『さらわれる逆転』実況レポート (後編2)

検証するべき事件現場がホラーハウスである事は、もう間違いない。
けれど、その場所を調べる事は丈一郎のせいで、もう不可能……と一同が思った時。



「待った!」



と、空気を裂いて叫んだのは――美雲。



美雲「ピンチのときは、正義のヒーローの出番でしょ! わたしに、まかせてよ!
   この、2代目《ヤタガラス》一条美雲にね!」

そう告げて取り出した物は勿論、あのシミュレーターの「ぬすみちゃん」。

さっそく御剣は面々の話をまとめ、美雲によるVR空間に突入する。



それで再現された、ホラーハウスの内部。
まず確かめるべきは、御剣が犯人に昏倒された時の流れだ。


VR空間には、廊下にたたずむ、
リアルな御剣のゴースト(虚像)と、それからタイホくんとが映し出される。

すると、美雲が口に出した疑問。
美雲「犯人はどこから来たんだろ?」
こう言われた時、一瞬意味が分からなかった。
我々プレイヤーには、犯人がどのように襲いかかったのかは明白な事だったから。
もっと言えば、どんなタイホくんが襲いかかったのかも、
我々には明らかなのだ。





とゆーわけで。ここからは自由行動。





いろいろ調べる前に、いろいろ尋ねて回ってみる。
なので以下、この場面で交わされる会話たちの紹介。

御剣「……ぬすみ……ちゃんを使うこと、許可して頂いたこと……感謝する」
狼「……アンタの為じゃねえ! 真実を明らかにする為だ!」

美雲「事件が解決したら、(「ぬすみちゃん」を)遊びに使ってもいいよ!」
糸鋸「本当ッスか! じゃあ、早く事件を解決するッス!」

姫子「そ、そんなダメよ! わ、私にはヒカルくんが!」
光「ヒメコ……! まさか、ボクよりもそっちのオトコを……!」

と、そんな中でシーナだけは、御剣が話しかけても寡黙を保つ。
でも本当は、大笑いしたくてたまらなかったんだろうと考えると、こっちが笑えてくる。


それから、御剣のゴーストについても会話が少々。

美雲「全然、うしろに気づいてないですね」
御剣(二度と背後をとられてなるものか……)

実はキミ、昔も背後をとられまくってますからね。
本人は(この時はまだ)忘れてるけど。


そして「ミラーハウスみたい」(by美雲)であるこの場所の、床に散らばる鏡の破片も調べつつ、
三ヶ所に分身しているワルホくんをチェック。
無論ソレらで一番大事なのは、まさに御剣を殴り倒そうとする瞬間の物だ。

プレイヤーの目から見れば、明らかに現実と違っているその画像を、
御剣たちは検証していく。



まずは、狼&シーナの協力によって、凶器を特定。
その上で、御剣が襲われた決定的瞬間を追うわけだが。



思わず見とれてしまいました。



冒頭では一瞬しか見る事の出来なかったあの一枚絵を、
こんなにジックリ見られるチャンスがあったとは。

惜しむらくは、緑青がかった色彩である事だが、この状態でも十二分に満足だ。
個人的にはこのシリーズ、「ギャラリー」モードがあっても
良いと思うんだよな。1の時から。



それはさておき。
いま重要なのは、犯人が一体どうやって御剣を殴ったかという事
そもそも、ワルホくんによって殴るというのは、不可能であるという事。
つまり、我々プレイヤーの見た記憶こそが正しいという事だ。

しかし、その理屈に狼が噛みついた。
狼「このホラーハウスには、ある”シカケ”がほどこされている」
と言って差しだすパンフレットの記事を読む御剣。
御剣「”ホラーハウスの七不思議 消えるタイホくん”?」
狼「この写真の通り、あの廊下には演出用の人形が置かれていた。
  つまり、アンタが見たタイホくんは、ただの人形だったってことさ!」


しかし、御剣は諦めない。
御剣「ミスター・ロウ。情報の提供、感謝する」
と、礼儀正しく一礼し、更にVR空間を調整していく。





とゆーわけで。ここから再び自由行動。





タイホくんがプロトタイホくんに変身している不思議空間を進む。
気になるのはヤッパリ、廊下の隅に座っているタイホくんだ。


ただ……実は、ここでの「推理」に物凄く難儀した。1周目当時。
「消えるタイホくん」というからには、てっきりココに抜け穴でもあるんだろうと思いこんで。
バンドーランドのパンフレットを何度も何度もタイホくんに投げつけてました。
アホな真似させてゴメンな御剣。(←だんだん扱いが成歩堂並みになってきた)


ともあれ、正解に気づいた御剣は、自らの推理を語る。
御剣「このタイホくんは、カガミに映った映像なのかもしれん」

ああそうか。
イトノコ刑事も冥も美雲も、しょっちゅう左右反転してるのは、
彼らも鏡に映ってたからなのか。(まさか)



冗談は横に置いといて。御剣の推理に戻ろう。

もしも彼の論の通り、現場に鏡があったのだとしたら。
そもそもこのVR空間での、建物の構造からして違ってくる。
「消えるタイホくん」のトリックを踏まえた上で考えなければならないのだ。
そうすれば、犯人の潜んでいた場所も自ずと見えてくる。

