『失われた逆転』実況レポート (法廷パート・後編)

休憩室にて。
やっとマコに、自分の記憶喪失を告白できた成歩堂。
が、そうして全てを明かすのも、ひとえに事件解決を目指すため。

成歩堂「とにかく今は、きみのピンチを切り抜けるほうが先だよ。
     ぼくが知らないことは、なんでも教えてくれないか?」


どこまでも冷静かつ客観的な、この態度。
とても全生活史健忘状態(=記憶喪失)の人とは思えない。私としては。



まずは、成歩堂自身について。

成歩堂「”ナルホドー”だっけ? ……ヘンな名前」
……自分で言ってりゃ世話ないな。
ある意味、「スズキ」とは真逆の名字・「成歩堂」。
印鑑の特注って、いくらぐらいするんだろうか。

マコ「しかたありませんね……。これ、お貸しするッス」
成歩堂「…………? これは……名刺?」
自分自身の名刺を見せられても、まだ何も思い出せない成歩堂。
(因みに名刺は横書き)

成歩堂(ウラに数字が書いてある……)
マコ「あ、それは携帯電話の番号ッス。……成歩堂さんの」
……ああ、良かった。
きみってば、やっと最近買ったんだね。自分用の携帯電話を。(職業:弁護士)
因みに、書かれている番号は手書き。即ち、印刷には間に合ってない様子。
また、どうやら世に多く普及しているデザインを選んだらしい。(←憶測)


続いて、マコが巻きこまれている事件について。
キーになるのは、「携帯電話」。

マコ「面会のときお話したら、成歩堂さん、目の色変えてたッス!」
と、彼女は事件当時の出来事を再び語る。

なお、この時の回想シーンで、マコが着てるシャツに注目。
『逆転裁判』での警察のマスコットキャラ「タイホくん」がプリントされている。

また、Aボタンを押す事で、(結果的に)携帯電話のボタンを押す動きになっている点も興味深く。
自分が本当に電話機を持っているような気分。


成歩堂「それで、拾った携帯電話は? 今、どこに……」
マコ「きのう、成歩堂さんに、おわたししました!」
   「事件に関係あるんですか? それ」
成「さあ。……でも、きのうのぼくが目の色を変えたんなら……」
……「きのうのぼく」って名前の知り合いでもいるみたいだ。この言い方。



そんな折、大きな声がかけられる。
「あー。こんなところにいたよー」
やっとメインヒロイン・真宵の登場。
一方、成歩堂の方の反応はと言うと。
成歩堂(うわ……。またヘンなのが出てきたぞ)



……ソレがお前の本音か……。



そんな成歩堂の真意など知る由もない真宵は、この第2作では助手として頑張っている様子。
成歩堂に頼まれていたリストの内容を調べ上げてから、裁判所に駆けつけたらしい。

成歩堂「このリストは、どこで……?」
真宵「ナニ言ってんの! きのう、それをわたしてくれたの、なるほどくんじゃない!」
   「マコちゃんが拾った携帯電話に登録されていた電話番号だよ」


とにかく、手に入れるべき材料は揃った。
とゆーわけで。
ここからは、真宵が成歩堂の隣、即ち助手のポジションに立つ事に。
と言いますか、今まで被告人が弁護士の助手をやってた事が、そもそも問題なんですが。



閑話休題。
事件を目撃していた証人・諸平野雅貴(もろへいや たかまさ)が登場。

この男の人となりを一言で言えば――間違ってる理屈屋
その身分からして、「さんぽしていた浪人生」でなく、「散策していたほぼ大学生」と言い張ったり。
二言目には独り語りのマシンガントークをかましてくる。


諸平野「一流のファッション! 車! 女! メガネ! そしてモチロン、大学!」
成歩堂(メガネなんかかけてないじゃないか……)
1周目当時は、完全に読み飛ばしていた。この下り。
記憶を失ってても成歩堂、例によって早々と真相が視えてたんだな。
ただ例によって、ソレを説明する論理が追いつかないだけで。


一方、諸平野は、そんな成歩堂に対して一貫して、
諸平野「どうせ、名もないゴミのような大学を出たんだろうね」
     「三流のヒガミというやつだ」
     「三流大学出のキミにもわかるレベルで説明してあげよう」
     「三流大学出身のキミには、ムズかしい表現かな」
     「……三流大学で習わなかったかい?」
     「……この、三流のヘボ弁護士が……」
     「やるねえ……三流大学にしちゃ……上デキだぁ」
     「ユカイだねえ。三流のゴミたちがドタバタするサマをながめるのは!」
     「三流弁護士にしてはよくやったほうだと思うよ」

いっそ清々しいまでの学歴コンプレックス炸裂。

その攻撃は、成歩堂にだけでなく、イトノコ刑事にまで及ぶ。
諸平野「いかにも三流中学出身っぽいコートを着た……」
糸鋸「自分はちゃんと二流……イヤ一流大学を出てるッス!」

と言いますか、諸平野よ。
少なくとも成歩堂は、たとえどの大学を出てようと、
大学在学中(それも法学部でなく)に、司法試験突破(それも現役で)という、
まさに奇跡の男なのですが。
もっと言えば、そもそも諸平野は大学生でさえないのだし。
(因みに諸平野、年齢設定は22歳)


そんな諸平野の証言にあった余計な語りを皮切りに、成歩堂はどんどん推理を展開していく。

成歩堂(……どうやらぼくは自分をとりもどしつつあった。
     ノルかソルか勝負。その、身を切るような一瞬!
     それはたしかに、ぼくがいつも求めていたものだった……)


