この章から、物語の論理展開は、より一段とややこしくなる。
実を言うと私自身、まだ正確にはつかめていないくらい。
そのため、やや分かりにくい文章になっている事を、ここで謝っておく。
また、こうして書いているト書きの段階で、虚偽が含まれてしまう事も断っておく。
「奥の院」側の、修験堂の中に居た、あやめ。
さっそく彼女に、「からくり錠」の解除を求める御剣だが。
あやめ「あ……あの……検事さま。……申しわけありません。
私には……不可能、です」
その理由は、錠が増えてしまっているからだとの事。
あやめを一度見失った上、錠の解除も出来ない事に、ヘコむ御剣。
成歩堂「……御剣、大丈夫か? カオがまっ青だぞ」
御剣「ミドリ色のキミに言われたくないな」
冥「……御剣怜侍。少し、風に当たってきなさい。
被告人は、私が見ておくわ。アタマを冷やすの」
御剣「バカな! 私は………うむッ!」
わわわ。
冥のムチを避けられないほど、ヘコんでるとは。
この落ち込みぶりは相当の物。
結局は、冥の説得に折れる形で、
御剣「私は、中庭で捜査の指揮をとる。……ここは、キミにまかせよう」
そう言って、その場から立ち去る御剣。
成歩堂「アイツ、プライドが高いからな。中庭のスミで泣いてるぞ、きっと」
冥「プライドなんて、生きてゆくにはジャマなだけのシロモノよ。
でも……いいシゴトをするためには、なくてはならない」
と、冥は、第2作ラストを思い出させる言葉を吐いてから、一つの提案。
自分は修験堂に残って、「やっかいなパズル遊び」(=錠開け)の方に付き合うとの事。
あやめ「この《からくり錠》は、倉院につたわる秘宝の1つで……
錠を閉ざす方法が、数百通り存在します。
だから……解除できるのは、その錠をかけた人間だけなのです」
今にして思うと……、何とまあ、しゃあしゃあと殊勝な事を言っている事やら。
どうして錠を開けられないのかと問う冥に、弁明する成歩堂。
成歩堂「……あやめさんがここに到着する前に……。……だれかが、錠を増やしたんです。
たぶん……真宵ちゃんを閉じこめておくために!」
って。
ちょっと待て待て待て。
あやめは、事件当夜は「奥の院」側(=修験堂)には行っていない、と証言していた。
御剣が勾玉を使ってまで確かめた、ソレは紛れもない事実。
本来なら彼女は、錠が増えてる云々以前に、ハナから開けられないはずなのだ。
つまり、錠が増えたから開けられない、と主張した時点で、
この人物は怪しいと見なす事も出来るのだ。
…………などと勢いよく語ってみたが、
もしも、今述べた理屈が大間違いだったらどうしよう、私。
ともあれ、今の時点で錠を開ける手段は、唯一つ。
あやめ「…………………………カギを開ける方法は、数百通りですから……
ひとつずつ試せば、解除することは可能……です」」
短くても、まる1日かかってしまう、辛い単純作業。
さて。ここで問題。
結局、事件当夜、あやめは一体全体ドコに居たのか。
つい先程の成歩堂の論を通すなら、彼女は「奥の院」側に来ていた、で決定だが……。
そう問いただされたものの、成歩堂の真意をつかめないらしい、あやめ。
……ま、そりゃそうだな。
よく今まで会話の調子を合わせていたものだ。
冥「まるで、被告人が2人いるみたい」
という冥のつぶやきが、事の真実を語っている。
てなわけで、改めてあやめに問いただしてみると。
予想通り、サイコ・ロックが発動する。
なお、この場面のあやめには、どんな証拠品を見せても、冥に止められてしまう。(ムチで)
が、その際に出る台詞が、実は大いなる伏線の一つ。
あやめ「申しわけありません。……成歩堂さま……」
…………成歩堂への人称が変わっちまってるぞ。あやめ。
錠の解除は二人に任せ、「奥の院」側の中庭へ移動。
すると御剣は、まだまだヘコみまくりの真っ最中。
つまり即ち、機嫌最悪。
御剣「こんな私を見て、笑いに来たのか!……笑いたければ、笑うがいい。
どうした! さあ、笑えよ!」
ココは2年前の留置所か。
気を取り直して。
御剣が警察で調べてきた事について訊いてみるが……。
御剣「私は、彼女のカオを見たことがあった。6年ほど前に」
「私の知っている《彼女》は、宝石商の父を持つ娘だ。
葉桜院で育ったあやめさんとの接点は、ない」
という事で、彼の持っている「美柳ちなみ」の情報は、ここではまだ手に入らない。
実を言えば、この場面で大事なのは寧ろ、こちらの話題だったりする。
成歩堂「やっぱり……まだ、ダメなのか。地震……」
御剣「ああ……。さすがに、悪夢は見なくなったが……。
今でも、足元が揺れると、息ができなくなる」
「あの日、あの地震によって……何もかも、失ってしまった。
夢も、家族も……そして、自分自身も」
と、第1作のネタバレが、ここで少しなされる。
後ついでに、いろいろ証拠品を見せてみるのも一興。
例えば、ゴドーについて。
弁護士からの転身が考えられるという意見が聞ける。
実際、検事をやめて弁護士になる例なら多く有るが…………。逆もあるのか?
