日付変わって、開廷直前。
王泥喜の欠けた空気が重い。
命に別状こそなかったものの、重傷を負った事は間違いない。
成歩堂「オドロキくんは、何も覚えていないんだっけ」
心音「はい……。殴られる直前のことが思い出せないみたいです。
自分が第4法廷で何をしていたのか、自分を襲った犯人がダレなのかも」
成(法廷で殴られて記憶喪失か……。まあ。そういうこともあるよな)
おおらか過ぎます所長様。
成歩堂所長なりに心配してるだろう事も分かりますがね。
いざ開廷。
亜内は今度は、しのぶに王泥喜襲撃の罪まで乗っけようとしてきた。
何と、王泥喜の血によるダイイングメッセージが、しのぶを指し示しているというのだ。
一人目の証人は、しのぶ。
王泥喜を今度は、「森の木々のように優しくて、力強い方」と褒めたたえる。
やたらでっかい爆弾ケースが、現場で移動した証拠を探す。
実はこの推理で私、数十分つっかえた。1周目当時。
攻略本が発売されるの何日だったっけ、と調べたのは私だ。
自力で、はたと気づいてアハ体験するのは確かに快感。
声高らかに宣言(コール)しよう。
「ナゾ解明!」
……じゃなかった。
「異議あり!」
ここまで来れば、次にやる流れは一つしかない。
事件の真相への追求である。
ところで、ミステリにおけるダイイングメッセージには、こういうルールがある。
「犯人が先に見つけた場合は、必ず改ざんしていなければならない。」
この血文字についても、このルールが適用される。
結果、浮かび上がってくるのは長い数字列――IDナンバーだ。
二人目の証人は、馬等島。
今度こそ真っ向勝負だ。
成歩堂所長は、現場の血液鑑定を鑑識に依頼する。
成歩堂所長は、30代の若白髪に怯えたりしながらも、被害者の死因を洗い直していく。
そこに飛びこむ係官。
係官「裁判長! 血液の鑑定結果が出ました!」
因みにこの鑑定は、個人を特定するDNA鑑定。
因みに我々の実社会だと、どんなに簡単な物でも1日、通常なら1ヵ月近くを要します。
……ミステリ世界の鑑識って、つくづく優秀すぎて羨ましいよ……。
尋問は続く。
裁判長の木槌が「まほがにー」製の特注と分かったり、亜内に散々いびられたりしながら。
心音「ナルホドさん! だ、大丈夫です! 弁護士バッジを取り直したの最近ですから!」
正確には、取り直して約半年。心音が勤め始めて暫く経ってからである。
因みに因みに。シャレになってない誤字、自力で気づきました。
亜内「爆弾は、爆弾処理犯であるバラシマさんが管理していた」
ある種、誤字じゃないですけどね。
細かい所と言うなかれ。
こちとら、そういう細かい所をつっつくのが好きでこのゲームをやってるんだ。
たった一文字違いだろうが、ムジュンはムジュン。
爆弾ケースとダイイングメッセージの違いを比べ、(私は)ドキドキしながら攻撃を放つ。
馬等島「あああああ! めんどくせえ!」
と、馬等島はキーボードを使って喋る余裕を無くした。
次なる論点となったのは、凶器について。
この答えはなかなかスマートで、私は気に入っている。
成歩堂「やはり、賀来ほずみさんは、この爆弾で殺されたのです」
次なる論点となったのは、犯人が隠匿した物について。
ここでまた数分つっかえた。1周目当時。
しかし今度は問題ない。
最終奥義「証拠品全部投げ」をぶちかませば道は開ける。
ええと、毎度スミマセン。
ミスオタは謎を解くのは好きだけど、解けるわけじゃないんです。
さあ、これで事件解決!――となるのは甘かった。
馬等島「…………………………待っていただきマショウ。命が惜しければ……ネ」
そう言って馬等島は、手持ちの爆弾をチラつかせ、傍聴人たちを追い払ってしまった。
残ったのは、馬等島自身と、裁判長と、成歩堂所長と、心音と、亜内の計5人。
もとい、亜内は血相変えて逃亡したので、計4人である。
兄も兄なら弟も弟の不甲斐なさ…………と見なすのは酷か?
(参考資料:『思い出の逆転』で、成歩堂のようには毒薬を飲めなかった亜内)
成歩堂「裁判長! 恐れる必要なんかありません!
だって、その爆弾は《ニセモノ》ですからね」
と、成歩堂所長は果敢に挑むが、私はサッパリ分からない。
だから、こうなる。
成「それは……ここ……ですかね?」
死を目前にしたピンチでも、へらへら笑い浮かべるこの人が、凄いやら恐ろしいやら。
それでも何とか正解に辿り着き、正面顔でビシッと決めた。
成歩堂「この決定的な証拠……あなたに解体できますか!」
こうして、法廷爆破事件は解決した。
文字通り自爆した犯人は、語る。
自らの犯罪の、動機と機会と凶器の全てを。
そして王泥喜は、成歩堂所長たちより遥かに早いタイミングで、
最後の証拠品を調べようとしていた事も判明。
圧倒的なまでの推理力と行動力だ。
何はともあれ、一件落着。
被告人・弁護人・裁判長のアップが並ぶ中、紙吹雪は舞い落ちる。
少しばかり謎も残るが、取りあえず、しのぶを解放する事が出来た。
皆で喜び合ったのも、しかし束の間。
後日、王泥喜は皆の前で決意を告げた。
王泥喜「オレ、しばらく事務所を離れます」
「どうしても、やらなくちゃならない事があるんです」
この彼の思惑が明かされるのは、ずっとずっと後の話だ。
今はまず、長い長い回想を始めよう。
心音と王泥喜の出会いから始まる回想を。
季節を冬から、春へ戻して。