この瞬間。
ずっと小動物と思ってた男が、やにわに猛禽類に見えてくる。
(あるいは、捕らえた獲物をいたぶる猫とか)
元々の記憶が削ぎ落とされているこの時の性格こそが、コヤツの本性なのか。


が、敵の方もなかなかしぶとい。
諸平野「証拠だよ……証拠ぉ!」
     「ボクがなくした携帯電話はさあ、もう見つかったんだよねぇ。
     キミの持ってる電話が誰のものかは知らないけどお。
     ボクのじゃないことはたしかだぞコラァ!」

その敵に対する、成歩堂の反撃。
成歩堂「そうだ! この電話に残っている指紋を調べればいいんだ!」
真宵「な、ナニ言ってるの、なるほどくん!
   マコちゃんからもらうとき、なるほどくん、ふいたじゃない」
   「砂でヨゴれているからって」
   「それはもう、念入りに」




……最大の敵は自分でした。



とゆーか成歩堂、まずはビニル袋にでも入れて保管しときなさいよ。仮にも証拠物件なんだから。



成歩堂「ケッキョク、あなたの携帯電話はどこで見つかったんですか?」
諸平野「……コイツはケッサクだ! モチロン、キミはそれを知らないワケだねえ!」
成「……………………?」
  (………………………………。

  お……思い出した……。……思い出したぞ……!)

やっと自分が殴られた経緯の記憶が蘇る。
正直な話、この時点で傷害罪で訴える事できないんかな、と一瞬思う。
(証拠が無ければ無理か)


そんなこんなで、諸平野への尋問はここで終了。
が、諸平野の捨て台詞を聞いた時、成歩堂に妙案が浮かぶ。
成歩堂「もしかしたら……、証明できるかもしれません!」
     「……すべてを!」




そう言った成歩堂がした事の結果。
裁判長「……これはどうも、ごていねいに。ワタクシは、こういうモノです」
裁判長の名刺を貰う。
でも私にはこの画像、成歩堂の名刺にしか見えないんですが。(←禁句?)

続いて……
成歩堂「これから、ぼくの携帯電話にかけてみます。……それで、この事件はすべて終了です」
そう言った成歩堂がした事の結果。
特撮番組「大江戸戦士・トノサマン」の着信メロディが、法廷一帯に響き渡る。
―――― 予想していた通りの所から。


確かにこの時、事件は全て終わった。
残る事は、ただ一つ。
真犯人に、最後通牒を叩きつけるのみ。

成歩堂「……今朝は、後頭部に一発、どうもありがとう」
またも成歩堂に、黒いオーラが見えた瞬間。 (1回目はこの時)
きっと、どこまでも穏やかな笑みを湛えて言ってるはず、と感じるのは私だけか。





かくて、無事に事件解決。

マコは成歩堂の活躍に感激する一方、被害者を巻きこんでしまった自分を責める。

マコ「スズイの人生は、まさに不運と敗北と大番狂わせの見本市でした」
  「生後6ヶ月のとき、マンションの9階から落っこちたのを皮切りに、
   ひととおりの乗り物にはひかれ、ひととおりの食べ物にはあたり、
   だいたいの試験には落第して、ほとんどの災害をも経験して、
   ジャンケンも勝ったことはおろか、アイコになったこともないッス。
   ……まさに、負けつづけの人生ッス」
  「小・中・高校と、一貫したあだ名が《不幸の女神》。
   警察学校では《堕天使》と呼ばれていたッス」
  「きっと町尾さんもアタシと関わったせいで……」
  「みんな、アタシのせいッス!」

この長口上。立て板に水の流れるような名調子に聞こえる。個人的に。
今まで何度も言い慣れてきてるのかもしれない。

マコ「……スズキ、これから第2の人生を探してみるッス。
   次に会うときまでには、きっと……スズキ、デッカイ運をつかんでみせるッス!」
  「次に会うときは、《不幸なヒト》レベルに登りつめておくッス!」
でも結局、その第二の人生でもまた、デッカイ不幸をつかんでしまうマコが哀れ。


マコが去ってからの、成歩堂の呟き。
成歩堂「……やれやれ。ヒドい1日だったな……。
     記憶がもどったと言っても、まだ、少しボンヤリしてるし」


そう言った彼、第2作・第1話において最大のボケをかましてくれた。
よりによって、真宵に向けて、この台詞。

成歩堂「あの……悪いんだけどさ……。どなたでしたっけ? きみ」



正直すぎだよあんた。



真宵「なによ! キオク、もどってないじゃないっ!」
と、彼女に怒鳴られて(あるいは引っぱたかれて?)、やっと成歩堂は正気に返る。

成歩堂(その瞬間……ぼくはほんとうに、すべてを思い出した……)
イトノコ刑事のこと。裁判長のこと。あと検事の誰か。(←成歩堂の認識)

成歩堂(そして、この子……)
     「……真宵ちゃん……」
     (綾里真宵(あやさと まよい)……ぼくの助手だ)




真宵「どうしたの? あたしのカオばっかり見て! やっぱり、なつかしい?」
成歩堂「……そうだね。ずいぶん、ひさしぶりに会ったような気がするよ」
     (ジッサイ、彼女に再会してから、まだ2ヶ月しかたっていない。
     あれは、そう……2ヶ月前の、ある雨の午後の話だ……)



物語の時間は、ここから一旦、過去へとさかのぼる――。




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