更に、
美雲「このカガミのカベって、割れてたんじゃなかったっけ?」
という事実を重ね合わせれば、出来事の時系列もつながってくる。
「誘拐犯が御剣との通話を切る→トリック用の鏡が割れる→殺人発生」という
流れになるはずなのだ。

かくて、いよいよ最後のムジュンの指摘。
ソレは、御剣が廊下で見かけた着ぐるみの正体。
その答えが、真犯人を追いつめる。
御剣「ホラーハウスで被害者と一緒にいたのはダレだったか?」
   「被害者の持っている拳銃をうばって撃つことができたのは?」

そんな事が出来た人物は、一人しかいない。



そう告げられた真犯人が取った行動は、コレだった。

光「ごめんなさああああああああああああああああああああああああいッ!」



……どいつもこいつも泣けばいいと思ってからに……。



ところで、自力で手錠を引きちぎるのと、ガラス瓶を噛み砕くのと、どっちが凄いんだろ。





とにかく、これにて事件解決。
狼は光と共に、丈一郎を連行しようと迫る。

狼「色々と聞きたいことがあるんだ。10年前のこととかな」
  「あれ? 日本ではなんと呼ばれてるんだっけな?」

シーナ「《KG-8号事件》……」
狼「あの事件のキッカケは、天野河コンツェルンのスキャンダルだった。
  《密輸》の内部告発というな」
  「そのとき、《密輸》の首謀者としてタイホされた人物……。
  それが、当時丈一郎の秘書だった、鞍馬純夫だった。
  「当時の秘書だった鞍馬に罪を押し付けたが……。
  オレは、アンタが《密輸組織》とつながってると確信してるぜ。
  鞍馬は、アンタの身代わりになって捕まった。
  だから、脱獄してきた鞍馬をかくまっていたんだろう?
  身代わりのヒミツと引き換えにな!」

という、典型的な汚職事件のシナリオを携えて。



そうやって狼が詰め寄った、まさにその時。



「待った!」



と狼を制したのは――。

優木「ボクは、優木誠人。この事件の担当検事だよ」


正直な話。本当にしばらく混乱しまくった。1周目当時。
まさか脱獄でもしてきたのかとか、アホな考えが浮かぶ浮かぶ。
考えてみれば、この事件は『逆転の来訪者』よりも前の時点なのだから、
何もオカシイ事はないのだ。


そんな優木に調子を崩されたのか。今度は狼、御剣の方に噛みついてくる。
狼「アンタなんだろ? 密輸組織と丈一郎の命令で動いてる悪徳検事ってのは?」
  「検事局に密輸組織とつながってる検事がいるのは、マチガイねえんだ」
  「それによう……アンタの師匠。狩魔豪だったか?」
  「ねつ造のウワサが絶えなかったらしいな」

何だその根拠のない嘘っぱちは!……と完全に言い返せない自分が悔しい。
(理由は主に後半部分)


そうやって狼が敵意を向けてくるワケを、御剣に問われたシーナが語る。

シーナ「ロウは、西鳳民国で長きにわたり栄華をほこった《狼家》の当主。
    あの国の警察関係の大物は、ほとんど《狼家》の人間だった……」
    「《狼家》の栄華は、昔のこと。今はもう、その権力はない。
    ……それは、法廷のせいだ」
    「《狼家》の刑事がみつけた証拠品を、検事たちが隠し、ねつ造した。
    証拠品が真実を語らなくなり……《狼家》の信頼は、シッツイした」

要するに、一家まるごと裏切られたという事情らしい。





狼&シーナ、光&丈一郎、優木&仲間戸の三組が去った後。
残ったのは、御剣&糸鋸&美雲の三人組。

姫子「あの……」


あ。もう一人いたの忘れてた。


姫子「あの……私……その……ありがとうございました!」

またも素直に言われるお礼。
当たり前の事が当たり前に行なわれるのって、やっぱりいいな。


そんな姫子は、自分を励ましてくれた御剣に、またも独りで舞い上がる。
姫子「……………………。あ! ダメよ、ヒメコ! だって、この人、私よりずっと年上じゃない!」
せいぜい7歳差かそこらで「ずっと年上」扱いされるのも何か複雑。



そして姫子も去って行った後。
美雲「あらら。ヒメコさん、カンゼンに盗まれちゃったみたいだね」
御剣「? なんのことだ?」
美「いやー。ホントに、ニブイんだね……」
と、ここまでは笑えるネタのノリで話していた美雲だったが。

美雲「……わたしのことにも、全然気づいてくれないし」
   「わたしたち、”はじめまして”じゃないんだよ」
   「ほら。コレを見ても思い出さないかな?」

言って彼女が差しだしたのは、妙に大きな白い布きれだった。
美「ちゃんと返しに来たんだよ。約束したから……さ」



御剣「彼女の取り出した一枚の布が、私のキオクを過去へといざなった。
   7年前……過ぎ去りしあの日。まだ幼かった彼女と出会い……。
   イトノコギリ刑事と、はじめて顔を合わせたあの事件の日へと……」



物語の時間は、またも過去へ、さかのぼっていく――。




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