『逆転を継ぐ者』実況レポート (法廷パート1回目・前編)

今回の目的は、葉見垣正太郎の証言を崩す事……なんだけれども。



開廷直前。
ここに至っても、被告人・まことは、相変わらずの無反応&無表情。
一応、挨拶こそしてくれたけど、これじゃ感情移入の仕様がない……と思ってたら。

まこと「……よろしくおねがいします……」
と言いつつ出してきたのは、スマイルマークの絵画。(というかイラストというか)
よく見たら、この人もまた左利きである。

で、後はまた、マニキュアを塗り続ける、まこと。
まこと「……塗ってみますか?……」
みぬき「きゃああっ! いいんですかッ!」
と、女同士で盛り上がっているところに悪いが……
塗っただけでも危険だと思う。このマニキュアは。(理由は後述します)



そんなやりとりの後。さて開廷。
今作では、この最後の事件まで、敵の検事は同じく響也。
……イヤ、「敵」という表現は出来ないか。この人の場合は。

実際、今回の試みである「裁判員制度」についても、響也が説明。
響也「この法廷は、3台のテレビカメラが常時、とらえている。
   すべての情報が、裁判員の手元に届くようになっているのさ」


その後、今回の殺人事件で使われた謎の毒物「アトロキニーネ」についても、響也が説明。
響也「自然界には存在しない化合物で、致死量は0.002ミリグラム」



「致死量は0.002ミリグラム」。
この台詞が出た、瞬間。
誠に僭越ながら、私が思ってしまった感想。



もはや「トンデモ本」の世界だコレは。



よりにもよって、こんな異常な数値を見せられてしまったら。笑うしかない。
制作者の意図とは異なる視点から楽しむしかない。


具体的な証拠を提出しよう。
以下に示すのは、世のミステリで使われている毒物たちの致死量だ。

青酸カリ 200mg
ニコチン 50〜100mg
テトロドトキシン(ふぐ毒) 2〜3mg
ストリキニーネ 30〜100mg
(以上、wikipediaより引用)

因みに。コレらは全て、元から自然界に存在している物質である。
人工的に合成された物質の毒性は、コレらに遠く及ばない。


無茶なトリックを使うのは、良いのです。
そんな方法で摂取したって、致死量に達するもんか!ってなツッコミは大好きです。


ただ、ひとえに。嘘を書かないで下さい。特に自然科学では。
世間様の一般常識という物を、もっと大切にして下さい。
さもないと少なからず、恥かく人たちを作ります。

というか、かく言う私自身、危うく騙されかけたし。
第一、そんな微量で致死量に達するなら、人間が扱う事自体が不可能だろうに……。



などと、私がぐるぐる考えている間に。葉見垣が登場。
相変わらず頭痛がしてくる自己紹介は置いといて。
証言を揺さぶるのもそこそこに。
「遅効性の猛毒」というファンタジーを皮切りに、証言を崩していく。


そうやって追いつめられた、葉見垣の反応。

葉見垣「すくーぷ……すくうぷ……………………………………」

何だコレは。
ひょっとしてコレは、ギャグのつもりでやってるのか?
歯磨きならぬ舌磨き、って……その。
端的に言って、汚いと思うのは私だけか?

更には、事件のキーとなる黄色の封筒について指摘した日には。

葉見垣「あれれれええエエェェェェ……ッ!」
何だコレは。
ひょっとしてコレも、ギャグのつもりでやってるのか?
ネクタイ引っぱって引き絞った顔がつぶれる、って……その。
端的に言って、既に人体じゃないと思うのは私だけか?