また、彼にしては珍しく、自分自身についてもコメント。
御剣「5ヶ国の法廷の検事席に、助手として立ってきた。
まず語学から学ばねばならない。なかなか大変だ」
吊り橋を渡ってから、まだ見ていない場所である「極楽庵」へ。
すると春美と出会う。ついでに矢張にも。
矢張「ここは、負け犬たちがつどう、負け犬たちの山小屋だぜ!」
「どうせ、オレの言うことなんて、ダレも信じちゃくれねえんだ!」
と、ふてくされている矢張は横に置いといて。
事件当夜の流れを、春美に尋ねる成歩堂。
すると、またまたサイコ・ロックが発動。それもまたまた最大値の5つ。
……流石に多いな今回は。
解除のヒントになるのは、この台詞。
春美「わたくしの霊力が……消えてしまったのです」
彼女が、誰かを降ろそうとしていた事は確かな模様。
なお、この時、極楽案のそばを流れる吾童川を調べると……何とも言いがたいコメントが。
成歩堂「事件当夜、ぼくも流されてみた」
「……………………よく助かったな、ぼく」
どこまで行っても、何事も他人事の態度なんだよな。この男。
地震以降の出来事――増えた錠の事を、毘忌尼に報告するため、
「葉桜院」側の本堂へ戻る。
毘忌尼「からくり錠を使えるのは、倉院の人間だけなのに……」
という事は、錠を仕掛けたのは、真宵か、春美か、あやめか、毘忌尼か。
それとも、それ以外か。
エリスこと舞子が、「葉桜院」に現れた経緯を改めて話す毘忌尼。
ここから第1作・第2作の壮大なネタバレオンパレードが展開するため、
未プレイの方は、即刻「回れ右」をして頂きたい。
(↑流石にそんな人は居ないだろうが)
毘忌尼「1週間前……エリスさま、いえ。……舞子さまが、いらっしゃった」
「《倉院流・本家の血が絶やされようとしている。
私は、それを阻むためにここへ来た》……って」
「倉院流の歴史では、何度もくりかえされてきたわ。
《分家》が《本家》を根絶やしにしようとする、暗殺計画が……」
「倉院流は、この世界に対して、大きな影響力を持ってきたわ」
「その時代の権力者たちの影に、かならず倉院流が存在した」
それが17年前、「DL6号事件」の時に、信用を失って没落し、舞子は姿を消した。
しかし、長い時を経て、事は変わった。
毘忌尼「あなたのおかげで、事件の真相がわかってから……
倉院は、やっと……ふたたび、チカラを取り戻そうとしているの」
そうやって話をするうちに浮かび上がってくる、舞子の姉にして、分家の長・キミ子の存在。
毘忌尼「キミ子さまは、今……刑務所にいらっしゃるのよね?」
そして。(勘違いした)毘忌尼の口から、ぽろりと。
とんでもない台詞が飛び出した。
毘忌尼「あやめは……あの子は……キミ子さまの娘なんだよ」
キミ子の娘と言ったら、ソレは成歩堂にとっては春美の事。
成歩堂「あの子が……キミ子さんのヒトリ娘。……ずっと、そう思っていました」
逆に毘忌尼は、春美の素性を知らなかった様子。
そこから更に明かされる、驚愕の事実。
毘忌尼「ということは、キミ子さまには……娘さんが3人、いたんだねえ……」
「……あやめには、双子の姉がいるんだよ」
少しずつ、謎の外堀が埋まっていく。
やはり”彼女”は、「他人の空似」などではなかったのだ。
毘忌尼「今から、20年前……家元の座を妹に奪われたとき、キミ子さまの家庭は、崩壊したわ」
「妻が家元になれないと知ったキミ子さまの夫は……
おさない双子の娘たちを連れて、倉院の里を去ったの」
「だんなさまは、宝石商だった。やがて、再婚した際に……
双子のうちのひとりを、この葉桜院にあずけたの。
……それが、あやめよ」
成歩堂「あやめさんの……双子のお姉さんの、名前は……?」
毘「……おぼえてないわ。父親が宝石商、としか……」
そして、露呈してしまった悲しき事実。
成歩堂「……春美ちゃんに……2人も、お姉さんがいたなんて」
春美は、その二人の子を奪われたキミ子の妄執によって産まれた――という事。
