【成歩堂side】
鐘楼から発見されたマーダラと1対1。
彼女は「任務」により、ストーリーテラーを殺害したと主張する。
マーダラ「……私は……”魔女”じゃありません……」
「……魔法なんて……使えません……」
そして言ったこの一言。
マーダラ「《スガタを消すローブ》をまとっていたので……見とがめられることはありませんでした」
……え?何?聞こえない。
と、一瞬真剣に現実逃避したくなった自分。
だって何だよその、ドラ○もんのひみつ道具みたいなの。
翻って、我らが成歩堂はと言えば。
彼は如何なる場合も、公平すぎるほど公平に考える人だから。
ジョドーラ「そのような非常識なローブなど、《存在》するはずがない!」
裁判長「そのようなツゴウのよいハナシ……にわかに信じがたい」
成歩堂「”魔法”が存在するなら。そんなローブがあっても、いいじゃないですかッ!」
何か、成歩堂こそ魔法の世界に生きてる人になってる気がする。
もっとも、単純に「見えなくなる布」なら、我々の世界でもカガク的に実現しつつある。
いわゆる光学迷彩の類であり、、例えばこちらの画像など参考になるだろう。
ところがどっこい。ローブに付いてる粉を洗い落としたらトンデモナイ事が発覚。
真宵「消えちゃったよ……水に、とけたみたいに……」
成歩堂(ローブは、完全に”消えていた”………)
マーダラ「私には、今も見えていますけど……水の中の、ローブ……」
「ウィッチオルデの森の住人ならば、みな……見ることができます」
つまりコレ、光学迷彩とかで物理的に見えないんじゃない。
催眠暗示などによって、心理的に見えないとしか考えられないのだ。
やがて成歩堂は、連なる事件の本丸を引き当てた。
マーダラと同じローブを身に着けていたはずの、鐘楼にいた3人目を。
結婚詐欺師ならぬ魔法詐欺師だ。
しかし、そうなると根本的に困ってしまう事態に陥る模様。
裁判長「検察士が証人席に立ってしまっては、裁きをつづけることができません!」
でも、「逆転裁判」シリーズの、あの時のあの人とか、あの時のあの人とか、
成歩堂と対面のまま告発受けてたと思うんだけど。ダメなの?
ここらで一つ、深呼吸。
成歩堂(……いったい、どうすれば……)
俯瞰で描かれる、成歩堂の思案顔をしばらく堪能してから、満を持してAボタンを押す私。
レイトン「その席には私が立ちましょう。
私には……立証できるのですよ。
マホーネ・カタルーシアさんが……大魔女”ベーゼラ”であることを!
炎の赤をその身に受けて、両の瞳を光らせて。
ラスボスさながらに、レイトン教授ここに降臨。
『レイトン教授VS逆転裁判』は、ここから始まる。
レイトン「……私に興味があるのは《真実》だけです」
「大魔女《ベーゼラ》の真のスガタは、マホーネ・カタルーシアである……
それを立証するために、私はこの席に立っているのです。
……あなたも、弁護士ならば。全力で彼女を弁護すればよいのですよ!
……ミスター・ナルホドー」
いつも通りの涼しい顔で、それが当たり前のように検事席に立つレイトン。
ルークが一緒に居ないのが気になるが……。
って……コレ絶対、某検事が憑依してるだろ。
今にも「くっくっく……」とか笑いそうだよこの学者。
と言いますか。つまりレイトン最初から、成歩堂が『さらば、逆転』で学んだ真理を実践してる?
互いに異なる方向から追求すれば、真相は自ずと現れると知っている?
どんだけハイスペックなんだよ、この教授ってばもう。
レイトン「この《足跡》が不自然かどうか……それは、見るヒトそれぞれです」
「この証人の”キオクちがい”かもしれないということです」
などと、やんわりと辛辣な言葉を返すレイトンにめげず、成歩堂は丁寧に尋問を進めていく。
すると何と、マーダラが進んで自供を始めてくれた。
マーダラ「……ジョドーラ様。いったい、どうして……私たちを見捨て……裏切られたのですか?」
そんなマーダラの援護を受ける成歩堂に対し、レイトンの同位体レベルは大幅加速。
レイトン「法廷で、イミを持つのは……《証拠》のみ」
と、「逆転シリーズ」の根幹をさらりと言ったり。
レ「どうやら。弁護士は、気がついてないようですね」
と、肩をすくめて目を伏せて首を振るポーズなんてもう、そのまんま。
「ハッ! どうやらシロート弁護士くんは、まだ理解しておらんようだな」
……みたいな、別バージョンの台詞が頭に浮かんで仕方ない。
そんなレイトンの援護を受けるジョドーラは、
自分やマーダラがウィッチオルデの住人・ヨーマだと告白。
成歩堂も、火刑器のシステムを暴露。
真宵も変装(というか扮装)を解いてみせた。
ジョドーラ「《魔女》は、その存在を消される。しかし……その”イノチ”は、奪われることはない」
「《魔女裁判所》で有罪判決を受けた者は、”名前”と”魔法”と”キオク”を失う」
「一定の成果を上げたとき。この町へ戻ってくるのだ。”新しい住人”として……な」
前から思ってたんだけど。
ドッジボールの外野と内野みたいな扱いだなソレ。
因みに、ウィッチオルデの森にあるのは、機械などの近代設備。
マーダラ「森にあるものは……みんな。町のみなさんには”見えない”みたいです」
そんなカラクリを隠してる、その理由を明かす瞬間。
成歩堂は、手に持つ本を投げつける。
私も、3DSをぶん投げ……そうになって慌てて止める。
要は、最初の魔女裁判での、成歩堂の直観が正解だったのだ。
この町に起こる怪異は、何もかも嘘っぱちなのだ。
でもそうなると……ムジュンが密かに大量発生。
いつ魔法を使うかしれない魔女に、何人もが一生付いて回るのか?
それとも、この町が昔からある事自体が幻想なのか?
この町は5分前に創られたとでもいうのか?
実際、魔法のシーンのタネ明かしは、半ばギャグである。特に黄金像あたり。
(読者側から作者側へ)愛がなければ、(まるで魔法に)視えない。
レイトン「かなりムチャなハナシではありますが……」
成歩堂(たしかに……かなりムチャだな)
せめてコレ、この法廷にも潜んでるだろう他のヨーマも現れなきゃ、説得力が弱い気がする。
少なくとも私だったら疑うよ?
……などと色々考えてる内に、だんだん頭がボーッとしてきた。
それこそ、意識が盗まれてるような感覚。
レイトンに質問されて、
成歩堂(もう、すでに忘れかけてるぞ……)
と、つぶやいた彼の気持ちも、私と同じだと思いたい。
気がつけば、対面の二人、何故か一緒に指振って、ストーリーテラー殺しの主犯を名指し。
「ストーリーテラーの予言」という超常現象もまた、幻想として儚く散った。
が、まだまだ事の真相は不明のまま。
ジョドーラの語る動機も、抽象的かつメタ的で何が何だか。
要するに、「勝手に連載やめるな、死にオチだけは許さんぞ」
って大意で合ってます?
………………………………なんて言ってみたりして。
ローブを着たのだろう、ジョドーラは去って。
レイトンが呼び寄せた、新たな証人が席に着く。
さあ。
そろそろいい加減、終わらせようじゃないか。
この壮大な、茶番劇を。