
……こんな、細かすぎて伝わらない小ネタ入れる宝塚サイド恐るべし。



留置所。
2年前の事件を調べ直したニックは、レオナに真意を問いただす。
が、いくら言葉を重ねても、レオナの心には届かない。
レオナ「ロバート議員を殺害したのは、殺害したのは……私です」

ニックは傷心を抱えて留置所を去っていく。
その背に向けて、レオナは悲嘆につぶやいた。
レオナ「ニック……ごめんなさい……」



事務所内。
半ば手詰まりになりかけていたところに、またも来客。
今度は朗報。
来たのはレオナの妹、モニカ・クライド(宝月茜のポジション)。

モニカは鞄を広げ、めでたく医師になれた姿を誇らしげに見せる。
モニカ「こうして、いつも医療道具も持ち歩いているんです!」
   「手術の時に使うメスも、私だけの特注大型メスですよ」

そう語る彼女によって、2年前の新事実が明かされていく。
モ「分かりました。すべて、お話しします。
  だから、ニックさんお願い。必ずお姉ちゃんを助けて」


これで、『蘇る逆転』改め『蘇る真実』というパズルは完成する。
茜改めモニカという、最後のピースを得て。



ここから舞台は、演劇における最高潮。
歌声と共に、主演者が客席へと降りる時だ。

周回プレイした今だと、この場面で自分、歌を口ずさんでる
何というか、特撮ヒーローショーでも見てるような感覚に襲われて。
それに、考えてみれば、原作の成歩堂は、シェイクスピア劇専攻という裏設定。
彼も学生時代は、コレに似た事やってたんだろーなって想像も。


そんな風にアレコレ思いに浸っている内に、場面は動く。
実を言えば、こうやって観客の視線を客席の後方へ集め、
その間に次の準備をするという側面もあるんですよね。



さあ、支度は整った。
ニックは、事件解決を、ゲームクリアを目指して走る――!




戻る  次へ


HOME


inserted by FC2 system