毘忌尼「今度の事件も……独房にいるキミ子さまの執念が引き起こしたのかもしれないね……」
ともあれ、キーパーソンは、そのあやめの「双子の姉」。
導かれる答えは、一つしかない。目指すべきは、「奥の院」側の中庭だ。
と、その前に。
「葉桜院」側の境内へ寄ってみる。
すると、上機嫌のイトノコ刑事が歌ってるところを発見。
しかもこの歌、BGMに合わせて歌えます。
話を聞くと、今回の殺人事件の凶器を探しているものの、違った物しか見つからないとの事で。
糸鋸「ワケのわからない怪文書を拾ったッスけど……事件にはカンケイなさそうッスしねえ……」
んな事ない。絶対ない。
さっそく見せてもらうと、ソレは焼け焦げた紙。
糸鋸「奥の院の前にある、焼却炉の中にあったッス」
中の文面を読んでみると、書かれている単語は「霊媒」「家元」etc。
「華麗」も、「引導」も、ちゃんと有る。「消灯の鐘」の文字も。
ところで。そもそもイトノコ刑事は、何をもって凶器探しをしているのか。
糸鋸「もう1本、別のカタナがあるはずッス」
「そこで、これッス! ……金属探知機」
まあ懐かしい。
てなわけで。イトノコ刑事の持つ金属探知機を使っての、凶器探しゲームがスタート。
糸鋸「お。ハシゴッス」
成歩堂「キャタツですよ、それ」
糸「どうちがうッス? 似たようなものッスよ」
と、キャタツとハシゴ論争の変則パターンが出てきたり。
雪の中から、イトノコ刑事の財布やら、警察手帳やらをGetしたり、とネタは満載。
もっとも、今回の答えは見当がついていたので、短い時間でクリア。
反応したソレを、二人でよくよく確かめてみると……。
……かち……
成歩堂「……うわあああああああッ!」
「……被害者のツエの中に、カタナが……」
糸鋸「《仕込みヅエ》というヤツッスね」
成(……妙だな……。
本当の殺人現場が、奥の院の中庭なら……
なぜ、凶器のカタナが葉桜院の境内にあるんだ……?)
成「見たところ……血痕は残っていないようですね」
出来る事なら、この場でルミノール反応を見てみたい。(1周目当時から、こう思ってました)
杖を鑑識に持って行こうとするイトノコ刑事を、引き止める成歩堂。
成歩堂「その仕込みヅエを調べるの……ちょっとだけ、待ってもらえませんか!」
「せめて……真宵ちゃんが見つかるまで……」
「真宵ちゃんは……今、修験洞に閉じこめられています。
でも……本当にブジなのか……」
糸鋸「このツエのシカケのことは、だれにもナイショッスよ」
「このツエは、あくまで……”ただのツエ”ということで」
「このツエ、アンタにあずけておくッス」
危険行為と知りながら、何とか口を噤んでくれた。
残された疑問は、エリスこと舞子が仕込み杖を持ち歩いていた理由である。
単なる護身用なのか、それとも……。
さて。今度こそ、本命の目的地・「奥の院」側の中庭へ。
毘忌尼から訊いた話――あやめの双子の姉の事――を持ちかける成歩堂。
成歩堂「お姉さんの方は、宝石商の父親に育てられたらしい」
御剣「………………………………成歩堂。
私は……私は、その”双子の姉”を知っているかもしれない」
その名前は、もちろん――――美柳ちなみ。
御剣「今から、6年ほど前……初めて扱った事件だった。
私がミジュクだったせいで……被告人を、死なせてしまったのだ」
「美柳勇希と美柳ちなみには、血のつながりはない。
勇希は、父親が再婚した相手のひとり娘だったようだ」
つながっていく。
成歩堂と御剣、二人それぞれの関わった事件が。
そのちなみが、今回の件とは無関係だと、御剣が語る根拠。
御剣「………………………今回、初めて知ったよ。
……成歩堂。キミの、学生時代の”事件”を」
「……あの判決から6年たった、今年。
ついに、執行されたのだ。彼女の死刑が……な。つい、先月のことだ」
「彼女が、事件に関わるなど、あり得ない。