そして尋問は、「7年前」の事件につながっていく。



さあ、ついに出ました。
『逆転裁判』シリーズ史上、最凶の尋問が。

まず例によって、ノーヒントで腕輪アイコンが表示されていた事に気づけず。
(考えてみたら当方、いつも上画面しか見てないのだから当たり前)

それに。何と言うか、もう。
こんなケッタイなオッサンのドアップを延々と見せられるのは、もう拷問かと。

まして。見るべきところは顔じゃないときたもんだ。
(この尋問を独力で解けた方、心から尊敬します)
第一、その箇所は、色の濃さが変わるだけなので、ホントーに非常に分かりにくい。
今までのような「動き」だって、さんざん苦労させられたのに……。


そうやって、審理の進むうちに明かされていく、被害者の「裏の顔」。
絵画のみならず、証拠品の捏造をも手がけていたという、事実。


とどのつまり、毒物はドコから来てドコへ消えたのか?
答えはもう、見えている。
思わせぶりなあの小さな額から。合理的な手段で、部屋の外へ出て行ったのだ。

なお、このトリックは、ミステリにおいては基本。
毒物の方と比べれば、よほど筋は通っている。
『失われた逆転』でのグローブの「利き手問題」みたいな物だ。


が。いよいよ熱くなりそうな法廷を、あっさり冷やす響也の言葉。

響也「切手をナメる無神経な人種とは、クチをききたくないな。ぼくは」
とか。
響也「絵空事は、ガリューウエーブの歌の中だけでじゅうぶんさ!」
とか。


確かに、今の殺人事件の流れ自体、大層な絵空事だ。

切手に毒が仕込まれていたという点は、さしたる問題ではない。
厄介なのは、謎の毒物・アトロキニーネが切手に仕込まれたのが、
実に7年前だという点だ。

どうやら、遅効性のみならず。保存性も非常に宜しいようです。
もしやこのアトロキニーネってのは……賢者の石の親戚ですか?



そんな場に。
茜「……女の子をいじめるものじゃありませんよ。……響也」
なぜか霧人の声真似をして現れる、茜。
い封筒に毒物が仕込まれていた事を立証するために来たのだ。

つーか、もしかして霧人って、本当は女なんじゃないかと悩んでいる自分が居ます。
だって仮にも、大の男が、あんな物を日常的に使ってるとゆーのは、
どーにもこーにも違和感が……。


ともあれ。殺人事件は、7年越しで発生した。
この結論で裁判が終わろうとした、その時。



「異議あり!」



と、宣言(コール)したのは――またも響也。
自分に送られてきた”凶器”を、わざわざ飾っておいた上、わざわざ使うはずはない……
という主張に対し、

王泥喜「………………………弁護側の主張は変わりません。
     ただし。スジがとおらない以上……
     どこかに、”ニセモノ”の手がかりが潜んでいると考えられます」

と、反論する王泥喜。

かくして、証拠品を捏造していた贋作師の正体が、ここで明かされる。
正直なところ当方、この流れは「そうかなるほど!」とヒザを打った。
が。その後がいけない。


響也「……………………………………おもしろいね」



面白くないよ。そんな態度じゃ。



何だって、いつも独りだけ冷めきっているんだろうか。この人は。
もしかして牙琉検事……あなたサーカスでアクロバットやってたりしませんか?
(『逆転サーカス』を解いた人なら意味が分かるはず)



上の流れを受けて。葉見垣と替わって、証言台に立つまこと。
その彼女は、なぜか響也の顔を覗きこむ。
どこかで見覚えがあるとでも思ったのだろうか。


裁判長「《贋作師・絵瀬土武六》というのは……?」
という問いに、
まこと「…………………………わたし、です……」
と、今度は泣き顔の絵画(というかイラストというか)を示す、まこと。
その返事に、裁判長だけが驚いて。


今作の印象が、静かな理由。その一つが分かった。
「法廷の全員が同じ気持ちになる」事が殆どないのだ。

新たな可能性に、法廷の全員が「まさかね、まさかね」と騒ぐとか。
で、証人がいざ認めたら、「そんな!」「ウソだっ!」「なんだってえええ!」と大騒ぎになるとか。
そういう展開が、今作では見られないのだ。



そんな、静かな騒動を挟んで。審理は一時、中断された。




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