死者は、よみがえることなどないのだから」
確かに。普通の世界なら、そうだろう。
でも残念ながら、この世界はフツーじゃないのだ。
と、ここで再び触れられる、「DL6号事件」の経緯。
第1作の壮大なネタバレが、ここでもなされる。
とにかく確実なのは、御剣にオカルトの話題はタブーという事。
もっとも、勾玉を使いこなせてる時点で、御剣も立派に霊能力者の端くれになってますが。
「奥の院」側の修験堂の中に入る。。
今までの情報を踏まえて、あやめのロックを解除。
成歩堂「あやめさん。やっぱりあなたにウソは似合いませんね」
「葉桜院」側の本堂で、成歩堂に頭巾を渡し、「消灯の鐘」を打ったあやめ。
「奥の院」側の修験堂で、毘忌尼と会話しているあやめ。
コレらは、どちらかがフェイク、なのではない。どちらも真実なのだ。
成歩堂「あなたは、”2人いた”」
「……だれかが、あの晩……美柳ちなみを霊媒したのです!」
事件当夜、「奥の院」側に居たのは、あやめでなく、ちなみの方だった。
ならば、その彼女を霊媒したのは、果たして誰か?
が、その前に押さえるべき事。
何故あやめは、ちなみを庇うような言動を取ったのか?
あやめ「お姉さまのなさることは、いつでも、正しいからですわ」
「私に、お姉さまをジャマすることはできませんの。
だって、私は……うらぎりもの、なのですから」
彼女の言う「裏切り」とは、かつての狂言誘拐の件。
あやめ「すべては……この私が、ウラぎったせい、なのです」
「身代金の受け渡し場所に、吾童山が選ばれたのは、偶然ではなかった。
最初の計画では、私が……お手伝いするはずでしたの」
「でも……私、コワかった。だから、逃げてしまったのです」
「私、一度は協力するとヤクソクしたのです」
つまり、あやめとちなみは、離れ離れになってからも、連絡を取り合っていた次第。
あやめ「あの、誘拐は……私たちの父への復讐だったのです」
「おかあさまを捨てて、地獄へ追いやった、あの男への……」
少しずつ、彼女の言葉遣いが荒くなっていく。
きっかけは、やはり17年前、「DL6号事件」の時。
あやめ「あの事件のあと……父は私たちを連れて、おかあさまと里を捨てたのです」
「……父の再婚相手には、すでに勇希という娘がいました。
新しい家族の中に、私の席はもう、なかったのです」
「それ以来……おかあさまには会っておりません」
かくて。
物語全体の縦糸が、ここで明らかになる。綾里家の一族の因縁が。
家元の座にこだわり続けた、キミ子の恐ろしさが。
と、いうよりも……。
この一家の元凶はキミ子でなく、むしろ父親じゃないかと思うのは、私だけだろうか。
会話の最後に。成歩堂は、過去の出来事を改めて問いただす。
成歩堂「お姉さん……美柳ちなみが弁護士に毒を盛った事件で……
彼女は、証拠品をかくすために、ある男子学生と交際を始めました。
その学生について……何か、聞いていませんか?」
そう問われた彼女が、答えた言葉が、コレ。
あやめ「”うっとうしいヤツ”……」
……まあ確かに、この言葉に嘘は無い。半分は真実だ。
有罪判決を受けて死刑となったちなみは、成歩堂の事を、そう思っていただろう。
でも、残りの半分は、真実ではなかった。本当の真実は、一つじゃなかった。
というか、この前述の台詞自体、あやめのボキャブラリーじゃないよね……。
最後に残るは、春美のロック。
ソレを解くため、「奥の院」側の極楽庵へ。
ロックを解いた結果、ついに解き明かされる、事件当夜の流れ。
キーワードは無論、「霊媒」。
あの夜。春美は、修行に向かった真宵を心配して、「奥の院」側へ行っていた。
春美「葉桜院を出たのは……9時半ぐらいだったと思います」
「雪のせいで、奥の院につく前に、10時になってしまいました」
問題になるのは、その後の出来事。
その答えを握るのは、焼却炉で見つかった怪文書――指示書である。
あの夜の春美は、ちなみを霊媒しようとしていた。
大好きな”おかあさま”に言われた事に従って。
ちなみが、何者なのかも――自分の実の姉である事さえも、何も知らずに。
『華麗に引導をたたきつけてやりなさい』の本当の意味さえも、何も分からずに。
春美「わたくし……あの晩、お夕食のあと、奥の院に向かったのです」
「雪のせいで、奥の院についたら、10時をとっくにすぎていました」
その後は、「奥の院」側の「離れ」で、真宵を待っていた。
が、そこでつい眠ってしまって。「奥の院」側に取り残されて。
春美「目が覚めたら、朝でした」
「……おぼろ橋はなくなっていて、修験堂には、どなたもいなくて」
それでカレーをぶち撒いたとゆー次第。
しかし。ここで踏まえるべき、重要な事。
事件当夜、春美は、ちなみを霊媒しようとはした。
が、実際には、彼女は霊媒できなかったのだ。
春美「鐘の音が聞こえたとき、わたくし奥の院に向かう途中でしたが……」
「でも……わたくし、できなかったのです!」
「こんなことは、初めてです。霊を呼べない、なんて……」
「どうしても、呼べないのです」
という事は……まさか。
ちなみって、実は生きてるとか?
「奥の院」側に居たのは、実は生きてた生身のちなみだったりするのか??
…………などと、思わず思ってしまった、1周目当時。
他に考えられる理由は?と成歩堂に問われた春美の答え。
春美「わたくしより先に、だれかがその霊を呼んでいる場合です」
「霊体は、1つきりですから」
という事は……まさか。
ちなみを霊媒したのは真宵?それともエリス?それともあやめ?……いやいやいや。
…………などと、思わず思ってしまった、1周目当時。
と、このように、ミステリの読み手とゆーものは、
いつも推理の、本命と対抗を同時に考えているものである。
後ついでに大穴も。
春美「おかあさま、おっしゃいました。『これが、最後のおねがい』……」
「おかあさまは今《けいむしょ》というところに、いらっしゃいます」
「わたくし……毎月、《めんかい》に行くのですが……あれは、先月のことでした」
キミ子『……春美ちゃん。いよいよ、《そのとき》が来たようです……。
……あなたに、やっていただきたいことがあります……。
……ここに来る前、お屋敷にお手紙をかくしておきました。
……それをよく読んで、そのとおりに行動してくれますね……』
春美の言っている「先月」という時期は、ちなみに死刑が下された頃と確かに一致する。
ただ……。
キミ子が密かに、『再会、そして逆転』の頃から既に、
この壮大な計画を練っていたのかと考えると、どうしても背筋が寒くなる。
まだ9歳の子供に、キミ子は一体何をさせる気だったのか。
春美「おかあさまは、いつだってやさしくて……大好きです!」
当の春美は、無邪気に笑っている。
「綾里家のため」=「真宵のため」と信じて。何も疑わずに。
春美は、いつ知ってしまうのだろうか。本当の真実を。
ソレを知った時も彼女は、こうして笑っていられるのだろうか。
そんな中、彼女の漏らしたこの言葉が気になった。
彼女が、倉院の里の屋敷で見つけた手紙について。
春美「だれかが一度、封を破った跡がありました」
そんな所に。ゴドーが登場。
彼は、成歩堂に語る。
「知らない」という事が、罪になるという事を。
ゴドー「おそらく……綾里真宵はもう、帰ってこねえだろうぜ」
「……アンタが、守ってやるべきだったんだ。
綾里真宵も……そして、綾里千尋も。
……2人は、大変な事件に巻きこまれていたのさ」
「いつも、そばにいたのは……アンタだけ、だったんだ。
助けてやれたのは、アンタだけだったんだよ!」
最初に見た時は、そんな言いがかりを……と心外に思ったのは確か。
しかし、全てを知ってからこの場面を見ると、悲痛な叫び声に聞こえてくる。
全ての決着は、法廷で。
そう言い残して、立ち去るゴドー。
かくて次章から、『逆転裁判』・「初期三部作」の総決算が――――始まる。